年10,000時間の工数削減-3年間1億円超のコスト削減インパクト創出-
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独立後、大変ありがたいことに尊敬する一人の先輩から紹介され支援を開始したうちの一つのBPRプロジェクト(その1)を完遂しました。弊社xcpa LLC、弊所吉見会計事務所、私吉見章吾の自己紹介にもなる点もあると思いますので、その紹介をさせてください!
概要
企業の成長を支える管理部門。しかし、多くの企業で業務の複雑化や属人化が課題となっています。今回ご紹介するのは、弊社が支援したある大手企業様の経理部門におけるBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)プロジェクトです。
このプロジェクトを通じて、追加システム投資0円に対し、年間約10,000時間(年間40,000,000円*)の効果創出、業務量にして60%もの大幅な工数削減を実現し、単なる業務効率化に留まらない、組織全体の変革への大きな一歩を記すことができました。
*標準原価4,000円換算
プロジェクト開始前の課題:複雑化・属人化した業務プロセス
ご支援を開始したクライアントの経理部門では、以下のような課題を抱えていました。
- 非効率な手作業の多発: 請求書の処理において、稟議書や発注書といった複数の関連書類を手作業で収集・添付する必要があり、膨大な時間がかかっていました。
- 複雑な承認プロセス: 経費精算における確認プロセスが多段階にわたり、申請部門と経理部門の双方に大きな負担が生じていました。
- 属人化とブラックボックス化: 特定の担当者に依存した業務が多く、専門知識が必要な業務の担い手も不足していました。これにより、業務の継続性にも懸念がありました。
- システム間の連携不足: 複数のシステムにデータが分散し、手入力でのデータ連携が多発。これがプロセスをさらに複雑にし、非効率の原因となっていました。
これらの課題は、日々の業務を圧迫するだけでなく、ガバナンスの強化や、より高度な経営分析といった、本来経理部門が注力すべき戦略的な業務への足かせとなっていました。
解決へのアプローチ:徹底した業務の可視化とEUCの標準化・高度化
弊社は、クライアントの目指す姿を明確に定義することからプロジェクトを開始しました。目指したのは、単にコストを削減する「低コスト型」の組織ではなく、ガバナンスを効かせ、高品質な業務運営を実現する「運営能力構築型」の組織です。
その実現に向け、以下のステップでBPRを推進しました。
- As-is(現状)の徹底的な可視化: まず、既存の業務フローをすべて洗い出し、課題を詳細に分析・整理しました。
- To-be(あるべき姿)の設計と青写真の策定: 可視化された課題をもとに、理想的な業務プロセスを設計。システム改修に頼らずとも実現可能な施策として、EUC(End-User Computing)の活用に着目しました。
- 照合-支払のためのEUCの開発と決算業務プロセスの再構築: 最も工数がかかっていた未払請求書業務と決算業務を重点領域と定め、データマネジメントの手法に基づいた「照合-支払EUC」を開発。証憑の照合から部門振替までを自動化し、人の作業を最小限に抑える仕組みを構築しました。
- 標準化とナレッジ移転: 属人化からの脱却と、クライアント自身が継続的に業務改善を行える「自走可能」な体制を目指し、EUC標準化ポリシーを策定。さらに、Microsoft 365機能の最大活用方法を含むワークショップを複数回開催し、実践的なナレッジの移転を行いました。
プロジェクトの成果:年間10,000時間の削減と、数億円単位のコストインパクト
本プロジェクトによる成果は、目覚ましいものでした。
- 圧倒的な工数削減: 支払業務において、年間約10,000時間(総業務量の60%)の削減を達成しました。
- 劇的なコスト削減効果: この工数削減は、金額にして年間約4,000万円(標準原価4,000円換算)に相当し、将来的には最大で約5,000万円の削減ポテンシャルも秘めています。
- 業務品質の向上とガバナンス強化: 業務フローの再構築と標準化により、誰が担当しても高品質な業務を維持できる体制を整備。これにより、内部統制の強化にも繋がりました。
- 自走可能な改善文化の醸成: ワークショップやナレッジ移転を通じて、クライアントの経理部員自らがEUCを構築・改修できるスキルを習得。継続的な業務改善が可能な文化が生まれました。
- 圧倒的ROI:システム投資0円。新規システム投資なく、日本企業の大多数が導入済みのMicrosoft 365機能をそのまま活用しており、システム投資は一切かかっていません。
大事なポイントを、もう一度言います。
システム投資0円
上記の年間効果が累積されていくインパクトをご提供します。その場限りの、時限的な効果ではなく、可変性の高い、柔軟性の高い、データの整備や業務フローの作成、必要な文書等の丁寧な支援によってより長期的な効果を享受いただけます。
まとめ
今回のプロジェクトは、EUCという身近なツールを高度化・標準化することで、大規模なシステム投資を行うことなく、劇的な業務効率化を実現できることを証明しました。
重要なのは、表面的な課題解決に留まらず、業務プロセス全体を再設計し、組織としてのあるべき姿を描き、そこから逆算して最適な解決策を導き出すことです。
弊社では、クライアント企業様の状況に合わせた最適なBPRをご提案し、組織の変革を力強くサポートいたします。実際に手を動かします。地道に効果という果実を獲得できる支援をいたします。
経理業務の効率化やDX推進にお悩みの企業様は、ぜひ一度、弊社にご相談ください。