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株式会社Gaudiyに、石川竜一郎・早稲田大学教授がコミュニティサイエンス顧問として就任。ゲーム理論を応用した「あたたかいコミュニティ」をつくる理論を、共同で研究・社会実装へ

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ABOUT

エンタテインメント業界のDXを推進する株式会社Gaudiy(東京都渋谷区、代表取締役社長:石川 裕也、以下:Gaudiy)に、早稲田大学教授でゲーム理論及び情報経済学を専門とする石川竜一郎氏が、コミュニティサイエンス顧問として就任したことをお知らせいたします。今後、SNSやコミュニティにおける炎上や誹謗中傷を、ゲーム理論を用いて科学的に分析・理論化を共同で進めます。この結果、企業がリスクを恐れずに新たなエンタメ表現に挑戦でき、多様なファンが一緒になってIPを楽しめる「あたたかいコミュニティ」システムを共同で研究および社会実装を進めてまいります。

【就任の目的】
Gaudiyは「ファンと共に、時代を進める。」をミッションに、エンタメ業界(音楽、マンガ、アニメ、ゲームなど)のDXを推進するブロックチェーン企業です。ブロックチェーンを活用したコミュニティサービスを中心に事業展開しており、性別・年齢・国籍・楽しみ方が異なる多様なファンが一緒になってIPを楽しめる「あたたかいコミュニティ」を、グローバル規模でつくれる仕組みの構築を目指しています。

しかし昨今のSNSやコミュニティでは誹謗中傷や炎上が大きな問題となり、ファン同士で傷つけあってしまったり、企業もリスクを意識するあまり新たなエンタメ表現への挑戦を萎縮してしまうなどの状況が生まれています。そこでGaudiyでは、これまで漠然としか捉えられていなかった誹謗中傷や炎上の構造を科学的に分析・理論化し、IPをもっと楽しめる「あたたかいコミュニティ」を実現するため、コミュニティサイエンス顧問として石川竜一郎氏を迎えました。石川氏は早稲田大学教授でゲーム理論及び情報経済学の専門家です。今後、ゲーム理論を取り入れながら、誹謗中傷や炎上を科学的に分析し、多様なファンが共存して楽しめる仕組みや、企業の適切な対処や防止に繋がるシステムを、共同で研究およびGaudiyのコミュニティサービスへの実装を進めてまいります。

【共同で研究・実装する内容】
具体的には、大きく2つの研究・実装を進めます。

一つ目は、ファンのタイプの分析と炎上構造の理論化です。
IPコンテンツで問題となる誹謗中傷や炎上には、様々な要因や発生構造がありますが、これらを科学的に把握できていません。そこで、多様なファンのタイプを分析し、どのような要因や構造で誹謗中傷やネガティブな声が上がるのかを分析・理論化します。
研究には、石川氏の専門である「帰納的ゲーム理論※1」を応用し、コミュニティ内における多様な価値観を持つ主体が集まることで生じる偏見や先入観の発生を理論的に分析していきます。特に過去に活動していたコミュニティにおける独特な行動様式が、新しいコミュニティの活動においては障害になる可能性があることを考慮し、過去の行動様式を生かしつつ、新たな場で新しい行動様式を形成しやすいメカニズムを考察します。
これを通じて、Gaudiyが提供する「Gaudiy-DID-System※2」を活用し、コミュニティ、ゲーム、マンガ、映画など、プラットフォーム横断的に一つのIPを楽しむファンを解析し、新しいコミュニティの成立過程も視野に入れた「あたたかいコミュニティ」確立のための理論分析を進めます。
そうした分析に基づき、企業が多様なエンタメ表現に挑戦しやすく、ファンがIPコンテンツをより多様な形で楽しめる世界をつくります。

