10年の節目と演劇力
昔、飲食店でアルバイトをしていました。結構夢中になって働いて、クローズして片付けた後で店の中で話をしたり。
それは他愛もない話から真面目な話まで。
それでも大半がサービスに由来する話だったと思います。
当時17歳の僕にとって「社会」と「仕事」の点と点が線で繋がった瞬間でした。
14歳の時に地元のアマチュア劇団に誘われて、週に3回の稽古に通うようになり、19歳の時に大阪へ。
俳優へのこだわりが強かったわけではなく
照明、音響、美術、装置、小道具、制作、俳優、劇場、そして観客
すべてが一つになる。
まさに総合芸術が好きだったのです。
公演という一つの目的のために、皆が知恵を絞り、力を尽くし、切磋琢磨して立ち上がる作品の魅力は今でも忘れられません。
きっとそれが原点で、27歳で入った建築の世界でも同じことが起こりました。でも、それは選んだ会社が良かったのかも。
店舗工事の会社というのは、もともと舞台美術の製作をしていたところも多くあります。共通点が多いのでしょう。それはあまり気に留めず、京都の店舗デザインの会社へ就職しました。
相変わらず、演劇と同じように協同制作の現場にいました。
解体から仕上げまで、そしてライティングの重要性は舞台演出とまったく同じです。
特に、京都という地域特性もあり、古と新の調和が求められました。
和の文化でいう引き算の美学
デザイナーたちは各々のモジュールで挑むわけです。
京町屋を使ったお店のたたずまいと美しさはまるで芸術作品です。
小さな会社の施工管理というのは、受注前の打ち合わせ、つまり企画から案件に加わるため、始まりから終わりまでをすべて知っています。
そして店舗デザイン会社へ仕事を依頼されるクライアントの多くは、接客を伴う業態です。
クライアントは経営者です。常にその先に顧客がいるわけです。
そしてクライアントは、顧客のことを常に考え、大切に、大切にしています。
同じ温度で顧客のことを考えなければクライアントに言葉は通じません。どんなに些細な提案も聞き入れてもらえません。
相手はプロですから、自分もプロとして提案をします。
「これはよいですよ。」
「これはやめましょう。」
17歳の時、仕事と社会が結びついていなければ、演劇に携わり協同でつくりあげる感動を知らなければ、
僕の仕事と社会の軸は違うところにあったかもしれません。
そうだったら、経営者と同じ温度で話は出来なかったでしょう。
17歳からの10年と27歳からの10年で得たものは自分の宝です。
そして今、縁があって、ここ知夫里島で地方公務員として働いています。
顔を合わせると知らない人でも会釈を交わすくらいの密接度です。
人のぬくもりの残る
良い島です。
しかし過疎が進み様々な問題が今、この時も一つ、また一つと積みあがっています。
もちろん、問題を解決できない理由は、あります。
さあ、これからの10年は何に取り組むか?
まちづくり
喜び、悲しみ、泣き、笑い、怒り、苦しみ、それでも楽しめる。
まるで演劇のようですね。
なぜか?
まちづくりは人づくりだからです。
人づくりに取り組む。
さて、僕は人をつくる側かつくられる側か?
これも演劇のようですね。
人づくりは地道な取り組みです。
演劇でいえば稽古中
人間力とコミュニケーション力が要求されます。
知夫村版「書を捨てよ、町へ出よう」
こんな企画をスタートします。
こんなことは他の自治体ではできません。
人口1000人未満の自治体だからできるチャレンジが沢山あります。
興味があれば声をかけてください。