1億円コスト削減インパクトの創出PJ
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独立後、大変ありがたいことに尊敬する一人の先輩から紹介され支援を開始したうちの一つのBPRプロジェクト(その2)を完遂しました。自己紹介にもなる点もあると思いますので、その紹介をさせてください!
1. 背景:なぜ見直しが必要だったのか
近年の経営環境の複雑化に対応すべく担当者のマンパワーを頼りに、担当者毎のExcel手作業、単純作業の積み重ねが工数が増大していました。
- 多様なデータソース:基幹システム、グループ会社間連携資料、PDF請求書、手入力管理表…
- ITシステム対応の遅れ:バックオフィス業務に求められるシステム改修対応は劣後され、その分マンパワーによりアドホックな対応を行っていました
- 属人化・ブラックボックス化:過去の担当者が独自改変されたExcelマクロが乱立し、メンテナンスも実施できませんでした
- 人員削減圧力:人員削減要請があるも足元の作業工数が膨大のため不可能でした
このままでは、経理部門の人手不足が加速する一方で、内部統制リスクや監査対応コストも増大。“攻めの経理”実現の足かせとなっていました。
2. 導入前の主な課題
課題1:複数データの照合
影響1:Excelのレガシー関数であるVLOOKUPを活用しハンドかつ目視にて照合を実施しており時間がかかっていた
課題2:フォーマット非統一による再加工
影響2:担当者ごとにレイアウトがバラバラ
課題3:手作業チェックの多重化
影響3:確認ステップが増え、レビュー目線も区々
課題4:属人化したEUC
影響4:担当者離職時に業務停止リスク
課題5:システム改修リードタイムの長期化
影響5:IT部門リソース不足でシステム化まで1年以上要する見込みで機動的な改善が行えないまま現在まで来た
3. 解決策:3つの柱で攻める
(1) BPRアプローチによる業務フロー再設計
- As-Is 分析:関係者インタビュー×業務観察で「入力→加工→出力」を細分化
- To-Be 設計:重複・手戻りの排除かつ「EUC標準単位」での最小プロセス定義
- GAP 分析:自動化可能領域の特定と、現行EUCマクロ改修/統合範囲の明確化
- 計画策定・実行支援:限られたリソース・期間にBPRを完遂するための独自ノウハウに基づいた支援
(2) 標準化ルールの制定・浸透
標準化ルール例
- シート構成ルール:インプット、プロセス、アウトプットごとにシート分割、入力セル・計算セル・出力セルを色分け
- 機能利用ルール:SUMIFS・INDEX/MATCHはOK、VLOOKUP/PivotTableは原則禁止
- チェックリスト実装:各EUCに自動検証ステップを組み込み、目視チェックを最小化
(3) Excelの最大限活用によるETL自動化
- データ取得:データを「一括読み込み」
- データ加工:Excel自動ETL機能をフル活用
- 集計・出力:更新ボタン 1クリックでアウトプットを自動生成
4. 年間約8,000時間の削減、3年間約3億円のコストインパクトの創出
- 追加システム投資
- 0円
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- 年間総工数の減少
- 11,900 h → 4,200 h(▲ 65 %)
- 人月換算:6.1人月 → 2.2人月 (これまで6人が必要であった業務が2人で回せるようになった(1日8h、20営業日の前提))
- 人件費換算:47,600,000円 → 16,800,000円 (時給4,000円換算)
- 月次締め・定型業務のリードタイムの大幅な減少
- 品質・統制強化
- 誰でも容易にメンテナンスが可能となり業務継続性の確保
- チェック項目の明確化・品質保持目線の統一
Summary
外部アドバイザー的なBPRのみならず弊社でも手を動かすことで迅速な支援・効果の獲得を実現いたしました。
さらには、独自のノウハウに基づいた研修・ナレッジトランスファーを行うといったバックアップ支援を手厚く提供することで、弊社支援ご卒業後も標準化ルールの下、皆さまご自身で継続的にメンテナンスできる環境を整備いたしました。
既存のMicrosoft 365環境、Excelの機能を最大限に活用することで、システムへの追加投資0円ながら、年間7,700時間の工数削減という経理業務の効率化を実現いたしました。
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*本事例は守秘義務に配慮し、内容・数値等を一般化して掲載しています。