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【職人のテツガク⑨】「占いと兼業」「子育てと両立」ー2人のインハウスデザイナーが自分軸で働く方法

自社のイメージの一貫性・統一感を保つために、社内にデザイナーがいることは重要なポイントだと私たちは考えています。たとえばアイコン一つから、ユーザーの操作する画面の使いやすさ、資料の見やすさまで、それぞれが信頼性を高める要素になるからです。こういった仕事に携わる人たちは、どんな背景でデザイナーになり、どのように働いているのでしょうか?UXチームの北林万里奈とR&Dチームの小勝真喜に話を聞くと、意外な共通点や、週4や時短勤務+副業といった自由な働き方が見えてきました。

左:北林万里奈(きたばやしまりな)

早稲田大学法学部卒。制作会社にて大手企業の広告デザインを多数手がけた後、ベンチャー企業でのリードデザイナー経験を経て、2019年8月にFaber Companyへ入社。IR・サービスデザイン戦略・UXデザイン設計からビジュアルデザインまでデザイン領域を幅広く担当。

趣味は料理・フルート・占い(する方)。最近犬(ポメチワ)を飼い始めた。

右:小勝真喜(おがつまき)

大学卒業後パラリーガル・公務員・経理事務として働いたのち、デジタルハリウッドにてWeb制作を学び、制作会社に入社し制作職としての職務経験を積む。2019年4月にWebデザイナーとしてFaber Companyへ入社し、Webサイトやイラスト等の制作を担当。漫画と映画大好きなインドア派。最近のマイブームは「CLIP STUDIO PAINT」いじり。

「かっこいい」のその先へ。「人のために設計する」意義

ーーまずは今、2人がどんな仕事をしているか教えて下さい。

小勝:私は自社ツールの活用事例ページや、自社運営メディアなど、Webサイトのデザインを担当しています。社外のお客様向けに納品する記事に図版をつくる仕事も担当しています。

小勝真喜デザインの一例:自社メディア「ミエルカジャーナル」(左)、ツールを使った企業のインタビューをまとめたミエルカ活用事例ページ(右)

北林:私はUXデザイン設計からビジュアルデザインまで幅広く担当していますが、最近は会社のサービスデザイン戦略にも携わっています。

北林万里奈デザインの一例:店舗運営者向け「ローカルミエルカ」のツール操作画面(左)、サイト改善ツール「ミエルカヒートマップ」のランディングページ(右)

ーー小勝さんの「これやって良かった!」という仕事は?

小勝:オピニオンメディア「NOISIE(ノイジー)」のデザインです。納期の都合で100%クオリティに納得できないままどうしてもリリースせねばならない仕事もある中で、自社メディアとして立ち上げたこのサイトでは、細部までメディアの伝えたいメッセージを表現できたと思います。残念ながら社内事情で現在更新がお休み中ではありますが、デザインワークとしては自分のポートフォリオ(自分の実績やスキルを周囲に伝えるための作品集)の真ん中に載せたい仕事です。

社会へ違和感を持っている人をエンパワメントするオピニオンメディア「NOISIE

ーー北林さんはどうですか?

北林:入社してすぐの頃に、社外向け資料のテンプレートを刷新できたことです。同僚に「作業効率が上がった」「お客さんに堂々と出せるようになった」と口々に言われました。それまでバラバラのデザインやフォントで出していた資料のビジュアルを統一することによって、「自分の提案が、実はお客様にダサいと思われていたかも…?」と気づいてくれた人が増え、社内でデザインの関心も高まりました。

プレゼンのエキスパートである鈴木謙一さんがCSチームに「使いなよ」と号令を出してくれたり、社長の稲次さんから「パワポのテンプレートはこだわりがあり、長年同じのを使っていたけど、これ、いいねえ」と評価されたこともうれしかったです。

北林デザインで刷新されたプレゼン資料の一例

デザインはそれを見る人の行動の変化を生み出す

ーー統一されていると企業への信頼感がアップしますよね。

北林:デザイナーの仕事は狭義では「見た目を良くする」ですが、広義では「人のために設計する」こと。会社から発信されるすべてのビジュアルを統一するのは基礎的ではありますが、利用や投資に値する企業として認知される上で、欠かせない要素だと思っています。

ーーインハウスデザイナーにとって仕事の「ゴール」ってどこにあると思いますか?

