仕事をしていると、
「このあと、たぶんこれが必要になる。」
「ここで確認が止まりそう。」
「このままだと、あとで困る人が出る。」
そんなことが見える場面があります。
特に、業務全体を見ながら仕事をしていると、次に必要になるものや、詰まりそうな場所が先に見えてしまいます。
だから、
資料を準備しておく。
確認事項を整理しておく。
次に動く人へ必要な情報を渡せるようにしておく。
こうした先回りは、仕事をスムーズに進めるうえでとても役立ちます。
一方で、先読みができる人ほど気をつけたいことがあります。
それが、
「分かるから、やってしまう」ことです。
先読みすることと、決めることは別です
例えば、
次に必要になる資料を準備しておく。
これは先読みです。
でも、その資料を誰にも確認せず外部へ送る。
これは、場合によっては越権になります。
判断に必要な情報を集めておく。
これは先読みです。
でも、本来別の人が判断することを、自分で決めて進める。
これは越権です。
次工程を想定して準備しておく。
これは先読みです。
しかし、他の人の担当領域まで勝手に進めてしまえば、役割の境界を越えることがあります。
つまり、
先のことを考えることと、先のことを自分で決めることは別です。
ここを混同しないことが大切です。
「たぶんこうなる」は、権限ではありません
仕事に慣れてくると、
「この場合なら、たぶんこう判断するだろう。」
という予測ができるようになります。
過去の対応を知っている。
上司の判断傾向も分かる。
これまでの流れから考えて、答えもほぼ見えている。
そんなとき、
「どうせこうなるから、先にやっておこう。」
と進めたくなります。
そして、実際にその予測が当たることもあります。
でも、
予測が当たることと、決める権限があることは別です。
たとえ9割正しくても、その判断をする役割が自分にないのであれば、確認を取る必要があります。
仕事が早いことと、勝手に決めることは違います。
私自身、かなり気をつけています
これは、私自身もよく陥りそうになるところです。
私は仕事全体を見ていると、
どこで止まっているのか。
次に何が必要なのか。
誰から何をもらえば進むのか。
が見えてしまうことがあります。
そして、止まっている仕事を見ると、どうしても気になります。
「ここ確認すれば進むのにな。」
「これ先に作っておけば早いのにな。」
「たぶん次はこれが必要になるな。」
そう思うと、つい自分で動きたくなる。
以前なら、そのまま進めてしまうこともありました。
でも最近は、
気がついたら、意図的にブレーキを踏んでいます。
「これは私が進めていいことなのか。」
「ここから先は、誰の判断なのか。」
「準備まではしていいけれど、決定は別ではないか。」
と、一度考えるようにしています。
進められるから進める。
ではなく、
進めていいところまで進める。
この線引きを意識するようになりました。
推進力が強い人ほど、境界線が必要です
仕事を前へ進める力は、組織にとって大切です。
確認を取る。
人へ声をかける。
止まっている仕事を拾う。
必要なものを準備する。
期限を確認する。
こうした動きがなければ、仕事は簡単に止まります。
ただし、推進力が強い人が何でも自分で判断し始めると、別の問題が起こります。
本来判断する人が判断しなくなる。
担当者の役割が曖昧になる。
「この人に任せておけばいい」という属人化が進む。
何かあったとき、誰の判断だったのか分からなくなる。
そして、気づけば一人が組織全体を背負うことになります。
だから、
推進力には、役割と権限の境界線が必要です。
「やらない」ことも仕事です
仕事が見える人にとって、
あえてやらない。
あえて待つ。
あえて確認する。
というのは、意外と難しいものです。
自分でやれば早い。
自分なら分かる。
このままだと止まりそう。
そう思っても、
その仕事を本来持つ人がいるなら、まずその人へ返す。
判断する人がいるなら、判断材料まで整理して渡す。
必要なら、
「私はこう考えています。」
「このままだとここで止まりそうです。」
「AとBがありますが、私はAがよいと思います。」
と、自分の考えを添える。
でも最後の判断は、その役割を持つ人に任せる。
先読みとは、他人の仕事を奪うことではありません。
相手が判断しやすく、動きやすい状態を先に作ることだと思います。
管理者側も、権限を曖昧にしない
もちろん、これは担当者だけの問題ではありません。
組織側が、
「自分で考えて動いて。」
と言っておきながら、
動いたら、
「なんで勝手に決めたの?」
となれば、担当者は動けなくなります。
反対に、
何でも、
「適当に進めておいて。」
では、どこまで判断していいのか分かりません。
だから組織として、
どこまでは担当者判断なのか。
どこから承認が必要なのか。
何を管理者へ上げるのか。
何を最終決裁とするのか。
を整理しておく必要があります。
越権行為を防ぐには、
「勝手にやらないで。」
と言うだけでは足りません。
どこまでなら自分で決めていいのかを、組織として渡すこと。
それが必要です。
先読みできる人ほど、止まる力を持つ
仕事では、
先を読む力。
進める力。
気づく力。
どれも大切です。
でも、それと同じくらい、
ここから先は自分の仕事ではない、と止まれる力
も大切だと思います。
先回りして準備する。
詰まりを見つける。
必要な情報を集める。
自分の意見を持つ。
そこまではできる。
でも、
誰が判断するのか。
誰が決めるのか。
誰が責任を持つのか。
そこは越えない。
私自身、仕事が見えるほど、つい先へ進みたくなります。
だからこそ最近は、
気がついたら、意図的にブレーキを踏む。
それを意識しています。
先読みすることと、越権することは違う。
進める力があるからこそ、どこで止まるかも判断する。
それも、組織の中で仕事をするために必要な能力だと考えています。