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ママ社長・島袋尚美 |若者のエンパワーメントを通じて、日本を元気に(株式会社ゆいまーる)【インタビュー】

こんにちは。島袋尚美です。

現在、クラフトビール事業、ITコンサルティング事業など複数事業を経営しており、女性のキャリアやライフスタイルの支援として講演会なども行っています。

また、国際結婚をして2児の母でもあり、ママ社長として子育てにも奮闘しております。


私は、システムエンジニアとして社会人のキャリアをスタートしました。

当時は、経営など視野に入れていませんでしたが、リーマンショックの経験や人との出会いがあり、起業を志しました。

そして、会社員とダブルワークを経て26歳で独立し、今に至ります。


本記事は、私が今に至るまでに経験してきたこと、事業に取り組む上で大事にしていることをインタビューいただいたものを抜粋してお伝えします。

皆様のキャリアに少しでもお役立ちできれば幸いです。




いざという時は自分で稼ぐ力が必要……働きながら起業について学んだ会社員時代

—事業を始めようと考えたきっかけを教えてください。

「社会人1年目の時に経験したリーマンショックです。当時、私は証券会社に勤務しており、大きく影響を受けました。1ヶ月の収入が、一気に20万円ほど下がった先輩もいましたね。周りの先輩たちはいわゆる「アラサー世代」で、まさに人生これからという時。大企業に勤めていても、いざという時は何が起きるか分からないと痛感しました。

リーマンショックが起きるまでは、起業しようにも自分にビジネスの才能はないと思い込んでいたので、会社にしがみついていました。しかし、厳しい現実を目の当たりにして、何かに身を委ねているだけでは相手の意向次第で振り回されてしまうと危機感を覚えまして。20代は自分磨きの延長線でビジネスについて学んで、万が一の時に自分で稼げる力を付けておくことが必要だと考えました」


—「ビジネスの才能はない」と思っていらしたことに驚きました。なぜ、そのように思い込んでしまったのでしょうか。

「個人的なイメージですが、事業を立ち上げている人は「どうしてもこういうことをやりたい」「世の中にこういうサービスを提供したい」など強い思いを持っている人が大半ですよね。私は、特に何かやりたいことがあって事業を立ち上げたわけではありません。特殊なパターンだと思います。

私が社会人に成り立ての頃は、公務員の父親と大企業の社員である母親の影響もあり、どちらかというと安定志向の人間。やりたいことに向けて突き進むというよりは与えられた仕事をコツコツとこなすタイプで、自分でビジネスを立ち上げようという考え自体ありませんでした。しかし、リーマンショックを経て考えが変わりました。当時25歳でしたが、10年後、自分が1人で生きていけるぐらいには、稼ぐ力を付けておかなくてはならないと思い直したのです」


—ビジネスに関する知識は、どのようにして身につけたのでしょうか。

「ビジネスについて学ぼうと思っても、いざとなると、どうすれば良いのか全く分かりませんでした。悩んだ結果、周りで起業している人を探して手当たり次第に話を聞きに行きました。さまざまな人の話を伺う中で出会ったのが、24歳で起業したシステムエンジニアの方。私は「メンター」と呼んでいます。そのメンターは会社員をしながら起業の準備を進め、事業も上手く軌道に乗っていました。私自身、急に事業を立ち上げたいといったところでアイデアも勇気も経験もお金もありません。メンターと同じようにするのが現実的だと考えて、会社を辞めずに土日でビジネスについて勉強したり、事業の立ち上げ準備を進めました」


—メンターの下では、何をしていたのでしょうか。

「簡単にいうと「見習い」です。メンターの 事業を手伝い、働きながら大事なことを見よう見まねで真似するところからスタートしました。メンターの下で働きながら、資金運用の仕組みや組織のマネジメントについて学んでいきましたね。ビジネスに関することは、その時に全て勉強しました」


—会社員とバイトの兼業から始まったわけですね。具体的に、どのような業務を担っていたのですか。

「当時、メンターは人材育成の事業をしていました。私は採用関連やお金回り、社員教育など人材関係の部分を担当。私がひとり立ちできるまでになったタイミングで、部署をまるごと任される形で独立しました。人材育成が、私の人生における最初の事業ですね」


「出会いは人を広くして、別れは人を深くする」の言葉が今の自分を支えている

—最初に始めた事業は人材育成とありましたが、今はどのような事業を行っていますか。「独立後は、イベントスペースや会議室の運営を始めました。現在は中小零細企業向けのシステムコンサル、PR事業、運送事業、空間デザイン、クラフトビール事業などを手掛けています。妊娠をきっかけに体のことを考えるようになり、オーガニックショップもオープンしました。ショップのテーマは『エシカル』。フェアトレード(公正取引)で仕入れたもの、動物由来ではない製品、大量の化学製品を使っていない化粧品など、環境や人・社会に配慮した『エシカル』な製品をメインに扱っています」


