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七転び八起き

授業が終わった時、私の机の上は涙のあとでいっぱい。

【オーストラリアで】

先生にいちばん近い席で、「一言一句を逃すまい!」と睨んでいるのに、先生の言っていることが全然わからん。授業が終わる言葉さえ聞き取れん。なんなら、先生のが書いている文字は私の知っているそれとはかけ離れてるし、何て書いてんねーん!?宿題が山ほど出てるのに、プリントの問題文の意味がそもそもわからへん!!どうやってこの量するんじゃ〜!!どうやって調べるんじゃ〜!!ギャ〜!!←を通りこすと、勝手になみだが落ちるらしい・・・。

【マレーシアで】

「さぁ、システムの売り先さがしてね、これ、三水会の冊子ね!参考にしていいからね〜。」・・・と言われたので(わたし、新卒)、日系企業に電話をかけるが(inマレーシア)、受付のマレー人のお姉ちゃんにさくっと電話を切られておしまい。どうする・・・どうする・・・?(炭治郎か!?)そうだ!英語が話せない日本人のふりをしてもう一回やぁ〜・・・。

「は、ハロ〜・・・め、めいあいトークトゥ〜・・・さ、さとうさん?(いそうな名前を言ってみる)」

【神戸で】

「はい、本日からエフェファーム(発電する給湯器)売りま〜す。エネファームに、床暖房とガスコンロと浴室暖房乾燥機、できたら太陽光発電もつけて売ってきてね〜。勿論、いつも通り、給湯器の点検からら買い替えに持っていってね〜。」・・・と言われても、問題もなく使ってる給湯器を誰が300万円かけて変えるねん!太陽光入れたら500万円やん!訪問販売で500万円て!ええっと・・・とりあえず、給湯器の買い替えには持っていけるやろうけど、そこから・・・どうする!?どうするー!?カタログで説明してはみるものの、全然興味を持ってもらえず、逆にちょっと迷惑そうなお客さんも。・・・エネファームって、そもそも電気発電するやつやし・・・まずは、電気の発電から勉強するか。なぜ自分の家で発電するのがいいのかを考えよう。そして、その家のガス代と電気代を聞く。大体、エネファームってちまたで売れてるのか!?調べよう。その家庭に合うであろうカタログ的なものを手書きでその場で作成してみる。次第にコツが掴めてくる。なんとなく、間合いをつかむタイミング(じらし、攻め、説得)直感できるようになってくる。

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3ヶ月たつと、オーストラリアでの授業は頭に入ってくるようになり、課題が多くて大変ではあったが、脱力するほどの難しさではなくなった。留学生をサポートしてくれる場所も見つけたし、ネイティブの友人に助けを求めることもできるようになった。マレーシアでは、100社のアプローチで2社は契約が取れるという確率がわかった。やり手営業マンだった社長のプレゼンを何度も間近でみることができたのはとても幸運だ。神戸では、その期のうちにコツを掴めたようで、3日に1台、エネファームが売れるようになった。なんとかなるものだ。なんとかする前は、どれだけ難しくて難攻不落に見えても、登ってみるとそんなに高い山ではないらしい。どうやら、スーパーマンじゃなくても、なんとかできる・・・ものらしい。この調子で、これからもきっと、なんとかできるだろう。情熱があれば。想いがあれば。