北林:納品しておしまいではなく、成果が出て、次の仕事につながることです。お客様から「ローカルミエルカってかっこいい」とお声をいただくと、別部署から「うちのツールもかっこよくしたい」と要望が来ます。社内でのデザインの存在価値上げることにもつながっているのはうれしいですね。

小勝:北林さんと同じく、担当部署より「お客様からお褒めの言葉をいただいた」などのフィードバックをいただけるのはやりがいです。さらに数字(PV=ページが閲覧数やCVR=そのページから購入や申し込みに至った率)につながれば成功!と感じます。

ミエルカ事例ページを大きくリニューアルしたら、協力企業の方からも「見やすくなったね!」と評価をいただきました。ミエルカジャーナルも、見やすくして目次をつけたら熟読率が向上したのです。さらに新設した動線からCV(ツールの申込み)が発生するなど、お客様の行動を変えることにつながっていることがわかると「やって良かったな」と。

法律畑からデザイナーに?意外な共通点

ーー今回プロフィールを寄せてもらってびっくりしたんですけど、2人とも法律畑の出身だったんですね?!

小勝:そうなんです。新卒ではパラリーガル(弁護士の法律業務を補佐し、定型的な事務を代行する仕事​​)でした。破産手続きはたくさんやりましたね(笑)。

北林:私は法学部だったので、「入ったからには官僚になろう」と勉強して、省庁のインターンにも行きました。

ーーそれがどうしてデザイナーに?

北林:もともとWeb業界に興味はあったんです。3歳ぐらいからWindows95のペイントソフトをおもちゃにしている子でした。小学生の頃はPTAの広報誌のデザインをして、中学生の頃は携帯の待ち受けやデコメールの素材を作って。大学生になると、フリーランスでサイト制作の仕事を受注していました。

いざ官僚のインターンシップに参加すると「私のようなフリースタイルの人には合わない仕事だ…」と実感しました。「だったらやっていて喜んでもらえるデザインの仕事に就こう」と思って、制作会社に就職したのです。

北林万里奈

小勝:私ももともとパソコンすごく好きでした。仕事はずっと事務系できたけれど、一児の母となり「これまで通り出社必須の仕事は無理だな」とキャリアチェンジすることに。夫が勤めていた「デジタルハリウッド」が運営する専門スクールに、ちょうど主婦・ママクラスが新設されたので、Webデザインを学ぶことにしたんです。初期投資が少ないし、在宅でも学べますから。クラスに行く時も、多くの受講生がベビーカーと一緒。赤ちゃんが泣いても誰も気にしない(笑)。そんな環境で基礎を学びました。​​

ーーどんなキャリアからでもデザイナーにはなれるんですね。

北林・小勝:なれます(きっぱり)。

週4や時短勤務、副業ーー。自由な発想が湧く「しばられない働き方」

ーー小勝さんはスカウトでFaber Companyに入社したんですよね?

小勝:はい。デジタルハリウッドの卒業展示会に出展していたところ、取締役の山田さんが来て、誘ってくれました。当時は「あ、金髪の人が来た、怖い人かな?どうしよう」と一瞬怯んだのですが(笑)。他の企業の方は私のスキルレベルについて質問攻めだったのに対し、山田さんは「うちの会社はね」の自社紹介から入ったのが印象的でした。面談時間は15分で区切られていたので、さらにもう一枠取って、私の希望の働き方や給与も聞いてくれたのです。今から思えば、Faber Companyの社風に合うかすり合わせた上で、本気で私を雇おうとしてくれた。熱意を感じましたね。

ーー希望の働き方はできていますか?