—結婚、出産などライフスタイルの変化に合わせてアイデアが生まれて、事業の幅が広がっていったのでしょうか。

「そうですね。実はクラフトビールの事業も、もともとは趣味で夫とクラフトビールを飲んでいたことがきっかけで始めました。自身で設備を持ってはいませんが、クラフトビールのレシピ開発、関連イベント、オンラインセミナーなどを行っています。自画自賛にはなりますが、弊社のクラフトビールはとてもおいしいですよ。北海道の廃棄小豆を使ったビールで、作った時だけ販売しています」


—起業後に苦労したこと、そこから学んだ気づきなどありましたら教えてください。

「人材確保と人間関係の構築です。私は自分と一緒に事業をしている人がどれだけ信頼できるか、同じ方向性を見てくれているのか、私の価値観を大事にしてくれる人なのかどうかが重要だと考えています。同じものを好む人たちが集まると、それだけで一緒に仕事ができますよね。しかし、仕事のスタイル、進め方、方向性など価値観が異なる部分があると、なかなか上手くいきません。

弊社のスタンスは、「できることは何でもやる」。このスタンスを理解してもらえていないと、「一緒に仕事をしたいです」と言って働きに来てくれたとしても、あっさり辞めてしまうケースがほとんどです。3ヶ月で退職、ひどい時は翌日から出社してこない人もいました。同じ価値観を持つ人を見つけるにはどうするか、一緒に長く働ける関係を築くには何をするか、今も「人」に関する悩みは尽きないですね」


—「人」に関する悩みは尽きないとありましたが、人と接する際に意識していることはありますか。

「支えにしている言葉がありまして。それは、『出会いは人を広くして、別れは人を深くする』。この言葉に救われ続けています。人との出会いは嬉しいし、心を豊かにするし、日常生活にも良い影響を与えてくれます。しかし、出会いがあれば、別れもたくさん経験することになりますよね。人との別れはいまだに慣れません。

10年近く会社を経営していると、良い時も悪い時も含めていろいろ起こります。会社が好調な時は良い出会いが多く、低調な時は人が去りやすい状況だったと思います。しかし、低調な時こそ一緒に乗り越えようと寄り添ってくれた仲間もいました。目先のメリットやデメリットに捕らわれることなく、苦楽をともにしてきた仲間たちは心から信頼できますし、宝物です。私は、人に恵まれていると思っています。人は本当に大事です」


「普通の人間」が努力する姿を見せることで、誰かに希望を与えるかもしれない

—「自分は人に恵まれている」と仰っていましたが、理由は何だと思いますか。

「起業時にお世話になったメンターの影響が大きいのではないでしょうか。メンターの信念は、「自分がされて嫌なことはしない、自分がされて嬉しい仕事をする」。常に相手の立場に立って物事を考えなさいと言われていました。一緒に働いている時は、『それを人にされたら嬉しいか?』と指摘されることも多かったです。

メンターの考えに長く触れてきたことで、目の前の人のために自分ができることは何だろうと考える癖が付きました。相手のことを考えながら仕事をしていくうちに、私の思いを感じ取ってくれる人が自然と集まってくるようになったのかもしれません」


—人生において大事にしていることは何ですか。

「取り繕わずに、素のままの自分でいることです。私が育った環境には自分を取り繕う人がいなかったこともあり、自然と素のままで周りと接することができるようになりました」


—裏表がないということでしょうか。

「そうですね。学生の時に留学した際、人種が違うことでいい加減な扱いをされた経験があります。私は特別な存在でも何でもない、普通の人間です。ぞんざいに扱われるのが本当に不快でした。育った環境や留学時の経験から、誰に対しても変わらない態度で接することを心がけています。相手の身分が高かろうが低かろうが、同じように接すると自分の中で決めています。

世の中を上手に渡り歩くタイプではありません。不器用な生き方しかできない普通の人間である私が、必死に人生を変えようと努力している姿を誰かが見て、『こいつにできるなら私にもできるのでは?』と生きることに希望を持ってくれたら良いですね」


—表面上だけ取り繕って何を考えているか分からない人よりは、不器用でも自分を曝け出してくれる人の方が親しみやすい気がします。

「疑問や不満に思うことがあれば、意見を述べることは問題ありません。信念を持った上でお互いにぶつかり合うのは、むしろ良いことだと考えています。言いたいことがあっても皆の前では黙っていて、裏で愚痴をこぼす方が一緒に仕事をする上では良くないですよね。

弊社では、裏で文句を言うことは禁止です。言いたいことは、良いことも悪いことも全て会議で伝えることを徹底。真っ直ぐな自分で仕事に取り組める人間関係づくりが大事だと考えています。引き寄せの話にも繋がりますが、弊社の考え方を心地いいと感じる人が集まってきていると思います」


