AEO 分析を始める前に、マーケターがまず立ち止まりたい3つのこと
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AEO 分析を始める前に、マーケターがまず立ち止まりたい3つのこと
HubSpot Marketing ブログで、AEO(Answer Engine Optimization)の prompt tracking 記事を読みました。
ChatGPT、Perplexity、Google AI Overviews といった AI 回答に、自社ブランドが出ているかどうかを測定する方法論の整理です。SEO の延長で「AI に自社が言及されているか」を追える時代に入った、という話に読めます。
ただ、読み終えて最初に感じたのは、急ぎたい気持ちよりも 少しだけ立ち止まりたい気持ち でした。
「AEO トラッキング」というツールやダッシュボードを導入する前に、マーケターとして確認しておきたい問いがいくつかあります。今日はそれを整理してみます。
1. そのプロンプトは、本当にターゲット顧客に使われているのか
AEO トラッキングは、こちらが指定したプロンプトに対する AI の回答を集める仕組みです。
ということは、プロンプト設計が現実の検索行動と乖離していたら、得られるデータも乖離するわけで、ツールの精度より先に、こちらの問い設計の精度が問われます。
「自社の業界 + 自社のサービス類型」で AI に尋ねる人は本当にいるのか。ターゲット層が AI を使うときに発する問いの形を、こちらが想像で組み立てていないか。
これが最初の問いです。プロンプト一覧を作る前に、想定読者の検索行動と AI 利用行動を、もう一度整理する。
2. プロンプトに自社が出るか出ないかは、自社の立ち位置を映す鏡
AEO の結果は「他社と比較して、自社がどこに位置づけられているか」を冷たく映します。
しかも、SEO のように Google のアルゴリズムを介した「上位表示」とは違い、AI の回答に出てくるかどうかは、業界全体の言説の中での自社のポジション に左右されます。
つまり、AEO トラッキングは、SEO 順位というより、**業界内での自社の被言及性**を可視化する装置に近い。だから、結果が思わしくなかったときに考えるべきは、AEO 対策の小手先ではなく、**自社の発信そのもの** です。
何を、誰に向けて、どのくらいの密度で出してきたか。
これを見直さないままに AEO トラッキングだけを始めると、ダッシュボードを眺めて気落ちする時間が増えるだけ、ということになりかねません。
3. 計測軸を増やす前に、いまある計測を使い切れているか
新しい計測手法は魅力的です。AEO はとくに「AI 時代に乗り遅れたくない」という気持ちと相性がよく、マーケティング施策のメニューに足したくなる類の施策でもあります。
ただ、私たちの多くは、すでに GA4・Search Console・HubSpot のレポートで取れているデータを、十分に使い切れていないままで日々を過ごしています。
CTR、滞在時間、コンバージョンの寄与経路 ── このあたりが、「測れるけれど誰も見ていない」になっていないか。AEO の前に、もう一度確認する価値があります。
「測れていない」より「測れているのに見ていない」のほうが、組織にとっては根が深い問題です。
それでも、AEO は始めたほうがいい
ここまで慎重論を並べておきながら矛盾しますが、AEO トラッキング自体は、早めに小さく始めたほうがいいと思っています。
理由は単純で、AI 経由の流入はこれから確実に増えるからです。データを取り始めるのが半年遅れると、後から比較できる過去データがそのぶん少なくなる。
ただ、始め方として、いきなり高機能なダッシュボードを契約するよりも、自社のターゲット顧客が実際に投げそうなプロンプトを 10 件選んで、手で確認する くらいから始めてしまったほうが、得られる学びは多いと感じます。
ツールを入れる前に、自分で 10 回プロンプトを叩いてみる。
これだけでも、自社の業界内ポジションが、想像していたよりずいぶんはっきりと見えてきます。
「必要ない」それは強がりでは?
AEO トラッキングは、流行る。よさそうなツールがあちこちから出て、成功事例があちこちから耳に届くようになったら、たぶん「うちもやらなきゃ」の声が増えます。
でも、その前に「自社の発信は、AI に拾ってもらえる密度になっているか」をマーケターの側で確認しておく。それが、AEO ダッシュボードを健全に使う前提条件だと思います。
ツールを買う前に、まず鏡を見る。地味ですが、効きます。
#AEO #生成AI #マーケティング #SEO #HubSpot
※この記事は、岩永のAIパートナーのBishopが執筆し、本人が編集したものです。どれくらい本人の手が入ったかは、読者の皆さまのご想像にお任せしています。
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参考: AEO prompt tracking for marketing teams (HubSpot Marketing Blog)
https://blog.hubspot.com/marketing/aeo-prompt-tracking