1
/
5

自分の武器を持つ

真っ暗な寒空の中わたしは一人、始発の電車を目指す人々にちらしを差し出していた。「おはようございます」「いってらっしゃいませ」この言葉を繰り返し投げかけていたが、通り過ぎる人々は下を向き、返事が返ってくることはほとんどなかった。でも、たまにカイロをくれるおばさんや、アドバイスをくれるおじさん、朝まで飲んで酔っ払ったお兄さんが面白おかしく接してくれた。それだけで勇気づけられる経験だった。

当時の私は、地方選挙に出馬しようと燃えていた。朝は街頭演説、昼は町中を駆け巡り、夜は当選するために戦略を練った。とにかく燃えていた。しかし、いつも何かが足りないと感じていた。私はこのまま政治を目指していいのだろうか。大学卒業後すぐに代議士に弟子入りし、政治の世界しか知らないわたしが、万が一当選して政治家になった場合、私は何を成し遂げられるのか。代議士のもとで選挙のやり方や政治家の姿勢は学んできたが、実際に私はどうやって国民の為に貢献していくのか不明確だった。

そこで私は自分だけの「武器が欲しい」と猛烈に思った。自分ならこれができる。その領域ならばどんな課題に対しても提案できるくらいに何かを極めたいと思った。そして、その専門性がきっと将来の自分の武器になると信じてやまなかった。そこで私は、最も流れが速いIT業界に目を向けた。この業界が目まぐるしいスピードで進化していくことは誰もが知っている。そこに私は政治との接点を見出しのだ。政治は10年先、20年先をみて行動しなければならない。ITも一緒だ。世界がどのように変化していくかを考えて先手をとって行動していくことこそが、大きな勝利を生み出すのであった。そこで、私はIT業界にしぼり転職活動を行い、未経験ながらIT企業デュアルに入社することが叶った。この会社で自分に専門性を身に着け、武器をもつことを誓ったのである。デュアルに入ってからは新しいことだらけで慣れない部分も多々あったが、幅広く経験・挑戦をさせてくれる社風、社員ひとりひとりが高い意識を持って業務に取り組む姿勢には大変刺激を受けている。負けないように切磋琢磨することで、会社全体のレベルがあがっていくことが良く分かる。自分より若くても優秀な方はたくさんおり、怠けてはいられない。未経験だからこそ切り込めることもあるため、遠慮せずに突っ走っていきたいと思う。

「自分の武器を持つ」これが達成されたときようやくつぎの一歩が見えてくるだろう。その日まで、ただひらすらに勉強をするだけだ。

1 Likes
1 Likes