※この記事は出前館エンジニアブログからの転載です。(2021年6月8日掲載)
インターネットの発展に伴い商品をネットで購入する機会が増えた昨今、フードデリバリーサービスもユーザーの日常生活になじみ深いものとなっています。マーケティングの成功によりユーザーが著しく増加の一途をたどる「出前館」では、サービスを支えるエンジニアの拡充が急務となりました。
ニューノーマル時代に突入し、フードデリバリ―業界にグローバルサービスも続々参入する今、どのようなエンジニアが求められているのでしょうか?未来を担うエンジニア像について、経営陣に直撃しました。
<プロフィール>
藤原彰二:元キックボクサー。2006年からマーケターとしてのキャリアをスタートし、複数のWebコンサルティング会社で実務責任者を歴任。その後単身アメリカ・サンフランシスコに渡り、O2O事業の投資とR&Dに従事。
2015年LINE株式会社に入社。ショッピング、グルメ、トラベルの領域で6サービスの立ち上げ推進、2000億円超の市場創造に貢献。LINE Pay株式会社CMOを経て、2020年より株式会社出前館 取締役/COOを務める。
鈴木孝知:1998年に日本電信電話株式会社に入社し、2001年より複数の会社を経て、2019年3月に株式会社出前館に入社する。同年7月より、同社の執行役員に就任。2020年11月より同社取締役 兼 執行役員 プロダクト本部長を務める。
時はフードデリバリ―戦争!対グローバルサービスの勝負
―フードデリバリ―サービスにはグローバルサービスの参入も目立ちますが、業界として今どのような状況にあるのでしょうか?
【藤原】
以前、国内のキャッシュレス決済サービスが急増したPay(ペイ)戦争みたいなものがあったと思いますが、今はフードデリバリ―戦争の様相を呈しています。スマートフォンの普及やアプリ化によって、個人の識別子がとれるようになってきている、つまり個人の購買の動きが追える形になってきているんです。そうすると、決済の段階で個人の購買の履歴を追いかけ、その人にとって最適なものを提供するという話になってくる。色々な方法で支払いをする、そこの取り合いになったのが前回のペイ戦争でした。
ほとんど同じ話なのですが、食の領域になると1日3回チャンスがあって、ユーザーがアプリを開く頻度も高い。毎日アプリを開くユーザーも多いので、そういう人たちの購買データを取りたいというのが、戦争になるきっかけだと私は思っていまして。そうすると“日常化”がキーワードになってきます。日常化させていくためには、どういったことをやっていくのか? その一つの視点として、エンジニアリングの手段の話になるのかなと思っています。
【鈴木】
競合が国内企業だけじゃないというところは、当社のエンジニア・開発の一番の楽しさでもあります。国内の企業同士だけで戦っているのではなくて、ドイツやフランスやアメリカや中国……競合が完全に海外の、しかもグローバルサービスです。例えばイギリスが本拠地だけど、香港や台湾やインドに進出して世界に羽ばたいているような、本当の意味でのグローバル企業と、出前館は今戦っているんですね。技術力の面でも同じで、そういった海外のエンジニアとガチで戦える、海外のナンバーワン企業と戦える状況というのは、エンジニアの楽しさかなと思っています。
―グローバルサービスが闊歩する業界状況下で、出前館はどのような課題に直面しているのでしょうか?
【藤原】
これは出前館だけの話ではなくて、日本が試されているというのが正しい表現だと思うのですが、日本って戦後から振り返ると、労働集約型のビジネスモデルが流行っていったんです。100点を出す尖った人材よりも、70点を安定的に出し続ける人材を主に採用してきた。一方で海外ではSaaS型のビジネスが増えてきているので、一人のスペシャルな方がカバレッジをかけてビジネスをする、という話があるのですが、日本ではWEBのIT事業に関してもSaaS型というよりは、どちらかというと代理店型、労働集約型のビジネスモデルを選択している人が多いんです。
これがなぜ出前館の課題になってくるかというと、もともとデリバリ―自体が、半分労働集約型のビジネスモデルと、半分はそうじゃないモデルというところ。注文を受け取る側からすれば、一人の天才が作った仕組みが良ければ、最終的に効率があがるんです。
我々が競合しているグローバルサービスって、超優秀な方が自国で作ってきたものを日本へ持ってきているんですよね。つまり我々は、海外の超優秀な方と勝負しなければいけない状態。ここで僕らが負けてしまうと、人材がどんどん外資に流れて行ってしまう。これは会社の課題というより日本の課題というふうに捉えています。日本のエンジニアが海外の人と戦うというところが、非常に面白い業界だと思っています。
【鈴木】
出前館のビジネスモデルも、裏側はこれまでと大きく変わっています。以前はある意味でアフィリエイトサイトでした。ピザにせよカレーにせよ、お店側がすでにデリバリ―をやっていて、注文もお店で受けている。その注文を代わりに出前館が受けて、注文金額の何%かを手数料でいただくという、注文代行業いわばアフィリエイト業だったわけです。
しかし今はもう、配達代行業なんですよね。注文をとって店舗に料理をピックアップしに行き、ユーザーに届けるところまでのビジネスモデルになったので、システムが全く違うわけです。グローバルのエンジニアたちと、その分野で本気で戦わなきゃいけない。追いつけ追い越せというところだと思うんですよ。
半面、デリバリ―注文を受ける部分、つまり先ほど言ったアフィリエイトの部分では、グローバルサービスも実現できていない痒い所に手が届くサービスになっているんですね。出前館が20年間築いてきた強みを伸ばしつつ、配達代行・デリバリ―の部分は追いついて、事業や技術がフュージョンして、よりよいものを作っていくことが大事。単純に追いつけ追い越せではなく、強みとして持っているメリットも捨てずに伸ばしていくことで、差を出していけるのかなと思っています。