小勝:はい。私の希望を通してくれました。前職の制作会社は経験を積むための丁稚奉公のつもりだったので給与が安かったのですが、山田さんは私のスキルを評価して希望の水準まできちんと引き上げてくれて、週5の時短勤務(9時〜17時)も整えてくれました。17時に終わらないと保育園のお迎えに間に合わないので、今も残業一切なしで働いてます。また副業で、卒業したスクールのチューターもやっています。

ーー北林さんはどうやってFaber Companyに?

北林:デザイナーのドラフト採用サービスに登録したのがきっかけです。いくつかオファーいただいた中に、弊社のUXデザイナー・玉飼さんのスカウトがありました。一人でデザインしていると判断に迷う時もありますが、尊敬できる上司のもとで修行したいなと思って入社を決めました。今は週4社員です。自分の事業としてデザインのほか、占い師の仕事もしています。

ーー占い師でもあるんですね!

北林:そうなんですよー。占い(西洋占星術)は大学生の時から勉強していて、いつかビジネスにしたいなと思っていたので、今は週1を自分の事業にも充てられてよかったです。社外に活動の場があるって、発想の転換にもつながります。

10年先も必要な人材であるための「付加価値の高め方」

ーーUXという「ユーザーの使い勝手を向上させるデザイン」に着目したのはなぜですか?

北林:作って終わりのデザインより、UI/UXはお客様の行動を分析し、PDCAを回しながら常に改善していけるところが楽しいと感じたからです。エンジニア・ビジネスサイドの方々など、自分とは違う知識を持つプロたちと連携できるのもメリットです。一緒に「ここはこのようにしたほうがいい」など話し合いながら、みんなの力でよりいいものを作り上げていく感覚は楽しいですよ。マーケティングの知識も身につきますし。

率直に言うと、ビジュアルだけいい感じに作れるだけのデザイナーだとあまり稼げません。コミュニケーション能力やビジネスサイドの要望を一緒に形にできるスキルがあれば、デザイナーの付加価値は上がり、年収も上がる傾向にあります。

ーー小勝さんも、デザインだけでなくそれをWebデザインをブラウザ上で見える形にするためにソースコードを記述する「コーディング」のスキルもお持ちですよね。

小勝:はい。ただ、いずれはコーディングの技術も自動化されて人の手を介在させる必要がなくなるかも知れません。10年後の世界でも必要とされる人材でいるためには、付加価値を自分でつけ続ける努力は必要だと考えています。最近は新たにデジタルハリウッドで動画編集を勉強してきましたので、今期からはそれを活かして動画コンテンツを作り始めています。

小勝真喜

ーー動画制作も小勝さんに頼める!となったら、ますます頼られそうです。

小勝:スマホの普及で5Gの運用が始まって、高速回線により動画コンテンツのニーズはさらに高まっています。動画編集自体できる方は増えているので単価は下がっていますが、切って貼るだけの編集ではなく、何をどうつなげるかアイデア勝負の時代になってきましたね。

ただ、今の会社規模ではいろいろな部署から並行して仕事が飛んでくる分、要件定義と納期管理が課題です。デザインだけでなく半々くらいの案件ではディレクター役を担っている感じがあります。

ーー北林さんの仕事の流れは?

北林:私も初めは多様な業務の切り分けに苦労しました。今は受注をチャットツール内の1チャンネルに集約し、優先順位付けを徹底してます。無理なお願いする人には、なぜ無理かを説明するだけでなく、極力代案を出すようにしていますね。UXチームの仲間がディレクションを担当してくれるように役割分担が整理できてきたので、大きなプロジェクトではデザインに専念できています。​​

デザイナーとエンジニアの棲み分けを整理した作業分担表

デザインのニーズが一層高まったコロナ禍

ーーコロナ禍で仕事面ではどんな変化がありましたか?

