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とある若手社員の生き方

伊達 瑛司コーチ

22歳/神奈川県横浜市出身/硬式テニス歴12年、コーチ歴3年

実家は町中華。両親はGODAIの会員であり、自身も小学校1年生から会員として通っていましたが、競輪選手を目指すことになったハングリー精神旺盛な伊達コーチの素顔を伺ってみました。

親の反対を押し切って目指した競輪選手

―—元々、競輪選手を目指していたということですが。

伊達/自転車に乗ることが好きで、高校時代は自宅から高校までロードバイクで通学していました。高校2年生の時に、テレビで競輪選手になるまでの道のりが描かれた特集が放映されているのを見て「こんな世界があるんだ、面白そう!」と思ったのがきっかけです。

高校3年生の夏頃、卒業後の進路を考え始めたときに、小学校1年生から取り組んでいたテニスで大学に進学するか、競輪選手を目指すかの二択で、それまでプロのテニス選手を目指していましたが、今の実力だとプロを目指すのは難しいと思い始めている自分がいて、だったら思い切って競輪選手を目指してみようと思いました。正直、勢いで決断しました。

―—競輪選手を目指すことに、親の反対はなかった?

伊達/「何言ってんだ!!」と言われました(笑)。ずっとテニスをやらせてもらっていて、高校もそれなりに良い高校に入って、大学も行けたはずなのに、いきなり大学に進学せず競輪選手を目指すと言われると、そうなりますよね。それでも自分の中で覚悟が決まっていて、本当に挑戦してみたい気持ちがあったので両親に説明したら、「わかった、それならやってみろ」と言ってもらいました。

―—これまでずっとテニスをやってきて、いきなり違うスポーツに飛び込むのは怖くなかった?

伊達/怖くはなかったです。自分の中では「行動あるのみ」みたいなマインドで、とりあえず自分が興味を持ったものに対しては動いてみようという想いでした。両親から競輪選手を目指すことを了承してもらった後は自分なりに競輪選手を目指すために必要なことは何か調べ、競輪場に電話をしました。「競輪選手になりたいのですが、練習させてくれませんか?」と伝えたら、「明日から来てください」と言われびっくりしたのを覚えています。あ、そういう感じかって思いました(笑)。そして、次の日から川崎競輪場に行って練習が始まりました。

想像以上の練習の厳しさ

―—競輪選手を目指すために練習に取り組んできたと思いますが、ズバリ、何が大変でした?

伊達/まず大変だったことは練習時間が長いことです。まず、朝4時に起きて自転車で川崎競輪場に向かいます。朝6時から12時まで練習し、1時間休憩後、夕方5時ぐらいまで練習して帰ります。帰宅が6時ぐらいで、ご飯食べてお風呂に入って寝て、また練習に向かうという毎日を過ごしていました。

―—そこまでハードな練習で、挫けなかった?

伊達/最終的に挫けてやめてしまいました。理由は様々ありますが、ケガのリスクが一番怖かったです。競輪の世界で1年に1回落車があると不運だったね、残念だったねと言われる世界で、私の場合、1年に5回くらい落車をしてしまいました。練習していくうちに、ちょっと危ないかも、向いていないのではないかという気持ちが強く出てきました。実際、落車で鎖骨を折ったり、頭を打って病院に運ばれたり、身体の至る所に擦過傷という擦り傷があったりと、練習に取り組んでいくうちに不安を覚えていきました。例え選手になれたとしても、「怪我ですぐやめちゃったら意味ないな」と思ってしまったのが挫けてしまった原因です。

―—やむなく断念してしまいましたが、この経験で得たものは大きかったのでは?

伊達/競輪選手を目指していた時代にコミュニケーションのコツを掴んで、それがテニスコーチのグループレッスンのお仕事に活かされていると思います。競輪の練習でも、グループで練習します。試合でもチームで協力して勝つ世界です。グループ内のコミュニティで、仲間と協力して行った練習やグループワークにより、グループレッスン時に、お客様が大勢いる中でどうやって輪に溶け込んでいくべきかを自分なりに考え、その場に適した立ち振る舞いが出来ていると思います。

競輪経験をフル活用したコーチのお仕事

―—現在はGODAIのテニスコーチとして勤務されていますが、テニスコーチは何が大変?

伊達/お客様が自分のレッスンに足を運んでいただいている以上、お客様に何かを提供しなければならないというプレッシャーでしょうか。他のコーチと比べて自分は若いので、お客様が自分の話を聞いていただけるか、自分の説明で納得していただけるかという不安とプレッシャーを日々感じています。レッスンが上手くいった日もあれば、上手くいかなかった日を積み重ねていくなかで、良かった日が続いて、少しずつ悪かった日が減ってきて、多くのレッスンに対して真剣に取り組んできたおかげで、プレッシャーとの向き合い方も学んできました。

―—レッスンが上手くいかなかったときに、周りからのサポートは?

