私を変えたシェアハウス
私は上京してからの三年間、ずっとシェアハウスに住んでいます。
7人で暮らす、古民家をリノベーションした一軒家。
友達と始めたのではなく元からあるシェアハウスに一人で飛び込みました。
東京でシェアハウスを選んだ理由は、カナダでのワーキングホリデー中に経験したルームシェアがとても楽しかったから。(一人暮らしは正直寂しかったのも理由)
この暮らしの中で気づいたのは、一緒に住んでいるのに、家族でも友達でもないという関係性の面白さ。
だからこそ、他人としての距離感と、生活を共にする近さのバランスがとても大切だと感じました。
家族だったら遠慮せずに機嫌を出すこともあるし、友達だったら気遣いより気楽さが勝つこともある。
でもシェアハウスでは、“ちょうどいい気遣い”や“機嫌のコントロール”みたいなスキルが自然と鍛えられていきました。
暮らしているメンバーは国籍も年齢も仕事もバラバラ。
でも不思議と、「この街とこの家を選んだ」という共通点があるからか、どこか根っこの価値観が似ているところが面白いです。
育った環境が違えば、心地良さの感覚も全く違う。
例えば、ある海外出身のルームメイトは、夜に部屋の電気を明るくするのが苦手。
「まぶしい」と言われて初めて、私は自分の“明るい照明の家で育った感覚”に気づきました。
最初は戸惑ったけれど、そこから「お互いにどうしたら心地よく過ごせるか?」を話し合って、歩み寄ったことも良い経験でした。
そして改めて感じたのは、人は“家の中”にいるときのほうが、外よりもずっと素が出やすいということ。
外で出会っていたら、きっと仲良くなっていなかったかもしれないような人。
性格も趣味もバラバラで、最初は共通点なんてなさそうだった人たちとも、一緒に暮らしていく中で「意外と面白いな」と思えて距離が近づいていく。
お互いにちょっと本音をこぼしたり、弱音を見せたり、
“外”よりもよっぽど人として向き合う時間があって、そこにすごくあたたかさを感じました。
特に、夜遅くまでリビングで語り合った時間は私にとってすごく印象深いものでした。
価値観やこれまでの経験をじっくり共有するような、そんな深い対話をするのは人生で初めてで、
「人ってこんなに思考や感覚を言葉にして話し合えるんだ」と、驚きすらありました。
少し大げさかもしれませんが、私の中で“人との関係性の新しいレベル”に触れた瞬間でした。
それは、外ではなかなかできないような、深くて豊かなコミュニケーション。
私はこの家の中で、人と向き合うことがどれだけ面白くて、尊いものなのかを何度も実感しました。
シェアハウスでの暮らしを通して、私は沢山の「人との関わり方」を学びました。
・ちょうど良い距離感を保ちながら、他人と気持ち良く過ごすための工夫
・考え方の違いを受け入れ、「こういう感じ方もあるんだ」と思える寛容さ
・衝突を避けるための、やわらかく伝える言葉選び
・自分の感情をコントロールしながら、周囲と調和することの大切さ
そして何より、一緒に暮らしてきた人たちの考え方や姿勢に刺激をもらいました。
「私もこんなふうになりたい」と思える人に沢山出会えることは、人生においてすごく幸せなことだと思います。
実際、地元に帰ったときに「明るくなった」「話しやすくなった」と友達に言われ、変われた自分を実感することができました。
このシェアハウスに出会えたことは、私の人生の中で一番の幸運だと思っています。
人と暮らすことで、こんなにも自分の考え方が広がって深まっていくなんて思ってもいませんでした。
ここでの暮らしがこれからの自分の土台になっていく。
この経験はきっと仕事の現場でも活かしていけるのではないかと思っています。