二つ目は、ファン同士の「関係性」にフォーカスし、多様なファンが一緒になって楽しめる「あたたかいコミュニティ」を実現するシステムの構築です。
誹謗中傷や炎上は、ファン個人の性質だけでなく、その主張に同調したり対立する、別のファンとの関係性が大きく影響しています。特に横断的プラットフォームで問題になるのは、個々の匿名性です。匿名性を保ちながら構築される信頼・協力関係を科学的に分析し、ファン同士が協調しあえる関係性の構築を支援するインセンティブ設計に取り組みます。
具体的には、匿名のファン同士が形成する関係性とその継続性に注目し、ファンが考える関係性の時間軸を考慮した活動を評価するメカニズムを、ゲーム理論で研究されている「繰り返しゲーム※3」によって分析します。その分析に基づき、IPへの応援や貢献、例えば好きであることの評価や協力の促進度などをトークンエコノミーによって設計し、ファン同士があたたかい関係性を自然と構築できるような仕組みを繰り返しゲームに成果に基づいたインセンティブ設計を通じて実装してまいります。

【Gaudiyについて】
Gaudiyはゲームやアニメ、漫画など、エンタメ業界のDXを促進するブロックチェーン企業です。現在、大手エンタメコンテンツ企業を中心にブロックチェーン技術を活用したDX事業やアプリケーション開発や、ファンによるトークンエコノミー事業を国内外で推進しています。
またGaudiyでは、DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)に基づく組織づくりを推進しており、社員だけでなく様々な専門家やパートナー企業を巻き込みながら、分散的に共創しながらビジョンの実現へ向かっています。これまで坂井豊貴・慶大教授が経済設計顧問として、大人気漫画「アオアシ」取材・原案協力の上野直彦氏がストーリーディレクターに就任しております。
大学教授との取り組みについてはこちらもご覧ください。
https://www.wantedly.com/companies/company_1054213/post_articles/291609

コミュニティサイエンス顧問 石川竜一郎氏

【プロフィール】
早稲田大学国際学術院教授。一橋大学博士(経済学)。サービス学会代議員および数理経済学会理事。共編著に『制度と認識の経済学』(NTT出版)がある。認識論的ゲーム理論、実験経済学を専攻。意思決定における学習過程を分析する帰納的ゲーム理論の研究、経済実験を通じた資産価格バブルの研究に従事。国際業績一覧はHP(http://www.f.waseda.jp/r.ishikawa/)を参照。

【コメント】
私たちはいま、現代の産業革命と呼べる大きな変革の時代を生きています。それにより私たちの社会は大きく変わり始めていますが、Gaudiyはその最先端で新しい「良い」社会を築こうとしています。どのような社会においても、人と人の関係を無視した社会に良い未来は訪れません。Gaudiyが描く良い社会とは、まさに人々が楽しく過ごしやすい「あたたかいコミュニティ」なのです。そのあたたかさを灯すために学知が生かされるのであれば、これ以上の喜びはありません。

経済設計顧問 坂井 豊貴氏

【プロフィール】
慶應義塾大学経済学部教授。米国ロチェスター大学Ph.D.(Economics)。著書に『多数決を疑う』(岩波新書、高校教科書に掲載)、『マーケットデザイン』(ちくま新書)、『暗号通貨vs.国家』(SB新書)ほか。ゲーム理論を用いた制度設計(メカニズムデザイン)を専攻、株式会社デューデリ&ディールでは不動産オークションの設計実務に携わる。国際業績一覧はHP( https://toyotakasakai.jimdofree.com/ )。

【コメント】
Gaudiyに二人目の石川(一人目は社長)が参入と聞いて、誰かと思ったら友人のドラゴン石川でした。ゲーム理論を活用して誹謗中傷の対策を練るそうですが、石川たちだけで楽しそうにやってないで坂井も交ぜてください。

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※1 帰納的ゲーム理論:個々の主体は等しく合理的であるという標準的ゲーム理論の想定とは異なり、主体が過去の経験によって先入観や偏見を伴う意思決定することを想定して分析するゲーム理論。

※2 Gaudiy-DID-System:ブロックチェーン上で構築された分散型アイデンティティ(Decentralized Identity : DID)を利用することで、異なる企業やサービス間のデータ連携を低コスト高セキュリティで実現するサービス。
詳細はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000035719.html

※3 繰り返しゲーム:相互依存的な状況下で反復的に意思決定を行う状況を分析するゲーム理論の一分野。長期関係を伴う意思決定を通じて、どのように協力関係が形成されるかを分析する。