伊達/日々、先輩たちが声をかけてくれます。「瑛司大丈夫か??」とか、「レッスン大丈夫そう?」とか。私が何か困っていた時に「それはこうするんだよ!」とアドバイスをパッといただけるので助かっています。徐々にメインコーチを務める機会が増えていき、周りの方々がとても心配してくれます。それが、特定の人たちだけではなく、スタッフ全員がしてくれます。コーチに限らず、フロントのスタッフからも「最近、大丈夫?」「ありがとうございます!大丈夫です!」みたいなやり取りをしていますが、そういう一声があるだけで気持ちの持ちようが全然違います。

―—GODAIテニスコーチのやりがいとは?

伊達/お客様とコミュニケーションを取り続け、だんだん信頼関係が築き、自分に携わっていただくお客様のテニス技術が向上することです。自分が言ったアドバイスのおかげで、お客様から上手くいったと言っていただくとことや、「この前こういうことを言ってくれて、やってみたらすごく良かった!」と直接言われると、やはりそれがやりがいに繋がります。また、自分が休んだときに「前回伊達コーチがいなくて残念だった、、、」と聞くと、自分がいなきゃダメなんだという気持ちになったりして、それがやる気に繋がります。

―—お客様と信頼関係を築くことに関して、伊達コーチなりに気を付けたことは?

伊達/圧倒的にコミュニケーションですね。毎回のレッスンで、レッスン中に起こった出来事をその場でパッと言ったりすると、それが会話に繋がる経験が何度もあります。そして、お客様と会話する際には、こちらから仕事の話題には触れないようにしています。GODAIは娯楽の場であって、仕事の話をされるとお客様によってはイライラするじゃないかなと思っています。極端な話、千葉県浦安市にある某有名なテーマパークで「昨日の仕事どうだった?」とか聞かれても、「今仕事のことを考えたくないんだけど」となると思ったので、お客様がGODAIで気持ちよく過ごしていただくためにも、仕事外のことをネタに会話するようにしています。

―—コミュニケーションを武器にテニスコーチとして活躍されていますが、現在の課題とは?

伊達/その場のお客様に合った適切なアドバイスをすることです。お客様一人ひとりに合った返しができているかどうかとか、お客様が欲しいところで欲しいアドバイスを提供するのがベテランコーチだと思いますが、自分はお客様が欲しくないときにアドバイスを提供することがあります。あくまでも主観ですが、お客様が「そんなことわかっているよ。」という時に、畳みかける形で「もっとこうしたほうがよいです!!」と言ってしまっていることがあると思います。現状、アドバイスの面でちゃんと出来ているかと問われたら全然出来ていません。本来、運動量を出しながら適切な矯正を行うべきところ、ただ運動量が多いレッスンを提供してしまっているんだと思います。

―—その課題をどのように克服しようと?

伊達/これも場数だと思います。ただ、レッスンをこなすだけだと学びがないので、日々、自分で何かを感じ取ってレッスンを実施していく経験が大事だと思います。感じ取るためには、お客様側の気持ちを忘れないようにしています。アシスタントコーチとしてレッスンに入る際に、メインコーチの話を淡々と聞くのではなく、なぜそういったことを言ったのかを自分なりに汲み取ります。様々な答えや考えがあっていいことを前提に、必要に応じて吸収して解釈し、自分がメインコーチを務めるレッスンのときにメニューに取り入れてパフォーマンスしてみる。この一連の流れで、課題克服に取り組んでいきたいと思います。

コート上で一番輝く存在でいたい

―—近い将来、GODAIテニスコーチとして両親にどのような姿を見せたい?

伊達/存在感あるコーチの姿を見せたいです。コートをパッと見渡した時に「あ、伊達コーチがいるな!」と、他のコーチに埋もれないようにやっていきたいです。存在感を出すためには、もっと自分が輝く必要があって、自分が楽しくなきゃお客様は楽しめないと思います。なので、まずは自分がテニスを楽しむことで自分が輝くのかなと。輝けば、お客様も「輝いているコーチいるな、すごいな!」となるのが理想的です。この楽しむのなかに、ちゃんとお客様一人ひとりに対して適切なコーチングを行うことが含まれていて、今後このスキルを磨き上げて、現在所属しているGODAI港北で一番存在感あるコーチを目指します!

興味を持ったことにはジッとできない行動力と、未知なる世界に果敢に飛び込む勇気を持つ伊達コーチ。知れば知るほど、応援したくなる魅力は一体どこから湧き出てくるのでしょうか。世間体にとらわれない型破りなバイタリティが、今後のテニス業界に新しい風を吹き込むと思います。(記事作成者_坂口)