「人生100年時代」守りに入らず攻めの姿勢で人生を満喫したい

—起業する前と起業した今で変化した部分がありましたら、お聞かせください。

「自分の手に負えることへ目を向けられるようになったと思います。起業する前、メンターから『自分の手に負えることへ一生懸命働きかけなさい』とアドバイスを受けました。どういうことかというと、例えばリーマンショックやコロナ禍は、私たちの手に負えることではありませんよね。自分の手に持て余す部分を変えることはできませんし、だからといって、変えられないことを言い訳に何も行動を起こさないのも違います。

大事なのは、常に自分の手に負えることは何かを考えて、そこにエネルギーを注ぐことです。この考え方は、私の生き方を変えてくれました。メンターの下で学び始める前の私は、手に負えないことを一生懸命変えるために努力していました。会社に勤めている時、社内の女性で結婚、出産後に活躍している人がいなくて。疑問に思った私は会社の制度に働きかけようと試みたのですが、当然ながら上手くいきません。メンターに相談してみたところ、会社を変えるよりも自分が変わった方が早いと助言されました。

自分の管理下にあることへ働きかけるという考え方は、仕事だけでなく人間関係にも活かせています。学生時代よりも、人間関係が円滑に回るようになりました」


—自分で自分をコントロールできるようになったということでしょうか。

「そうですね。これまでは自分の思い通りの状況にならない時は、周りを変えようとしていました。『なんでこうしてくれないの』と思う気持ちが強く、不満も多かったですね。今は、私が幸せだと思うことを自分でやろうと心がけています。人に何かしてもらうより、自分で自分を幸せにしてあげた方が楽しいですし、人生も充実しています。周りの人に対しては、『私の人生において、あなたがいるとより幸せだ』と捉えられるようになりました。自分と関わる人たちへの感謝の気持ちも生まれました」


—プライベートでは何をしていますか?

「子育てです。2歳になる娘がいまして、ちょうどイヤイヤ期で大変な時期です。子育て以外では、旅行が好きですね。仕事仲間と一緒に出かけた時期もありました」


—基本的に平日が仕事で、週末はお休みですか?

「私、プライベートと仕事を明確に分けないタイプでして。土日でも普通に仕事をしますし、平日に昼寝をします。仕事の時間配分は、日によって変動しますね」


—仕事とプライベートを分けないのは珍しい気もします。

「仕事とプライベートを分ける必要がなくなる点は、個人的には起業のメリットだと考えています。会社員としての働き方は、私には合いませんでしたね。裏表なく生きたい性格なので、会社員の自分とプライベートの自分、二面性のある人生を送るのも面倒でした。常に素のままの自分でいられるように、仕事もプライベートも混ぜこぜにした日常が理想。今は全てが混ぜこぜなので、満足しています。娘を連れてオフィスへ行くこともありますよ。仕事をしている間、スタッフに遊んでもらっています」


—職場の方たちが娘さんを受け入れてくれる環境は素敵ですね。

「日本は仕事と子育ての両立が大変なイメージです。今は保育所問題が顕著ですよね。子どもを預ける場所がないから、働くことが叶わないお母さんたちも多いでしょう。しかし、職場で子どもを育てられれば全て解決しますよね。保活の手間も省けます。そういう企業が増えたら良いなと思います」


—起業をしてみたいけれども勇気が出ないと悩む人へアドバイスをするとしたら、どんな声をかけますか。

「人生100年時代で考えると、33歳が人生の3分の1の部分にあたります。高校3年間で例えれば、30代は1年生が終わったばかりと言えますよね。そう思うと、30代はまだまだ挑戦できますし、失敗してもやり直せる年齢です」


—30代が高校1年生の終わりだとすると、40代では高校2年生ぐらいですよね。十分チャンスがあると思うと勇気が出ます。この考え方はいいですね。

「挑戦し続ける大人の方が格好良いですよ。自分はもう何もできないと諦めている大人を見ても、格好良いとは思わないですよね。特に子どもには、格好悪い姿を見せたくありません。親になる世代が人生を楽しんでいないと、子どもは大人になりたくないと思ってしまう気がします。子どもが未来に希望を持てるよう、大人は人生を楽しむべきです」


—将来の目標についてお聞かせください。

「私の使命は、『子どもたちが未来を期待できる世の中にする』ことです。人生を賭してやることだと自負しています。実現するためには、大人である私たちが希望を持ち、自分の力で未来を変えていけると強く思うことが必要です」


—今、目標に向けて行っていることはありますか。

「学生や、社会人に成り立ての若者に向けて講演会を開催しています。20代前半の若いうちから、会社に生き方を決めてもらうのではなく自分で理想を描き、そこに向かう力を付けて欲しいですよね。生きるために力をつけることが楽しそうと思える人が、1人でも増えたらいいなと思います」


最後まで目を通していただきありがとうございました。

私の人生の契機、経験について率直にお話しさせていただきました。

今後とも、目標にとことん真っ直ぐ挑戦を続けます。

noteも書いていますので、ぜひご覧ください。

島袋尚美 公式note


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