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なぜ美術なのか?(4)

ルドンとの関係についてもう少し書いてみます。

ルドンと就職がどう関わるのでしょうか。それは、ルドンの自伝にヒントがあります。

自伝「私自身に」はルドン自身が書いた随筆集のようなものです。画集やカタログはたくさんありますが、作家自身の言葉がまとめられている書籍はあまりありません。

そのため、作家研究をする際には必須の書物です。


ルドン 私自身に:みすず書房
オディロン・ルドンは、夢やファンタズマゴリーを描きつづけるとともに、自然のヴィジョンに決してたじろがなかった画家である。少年の日の記憶、普仏戦争での一兵士としての体験、植物学者クラヴォ一によってひらかれた未知の生命体への驚き、孤高の銅版画家プレダンとの出会い......。ラ・ヴィ、人生、生活、生、こんな言葉がこれほどくり返され、画家の内面がこれほど率直に語られる芸術論は稀れであろう。ここには...
https://www.msz.co.jp/book/detail/01522.html

この書籍が、前職で印刷されていました。それがきっかけとなりました。


大学院進学を諦め、就活も出遅れて落ち込んでいたところルドンは前へ進むためのヒントをくれました。

なぜこの印刷会社かというと、実は自宅から車で10分くらいの会社だったからです。前々からよく知っている古い印刷会社でした。

面接の際、ルドンの魅力とこの本によってとても勉強が捗ったという話を熱く語ったのを覚えています。ほとんど演説に近かったと思います。

無事採用になり、なんと採用になったその年に2刷が決まりました。およそ30年ぶりの重版でした。

そこにも何か運命めいたものを感じました(ほとんどこじつけに近いのですが)。

そんなこんなで、私の人生とルドンの数奇な関係について紹介できたのではないかと思います。

では、次回、ルドンの絵自体についてお話ししていきましょう。一体どんな絵を書くのでしょうか。

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