わたしたちは様々な分野のコンピューターソフトウェアを開発してきました。現在は医療や福祉の現場で最新のコンピューター技術を活用することをテーマにしています。
わたしたちは、以下のような取り組みをしています。
(1)関節可動域測定装置 MMV鑑
リハビリ向けの関節可動域測定装置「Mobile Motion Visualizer 鑑(あきら)」を開発・販売しています。鑑はKinect2を用いたリハビリの記録および計測をする装置です。
リハビリで可動域がどの程度回復したかは、ゴニオメーター(分度器)をつかってアバウトに計測するくらいしかできませんが、鑑を使うことにより、簡易に計測でき、リハビリ前後の比較が可能になります。
コンピューターでの動作解析には非常に高価な製品が必要とされていました。しかし、ここ5年ほどのセンサー技術の発展によって、安価な装置でもある程度の動作解析はできるようになってきました。それらの技術はロボットや自動運転で使われていますが、医療の分野でも利用できそうだということで、一部の医療関係者には注目されています。
わたしたちの製品も、関心を集め始めています。
いくつかの学会で、MMV鑑を活用した研究を医師や理学療法士の方々に発表していただきました。その機会に学会での企業展示に参加しています。2017年は日本人工関節学会(沖縄)、第29回回復期リハビリテーション病棟学会(広島)、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(札幌)にて展示いたしました。
現在も医師や理学療法士の方々からのご意見を伺いながら、利用法の研究や追加開発を行っています。
(2)座位保持装置製作支援システム 楽バック
楽バックとは赤外線センサーを利用して、ウレタン製の座位保持装置を作成するための型取りを簡略化するシステムです。石膏で型取りをするより、納期短縮と低コスト化を実現できます。
座位保持装置とは、車椅子の上に置くクッションのような形状のものです。寝たきり状態による内臓機能等の低下を防止したり、日常生活動作の向上を図るもので、とても重要な意味があります。
高齢者介護の現場でも、要介護者が座れるようにするために座布団やクッションを用いて体を支える工夫をしている場面をよく目にします。しかし座位保持装置の存在はそれほど知られていません。優れた座位保持装置は痛みを軽減したり誤嚥を防止したりするために効果があります。
わたしたちは、このようなシステムによってもっと手軽に座位保持装置を製作して活用してもらえるのではないかと考えています。
この取り組みは、国際福祉機器展(HCR)2016の「福祉機器開発最前線」ブースの招待展示枠にて紹介していただきました。
(3)擬人的媒体を利用したコミュニケーションツール
スマートフォンアプリ「スマクロ」を開発しています。中小企業新事業活動促進法に基づく異分野連携新事業分野開拓計画に認定されており、大学や自治体と連携して開発を進めています。
「スマクロ」は会話をする機会が少ない高齢者の方が、スマートフォンアプリを使った簡単な操作で、遠くに住む家族とコミュニケーションを気軽に楽しめるビデオメッセージアプリです。
スマートフォンを着ぐるみで覆い、機械的な部分を隠すことで電子機器に対する高齢者の方々の拒否反応を払拭するとともに、心を持ったメッセージとして受取ることが出来る効果を持っています。
これらはいずれも最近のITの発達により、過去においては高価であったものが、近年は低価格に手に入れることができるようになった技術を利用しています。わたしたちはIT業界で培ってきたノウハウを、単に事務処理の向上といったことだけではなく、もっと深い部分で医療や介護の現場で利用していきたいと考えています。