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【おすすめ本】人間失格

こんにちは。栗原政史です。

今日もおすすめ本を紹介して行こうと思います。

本日の本は著名な太宰治の「人間失格」です。

あらすじはこちら

「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。

引用:https://www.shinchosha.co.jp/book/100605/

「恥の多い生涯を送って来ました。」このフレーズを聞いた人も多いことでしょう。

この作品はまさに太宰治の自伝であるかのような作品です。

主人公は男。昔で言うところの「いいとこの坊ちゃん」が普段は品行方正に生きているように見せかけてその行為こそが嘘偽りであると本文中には述べられています。

世の中の「いいとこの坊ちゃん」と言うと、何不自由なく育てられ、いい教育を受け、立派に育つと思われています。太宰が「人間失格」を書いた頃の大正時代はその性質が一方強かったと思います。

しかし、「いいとこの坊ちゃん」だろうと必ずしも品行方正で生きていられるのでしょうか。

現代に置き換えるとこのような事件があります。

地下鉄サリン事件──。渋谷のマンションの一室から、5台の車に分乗して実行役を担当路線の駅に送り、そこから乗り込んだ地下鉄車輛内にサリンを散布して下車。送迎車は降車駅に先回りして彼らをピックアップすると、再び渋谷に戻る。標的は霞ケ関。同駅を通る3路線上下5方面。散布方法は、新聞紙に包んだサリン入りポリエチレン袋を車床に落とし、尖った傘の先で突いて漏出させると同時に降車するという、単純なものだった。その時、実際に地下鉄に乗り込んでサリンを撒いたのは、理科系の高学歴者が多かった。林郁夫も慶応大学を卒業した心臓外科医であったし、また、日比谷線東武動物公園方面往きを担当した豊田亨は東京大学理学部を、丸ノ内線荻窪方面往きを担当した廣瀬健一は早稲田大学理工学部の応用物理学科を首席で卒業していた。この豊田と廣瀬に、送迎車の運転手役だった杉本繁郎を加えた3人がいっしょに並んで、同じ法廷の裁判に臨んでいた。

引用:https://bunshun.jp/articles/-/42147

地下鉄サリン事件。こちらは昭和を代表する事件ですね。日本で唯一起こったテロ事件としても多く語られています。その実行犯には高学歴エリートたちが多かったようです。

現代でもこのような闇がある中、「人間失格」ではどうでしょうか。

人間失格の中の男は、様々な偽りをつきながら生き、女を弄びといわゆる性悪の行為を行っていたようです。

サリン事件とは全く比較にありませんが少し闇ですよね。

しかし、私は誰にでもこのような闇を抱えているように感じます。
人は誰でもずっと真面目に品行方正な態度をとることができません。

ポイ捨てはするし、小さな嘘をついて会社を休んだり、立ち入り禁止には入りたくなるし。

そんな小休止をしながら人生は進んでいきます。

そんな「人間失格」の男のように最後はなんとも充実したような気持ちで終えられるといいですね。


太宰治 『人間失格』 | 新潮社
後ろ暗さを抱えながら 弁護士になった2009年から六年間、刑事事件の弁護を専門にしていました。警察署や拘置所に出向き、犯罪をおかした人や、犯罪をおかしたと疑われている人と、一枚のアクリル板を挟んで対峙します。それまでの人生では会ったことのない、さまざまな人と向き合いました。ヤクザの組長、薬物依存症者、人を殺した人、他人の家に火を点けた人......。 ...
https://www.shinchosha.co.jp/book/100605/