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【職人のテツガク⑤】営業では挫折。「目利きと育ての才」で天職に出会えた元美術商

「営業で使いものにならなかったんですよ、私。それで配置換えになって。挫折感でいっぱいの時、今の事業部を任されたことで、天職と出会えました」。

そう語る岡本は、ミエルカヒートマップ事業責任者として売上を3倍に育てた立役者です。今では役員会議でも頼りにされる期待の若手リーダー。元美術商という異色の経歴からWeb業界へ飛び込んだ「サイト改善の貴公子」に話を聞きました。

岡本洋佑(おかもと ようすけ)

1991年、東京都東村山市生まれ。学生時代から日用品買取のアルバイトを始め、新卒では美術品などを扱う会場型オークション会社に就職。アートの売買を手掛けた後に、2017年3月当社入社。営業、CSを経て、サイトUI/UX改善ツール「ミエルカヒートマップ」事業を担当。マーケティングからテレアポ、サポートまで一人で担当する体制からスタートし、ユーザーのコンサル実績は1,000社以上に。現在は部署を率いる事業責任者。

新卒で飛び込んだ美術売買の世界。「お客さんの無茶振り」が糧に

ーー「美術業界からWeb業界へ」ってかなりユニークな経歴ですよね。

よく言われます。小さい時の夢は「トレジャーハンター」でした。元芸術家志望だった父と、『宇宙戦艦ヤマト』などのアニメヲタクだった母の間に生まれて、美術作品を見るのも創るのも好きでした。大学時代に日用品買取・査定のバイトを始め、新卒では美術品オークション専門会社に入ったんです。

興味深い経験は、たくさんしましたね。

バブル期に世界中から日本に集まった美術品を、今は昇り調子の中国の富豪たちが買い付けに来ています。特に宝石のオークションは活況でした。「あれをすぐ買って」とか「持ってきて」といったお金持ちの無茶振りに対応してきたので、だんだん何事にも動じなくなりました(笑)。その対応力は今でも電話でお客様と話す時に、役に立ってます。

ーーたとえばどんなお客様がいたのですか?

一代で財を築いたお客様のご自宅に絨毯や絵画、骨董を届けに行った時、お客様がお孫さんに「これが全部お前のものになるんだよ」と言っているのを見て「ドラマみたいだな…」と感じたり。別の資産家宅では「絶対売る」「いや売らせない」と、目の前で親族間の相続争いを見る羽目になったり。
一番嬉しかったのは、少しずつ信頼を寄せてくださるようになったお客様が、ロイヤルコペンハーゲンクリスマスプレート100年分とか、ガレのガラス作品集とか、秘蔵のコレクションを自分に任せてくださるようになったことでした。

美術商時代に扱っていたガレ(左)やティファニー(右)のガラス作品

ーー聞いているとめちゃくちゃ面白そうですね!それがどうしてFaber Companyに?

そう、面白かったんです。けれど、好きなものを仕事にするってつらい面もあって。あれだけ好きだったのに、美術館で見るアート作品が値札にしか見えなくなってしまって…。もう一つ、1年ぐらいで業務範囲が見えてきて「このままでいいのかな?」という気持ちが湧いてきました。

大学時代の友人たちと話すと「大きな契約を初めて取れた」とか、「支社の立ち上げに参加する」といった話題が出て、みんな成長しているのが感じられました。他方、私は成熟しきった業界で、シェア65%の企業におり、固定客の中でずっと回る仕事をしている。特殊スキルは身につくけれど、好きな人には絶対売れる有形商材を扱っている分、あまり新しい創意工夫をする社風もない。これから何年も今のままなのかな…と焦りを感じたのです。

ーー「もっと広い世界を見てみたい」という気持ちが湧いたんですね。

はい。そんなモヤモヤを抱えた自分の目に止まったのがWebでした。当時美術品査定の広告運用をしていたWeb担当者が「こういう雑誌読んだら?」「こういう情報調べたら?」と、新しい世界を見せてくれて、すごく面白そうだと感じました。

「ベンチャーを免罪符にしない」という言葉に惹かれたワケ

ーーどんな軸で転職を考えましたか?

