文章を書くことは、昔から好きだった。
国語の授業も好きだったし、文章を書く課題があれば、たぶん人より喜んでたくさん書いていたと思う。そういえば小学生の頃は、アナウンサーになりたかった。中学生のときには、お昼の番組をひとつ、コーナーまで含めてまるっと企画して、いわゆるプロデューサーポジションでワンシーズン校内放送を毎週続けたこともあった。今思えば、そのあたりですでに「メディアって面白い」と思っていたのかも。
大学では広報メディアを専攻した。将来、そういう仕事に関われたらいいな。当時はぼんやりと、そんなことを考えていた。
でも卒業後、私が最初に選んだのはメディアの仕事ではなかった。
メディアの仕事への夢を諦めた
大学を卒業してから、ソファの販売、スマートフォンの販売、靴のEC運営、民泊サービスのカスタマーサポートなど、いくつかの仕事を経験した。
ライターをやってみようと思ったことも、何度かある。でも、いざ仕事とか副業として考えると色々と気になって、「これを仕事にするのは難しいのかもしれない」と諦める。しばらく経つとまた「やっぱり書きたい」と思う。
そしてまた諦める。そんなことを何度か繰り返していた。
だから「昔からライターになるのが夢でした!」と言うのは、正直しっくりこない。書くことはずっと好きだった。メディアにもずっと興味があった。でも、それを仕事にする覚悟を決めるまでには時間が必要だった。
今ようやく、腹を括って挑戦しているところだ。
全然違う仕事をしていたと思っていたけれど
最近、自分の職歴を振り返っていて面白いことに気づいた。一見するとバラバラなのに、今の仕事につながっていることが意外と多い。
たとえば、電話で取材のアポイントを取ること。これは接客やカスタマーサポートで、知らない人と電話で話してきた経験がかなり生きている。
取材相手の立場を考えて、「こういうことですよね」と共感を示すこと。本人の中ではまだぼんやりしているものを、「もしかして、こういうことですか?」と言葉にしてみること。これも、以前から仕事の中で何度もやってきたことだった。
ソファを販売していた頃は、お客様の生活について聞きながら、その人が求めているものを一緒に探した。スマートフォンを販売していた頃は、ややこしい料金プランやサービスを、その人に伝わる言葉に置き換えた。
ECでは、実際に目の前に商品がなくても魅力が伝わるように、写真や文章、ページをつくった。カスタマーサポートでは、それぞれ違う立場の人の話を聞いて、状況を整理し、その間をつないでいた。
仕事は、全部違うけど。
人の話を聞く。相手の立場を考える。
頭の中にあるものを言葉にする。
それを、別の誰かに伝わる形にする。
ずっとやってきたことは全部一緒だ。
そのことに気づいたとき、「意外と全部つながってるんだな。面白いな」と思った。
「ライターって仕事なんだ」と思えた場所
私がライターをちゃんと「仕事」として意識するようになったのは、地域メディアに掲載する記事の制作だった。
実際に現地へ行って、人に会って、話を聞く。それを持ち帰って、記事にする。もちろん文章を書くことも好きだけれど、実際に仕事を始めてみて、一番好きだと思ったのは別のところだった。
知らない人に会いに行って、私の知らない話を聞くこと。
知らない場所に行けば、知らない人がいる。その人には、私の知らない仕事や経験や考え方がある。自分ひとりで生活していたら、たぶん知ることがなかった話を聞ける。それが、すごく面白い。
そして聞いた話を自分の中で整理して、まだその人を知らない読者に向けて文章にしていく。私はどうやら、そういうことが好きらしいと気づいた。
小さいけれど、ちゃんとたどり着いた
大学生だった頃の私は、メディアに関わる仕事ができたらいいなと思っていた。そのあと、一度は全部諦めた。まったく違う仕事をいくつも経験した。ライターをやろうとしては諦めることも繰り返した。
それでも今、「Webライター」というメディアに関わる仕事のひとつにたどり着くことができた。
まだまだ小さい場所かもしれないけれど、遠回りだったかもしれないけれど、たどり着けたことが私は、嬉しいと思う。振り返ってみると、遠回りの途中で身につけたものを、今ものすごく使っている。だから最近は、人生って意外とうまくつながるものなんだなと思う。
これからも、知らない場所へ行って、知らない人に会って、私の知らない話を聞きたい。そして、その人の中にあるものを一緒に言葉にして、まだその人を知らない誰かへ届けていきたい。
そんな仕事を、これから少しずつ増やしていけたらと思っている。