まさか自分が難病になるとは!?
2020年4月頃から、口腔内トラブル(歯茎・口内炎・のどの痛み等)が相次ぎ、病院に診察してもらうも原因不明...7月中旬頃症状がかなり悪化した状態になって初めて大学病院を紹介される。
重度の難病「尋常性天疱瘡」と診断され、聞いたことのない病名と「難病」の聞きなれない2文字に頭が真っ白になった。緊急入院が必要だった。
これまで体調をくずすことはあっても健康な方だと自負していただけにショックが大きかった…
尋常性天疱瘡は、自分の上皮細胞を接着させる分子に対する抗体により、皮膚や粘膜に水疱(みずぶくれ)やびらんを生じる自己免疫性水疱症で、自分の場合は口の中~喉の奥にかけて相当ひどい状態で、ほっぺの内側の肉もえぐれていた。ほっぺの内側やのどの表皮がどんどん剥がれ落ち、口の中は常に血の味がして食事もできない状態だった。
上司に事情を説明したところ、仕事の事は気にせず治療に専念するようにとありがたい言葉をいただいた。
8月上旬の入院予定日まで1週間あったので、それまで毎日午前は大学病院に点滴を受けに行き、その足で職場に向かい引継ぎ資料を作成した。入社して1年を過ぎ、ちょうど仕事も色々できるようになってきたところに、突如病気で職場を長期離脱しなければならないのは本当に心苦しかった。
でも入院したらそんなことは考える余裕がなかった。
ステロイド治療が始まり、毎日副作用に苦しめられ、コロナ禍で面会も禁止で、辛いことだらけ。でも、主治医の先生から「治る病気ですよ。治ったら仕事に戻れますよ」の言葉があったので、前を向くことはできた。
入院中は大好きなマンガをたくさん読んだり、アニメを見たりして気を紛らわした。病室にアロマの精油を持参していたので、気持ちが落ち込んだ時は好きな香りに癒された。入院も長くなると、お知り合いが出来たりして、色んな方とお話した。自分よりもっと大変な方がたくさんいて、自分は全然大変じゃないことに気づかされた。そして何より先生方や看護師のみなさんには、本当にお世話になった。医療従事者のみなさまには感謝しかない。
入院中まさかの胆のう炎を発症して緊急手術となったハプニングはあったものの、順調に病状は回復して月中旬に無事退院。ただ、ステロイドの副作用の影響で、筋力がほぼゼロになり、歩くのもやっとで、すぐに仕事に復帰できる状態ではなく、自宅療養を申し出た。顔もひどいムーンフェイスで誰だかわからないくらいだった。コロナ禍でマスク必須に助けられた。
1ヵ月半ほどしてようやく通常の生活ができるようになったので12月から職場復帰したが、復帰して1年ほどは体調が安定せず、毎月のように高熱が出たり、胃腸炎になったり、むくみがひどすぎて仕事ができなかったり...何度も早退・欠勤して職場に迷惑をかけてしまった。
復帰後2年目あたりからほぼ休むことなく仕事できるようになり、やっと通常運転に戻った気がしたが、体力がなかなか回復せずで、毎週土日の休日は1週間の疲労を回復するのでやっとだった。
最近は健康な時とくらべてもほぼ遜色なく仕事もできており、休みの日も自分の時間を楽しめている。
難病は原因不明なため一生つきあっていかなければならないやっかいな病気で、毎月大学病院へ平日日中に診察を受けに行かなければならないので、仕事においては職場に理解していただくことが必要なので、そういう意味ではハンディキャップを抱えてることになるのだけれど、最近はいろんな働き方、様々な価値観の職場があることが本当にありがたい。
難病を患って、色々と大変なことはあったものの、色んな人、ことにあらためて感謝の気持ちを持てたこと。考え方・物の見方、人生観、これからのこと、やりたいことなど、じっくり考える機会を与えてもらったこと。健康であることがいかにありがたいかということ。いろんな気づきを与えてもらった。