営業にも興味があり、「Webツールのような無形商材を売る仕事にチャレンジしてみたい」と、まずは思いました。また、「そこにしかない特別なモノを売っている会社を探そう」と考えて出会ったのがFaber Companyでした。

社長の稲次と会った時、「ベンチャーを免罪符にしない」という言葉が特に心に残りました。「ベンチャーは勢いがある分、失敗ももちろんある、でもベンチャーだから仕方ないよね」は言い訳にならない、お客様に必ず喜んでもらえるサービスを提供するのだという気概を感じました。

小手先のコンサルではなく、10年実際に取り組んできた職人たちのノウハウをツール化している点が質実剛健だなと。その言葉が示すように、訪問した当時の赤坂オフィスもまったくおしゃれではなく、チャラついた社員も見当たらず(笑)、汚いけど美味しい路地裏の名店みたいな雰囲気に好感を持ちました。何より、「MIERUCA(ミエルカ)」の画面を見せてもらった時、「これは未来だ」「売れるぞ」とワクワクしましたね。「検索行動が図に出るなんて!」と。

ーー実際に売れましたか?

いいえ。結局1年半で営業外されてしまったんです。売れなくて。

ーーそれはなぜ?

今から思えば、お客さんの話を聞くのが下手でしたた。ここに尽きます。
こんなすごいツールなので、見せて機能紹介すれば売れると過信して、自分から喋っていたんですね。完全な企業のブランド力頼みです。

でもあとから気づいたのですが、ミエルカのことを喋らない、“聴く”営業のほうが売れているんです。

心を開いてもらって、Web施策にまつわるお悩みを汲み取れるように質問を重ねないと、通り一遍の答えしか返ってこない。その傾聴力のほうが、スラスラ機能紹介できるより、何倍も大切だったんです。
「営業には向かない」。しかも営業成績を上げなければいけないこともつらい。そこに気づいていたのに矛盾を抱えながら働くのは辛かったので、CS(カスタマーサクセス)を担当することになってホッとしました。

営業で挫折。配置換えで出会えた自分の“天職”

ーーCSではどんな仕事をしましたか?

サポートツールを使った、問い合わせ対応の効率化です。お客様が自己解決できるようにするために「よくある質問」をFAQにしてまとめ、問い合わせ対応を何割か削減できました。地道に質問を拾い上げて最適な回答をまとめていく、その様子を見ていた上長が、今度は「岡本は丁寧だな。ヒートマップの担当をしてみないか?」と別部署にスカウトしてくれました。

ーーヒートマップってどんなツールですか?

サイトのどこが見られているか、どこまで読まれているかを分析し、コンテンツをどう組み替えれば改善できるのかを提案するツールです。

そのページを読んだユーザーが「どこで離脱するか」「どこを熱心に見たり、クリックをしているか」をヒートマップで解析し、コンテンツを組み替えると“読まれる率”が上がる

このコンサルが、自分には天職でした。

まず、前職と営業の経験で「自分は競争が死ぬほど苦手なんだ」と思い知ったのですが、一人部署でコツコツと売るための体制構築をするとか、競争相手を気にせずに困っているお客様の問題解決をするとかは、抜群に向いていたのです。

ーーなるほど、何件獲得できるか追うより、目の前の課題解決に向き合う仕事が適職だったのですね。

はい。さらに電話対応に1人アサインしてもらって部下ができたことで、その人の特性を見極めて、合ってそうな仕事で成果を出してもらうことも得意だと気づいたのです。

ーー今のチームは何人ですか?

私を入れて5人です。

数千万円の事業部に成長したヒートマップチーム。現在のメンバーは5人(※インタビュー写真は、本社が入居するWeWork神谷町トラストタワーにて撮影)

問い合わせを受けて荷電する齊藤、齊藤の取ったアポイントから営業をする笠原、契約後のお客様が成果を出せるよう支援するCSの竹口、マーケの市川。
私と同じで、前向きな理由できた人は一人もいません。でも、ヒアリングして人となりを見て、到達してもらいたいゴールだけ示し、いくつかやり方を示せば、フリースタイルですごくいい仕事してくれることに気づいたのです。

たとえば笠原はテレアポを担当していましたが、決められた手順をいったん頭から外して、自由に営業をさせてみたら抜群にうまかったのです。しかもキーマンの心をつかむ才能がある。「本当に真剣に自分と向き合ってくれている感じが彼の表情と声から伝わってくる」「裏表ない」と、評価してくださる先方の担当者が何人もいました。