―日本ならではのデリバリ―文化やニーズに合わせたサービス、出前館ならではの強みが注目点になりますね。
【鈴木】
フードデリバリ―って結局フードなんです。おいしくない料理は誰も食べたくない。どんなにサイトが使いやすくても、配達が早くても、届いた後に「料理がおいしかった」というユーザー体験を持ってもらえないサービスは成長できません。
【藤原】
イートインであれば、お客さんの美味しいという表情が顔を見てわかりますが、デリバリ―では表情が見えない。それをコメントしてほしいというニーズが海外ではないので、日本らしいサービスとして、レビュー・ランキングのサービスも開始予定で開発中です。
【鈴木】
日本人ってレビューやランキングが大好きです。現状の出前館は、注文したお店へのレビューは書けても、料理に対してのコメントが書けない状態です。〇〇が食べたいと思ったときに、他のユーザーからの料理へのレビュー投稿があれば、ユーザーもハッピーだし、料理を作っている加盟店もハッピーだと思うので、早急に実現したいと思っています。デリバリ―にはエリア性が関わってくるので、今頼めるエリアの「〇〇がおいしいランキング」ということもできます。またトッピングやサイドメニューといったデータもあるので、食べ方のアレンジも提案できます。こうした出前館だからこそできることを一つひとつ実現していきます。
プロパーエンジニアを拡充することで内製化を進める
―出前館のサービスを支えるエンジニア部隊の拡充について、現状と今後の展望についてお聞かせください。
【鈴木】
2019年6月まで、マネージャーを含め20名足らずの体制でしたが、今では70名を超えています。今後数ヶ月で100名以上に拡充する予定でいます。LINE社やZホールディングス社のエンジニアの方が多くジョインしてくださっていて、海外に通用するエンジニアが多数活躍しています。
【藤原】
独立法人として出前館プロパーのエンジニアをより増やしていきたいと考えています。これまで開発は外部発注も多くありましたが、内製化は決めていることでもありますし、海外の競合と勝負していく上で拡充していきたいところです。日本ではいまだに開発を外部発注している企業が多いのですが、内製化できていない企業ほど負け越しているという印象もあるので、結局自分たちでエンジニアを持たないことには海外との勝負に勝てないのではと思っています。
―内製化することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
【鈴木】
スピード感の部分でも内製じゃないとキツイところがあるんです。事業の変革期なので、優先順位が変わって、今の開発を止めて、こっちの開発をしてくれといったことがすくなくありません。こういった場合、外部人材だと契約やスペック等で難しい場合があります。内製化することで、我々の採用基準を満たした人、品質が高い人を確実にアサインできるという、アサインの強さが生まれます。
【藤原】
ソフトウェアの会社なのでPDCAを回さないといけないのですが、外部発注だとデータの取り扱いがセンシティブなので、そんなに情報が出せない場合もあります。データを見てソフトウェアを改修していく、その速度が変わってしまうんです。
また作者によってコーディングが違うので、解読するのにも時間がかかります。内製化することで、どういうコードで書くのかルールを統一できることが強みになりますし、ビジネスの優先順位とともに動けるので、コントロールしやすいというのもありますね。
出前館で働く面白みと求められるエンジニア像
―今後を担うエンジニアに対して、どのような活躍が期待されますか?
【藤原】
普通、EC業界ってローカルサービスがないんですよ。我々のビジネスが面白いのは、ローカルの、”今いる”地域のものが食べられるというところにあります。
ECでありローカルサービスでもあることは、データマーケティングでいうとデータが非常に多いんです。各エリアによって特徴が出るので、AIというキーワードになってきたとき、出前館が持っているデータには、購買データ、配達データ、飲食店のデータがどんどん集まってきます。データマーケティングを考えているエンジニアは、よりデータが多い会社を選んだほうが良いのですが、我々は今非常に良いポジションにいます。
加えて、配達員がリアルに走っているとか、料理を受け取る人を見るとか、WEBサービスに携わっている人に関していうと、現時点ではプライスレスなんですよね。リアルに目で見られるってすごいなと思うんです。自分がやっているサービスを目で見られるチャンスがあるというのも、面白みの一つだと思います。
【鈴木】
実際のところ、加盟店の期待値が1年前と今とでは全く違います。飲食店でのデリバリ―の比重・優先度が非常に高くなっています。事業の柱になってきているんです。出前館がなくなるとつぶれてしまうかもしれない……そういう加盟店も増えています。システムの安定性ひとつとっても、重みが違ってきているので、エンジニアに使命感が出てきていると感じています。
日本の飲食文化を発展させるためにより売上が上がるシステムを作りたい、そういった使命感を誇りに思って仕事ができるかどうかは、すごく大事かなと思っています。
今までは注文をいかにさばくか、というような保守に近い目標だったのですが、いまは、「世界一になる!」というのを本気で考えてくれるエンジニアと一緒に仕事がしたいですね。
※新型コロナウィルス感染防止対策を充分に行った上、撮影時のみマスクを外しております。
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