北林:実店舗からオンラインでの販売に注力する事業者様が増えたので、広告LP(訪問者が検索して初めに着地するページ)を作る機会が増えました。また副業の方でも「ECサイトを作りたい」「Webサイトを作りたい・リニューアルしたい」という声を多く聞くようになり、Webサイトの存在価値が上がってきていると感じます。

小勝:今まで対面だったのが、けっこう「Web会議やオンラインランチでも意外といいじゃん」と皆が気づくきっかけになりました。業界全体でウェビナー関係のLP制作やバナーの仕事が確実に増えていますね。

オンライン集客の割合が増えた分、アイキャッチも各社競い合っていて、「クオリティのインフレ」が起きていると思うほど。

北林:働き方の面では、出社とリモートを併用できるようになり、自宅のほうがより作業に集中しやすいので助かった面もあります。私は聴覚過敏なので、周りの音を全部拾いながら仕事する環境だと集中力が下がるので。

小勝:私も。隣で電話を取る音で集中力が途切れたりしていたので、会社より自宅の方が環境をカスタマイズできる分、作業効率は上がっています。

“変人率”の高さ=前例を気にせず「出る杭を育てる」環境

ーーデザイナーの2人から見て、Faber Companyの強みってどんなところだと思いますか?

北林:個性を理解して尊重してくれる社風です。変人率が高く、「変わっている」と言われることの多い私は安心して過ごせます(笑)。はっきり主張していいし、理解してくれるのでありがたい。コミュニケーション苦手な人がいても、得意な人と組んでうまくチームワークが回ってます。

あとは「職人会議」など、能力を発揮する機会を作ってくれる環境です。各人の個性とは何かを深く考えて、育ててくれる上司が必ずいる点も、素晴らしいと思います。

部署を超えて「伝える技術」を磨き合う「職人会議」。リハーサルを重ね、自分の仕事について全社員の前でプレゼンを行う。別部署からも自分が希望する人を選んでメンターになってもらうことができる。

ーー「変人率が高い」(笑)。確認ですが、これ良いことですよね?

小勝:いいことです。私も変わってる自覚があるので(笑)。「出る杭は打たずにそのまま育てる」会社だと思います。

以前、1カ月だけ勤めていた役所では、「前例がない」が新しいチャレンジを避ける理由になっていたのが衝撃でした。現状維持が最上とされる環境では、発展性がないですよね。でもうちの会社だと「前例がない?それが何か」「誰もやったことないことなら面白い!」ってなることが多いですから。

ーー後輩デザイナーが来るとしたら、どんな人に来てもらいたいですか?

北林:NOが言える気の強い人(笑)というのは冗談ですが、違う視点を持つ人に魅力を感じられる人がいいと思います。特にデザイナーではないビジネスサイドの要望も理解しながら、分かり合う妥協点を探すコミュニケーションに面白さを発見できる人なら最高ですね。

ーーお互いの違いはあれど、いいところを認め合って落とし所を探す。ちょっと恋愛みたいですね。小勝さんはどうですか?

小勝:自分で考えて行動できる方がいいですね。業務範囲を狭めず、スキルアップに貪欲な方だとうれしいです。私も採用面接の時に山田さんに言われたんですけど「構ってちゃん」、つまり指示待ち人間でいたい人にはつらい環境かもしれません。

たとえばWebサイトなら頻繁に「ここにこんな写真/イラストがあるといいよね」という話になりますが、「私の仕事はデザインだけです!」と一蹴するのはもったいない。「業務範囲広げるチャンスかも?」と、まずやってみようとする姿勢って大事だと思うんです。そういう「やってみよう」タイプの方に来てもらえたらうれしいですね。

コンテンツ内の写真やアイコン、イラスト制作を自分で担当することも

https://mieru-ca.com/solution/

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