それで気づいたのが「自分は刈り取るより、種まいて水あげて、育てるほうが得意なんだ」ということ。

5教科のレーダーチャートでも、特定の科目にだけに秀でた人っているじゃないですか。かっちり決まったやり方が向かない人もいます。リーダーはその得意を見極めて、勝手に手が伸びるような得意分野に仕事を割り振ればいい。凸凹でも、全員合わせて円になれば、チームで成果が出せるんです。

ーー「異能異端を和える」という当社の理念を体現していますね。

はい。それぞれの潜在能力を伸ばすって、植物を育てるのと似ていますよね。2年前、何気なくレモンの種を植えたら芽が出たんです(下の写真)。最初は洗面所で月1cmぐらいしか伸びなかった。ところが南側の暖かい場所に置いたら毎月5cmずつ伸びて今30cmぐらいになっています。環境を変えなかったら伸びなかった。もし今後、実がなったら孫ができたみたいにうれしいだろうなと思うのですが、これと同じように、適した環境なら人も輝ける才能を発揮できるんだなと実感しています。

「お客様を育てる」コンサルで顧客数・売上とも3倍に

ーーその「目利きと育ての才」って、お客様対応にも活きそうですよね。

まさにそうなんですよ。ヒートマップのお客様は、企業よりアフィリエイターなどフリーランスの方も多く、Web施策を誰にも相談できない人も少なくありません。
私は「売る」ことではなく、「Web施策で何をしたいのか」を会話から掘り下げて、悩みを解消することに主眼をおいています。

(※インタビュー写真は、本社が入居するWeWork神谷町トラストタワーにて撮影)

Web施策をできる体制がなければ「一人は無理じゃないですか?それだけ予算があるなら、Webマーケターご紹介できますよ」と、Webマーケターとのマッチングサービス・ミエルカコネクトの担当者につないだり。時には「それなら他社のヒートマップのほうがいいですよ。特性それぞれだから、うちの商材だとやりたいことと合っていない。お金もったいないです」と断言することもあります。でもそうやって正直に答えるようにしてきたら、口コミで「良いって聞いて…」と問い合わせてくださる方が増えたんですよね。

ーー視点を変えて、伸ばせる環境づくりをお手伝いしているんですね。岡本さんが担当になった頃と比べてどれぐらい売上伸びましたか?

顧客数、売上ともに約3倍となりました。私個人でもサポートした方は1,000人は超えています。15分刻みで齊藤さんがアポをいれてくれて、最初はとても忙しかったけれど、今はそれぞれの役割をメンバーが担ってスムーズにいくようになり、月数千万の売上の立つ事業部になっています。

ーーすごい成長ですね。岡本さんの目から見てFaber Companyってどんな会社だと思いますか?

うーん、絵画にたとえると、ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」みたいな感じですかね?

ヒエロニムス・ボス作 三連祭壇画「快楽の園」1510-15/マドリッド・プラド美術館

狂気に満ち溢れているように見えるけれど、よく見ると一見訳わからない人が訳わかんなく楽しそうにしている。明るく「わーい」とそれぞれ楽しんでいる感じです(笑)。

うちの職人たちは一歩先見ているんですよね。ミエルカしかり、Warpしかり。最初は1円にもならなそうに見えるのに、何で作ったの?と問われると、「これを作って皆が使ってくれたらうれしいじゃん?」と楽しんでモノを創る。そして実際にそれが本当にビジネスになっていくのを目の当たりにしています。

つまり、目先の利益追わずに、「これを使う人が増えて、便利な世の中になり、世の中が良くなってほしい」という考えがベースになって、実際に支持され、お金をいただくサービスに成長しているんです。

私は自分で何かを生み出せる人間ではありませんが、だれかが作った手塩にかけたものを見るのが好き。そして人を育てるのが好きです。一見尖っている人やオタクな社員ばかりいそうなイメージかも知れませんが、「フィクサー」もいれば、私のように「バランサー」もいます。

それぞれの得意を集めたら誰でも楽しく活躍できる。その場を与えられる環境だと実感しています。

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