1
/
5

知られなくてもよい植物のはなし

私たちの活動拠点、天王洲キャナルイーストは、倉庫をリノベーションした建物が並ぶ一体感のあるエリアです。

建物の外観には無機質なクールさがありますが、それと対照をなす存在のひとつが植物です。よく見ると至るところにさりげなく、でも気前よく(笑)植えられています。街路樹の定番とも言える常緑樹もあるのですが、キャナルイーストの植栽には花が咲く植物も散りばめられているのです。

花の種類はバラバラですが、実はそのバラバラであることに小さな秘密がありました。花の種類というよりは、咲く季節がバラバラなんだとか。それは、このエリアを歩く人が、1年を通じていつもどこかで花が見られるようにという想いがあるから。桜もソメイヨシノだけではなく、河津桜があるのもその想いから。真冬に花を咲かせる植物もありますよ。もうひとつ、花を咲かせる植物を選んだ理由としては、花も葉もつけない時期のある植物だからこそ感じられる、自然の流れも大切にしていると聞きました。


さらに、花や木のある植栽のエリアにも秘密がありました。円形や曲線で縁取られているところが多いのですが、周囲の建物の持つ直線的な印象と対比を描くようなデザインが施されているそうです。私たちは植物からリラックスや癒しの感覚が引き出されることも多いですが、同じ感覚は直線よりも曲線や規則性のないものからの方が感じやすい気がします。植物だけでなく、人間の自然な気持ちにも沿っているのかもしれません。

ただ、そもそもこの一帯の植物は「気合い入れて作り込んだから必ず立ち止まって見てくださいね」「ほら、ここにお花があるでしょう」と主張したり、押しつけたりしない、自然とそこにあるように考えられているそうです。だからここまで読んでいただいたことは、デザインした人たちにとっては、知られなくてもよい話らしいです(なんと!)。でもこんなステキなエピソードを知ったら、つい言いたくなってしまうのもまた人間の自然じゃないかと思うのです。

ひっそり佇むアート作品同様、気づかなくても困らないけど気づくと楽しい、そのストーリーを知るともっと楽しい、という要素が随所に見え隠れする天王洲キャナルイースト。日常を特別な時間や空間にしてくれるデザインの力は、寺田倉庫の中にも外にも溢れています。

寺田倉庫株式会社's job postings
3 Likes
3 Likes

Weekly ranking

Show other rankings