「プラットフォームビジネスの真髄は、世の中に新しい需要を生み出すこと。だから面白い」
Wantedlyで働く人を紹介する「Wantedlyの中の人」。
今回紹介するのは、Google日本法人ではAdWordsやYouTubeの広告枠を販売したり、Twitter日本法人では、2番目の営業メンバーとして市場を切り開いたりと、プラットフォームビジネス畑をずっと過ごしてきた、海外事業統括の後藤さんです。
GoogleとTwitterで合計9年間働いた後、なぜWantedlyに入ったのかや、どんな人と働きたいかなど、お話を伺いました。
ビジネスマンのダイナミズムに強く惹かれた大学時代
−– Googleで働かれる前の大学時代は、どんな学生だったのでしょうか?
受験勉強が好きでは無かった一方で、1年生のときは勉強が楽しくて仕方なくって、特に社会学系の授業をたくさん受けていました。高校まで理系だったのもあり新鮮に感じていました。2年生の半ばくらいからはシンクタンクで長期インターンをはじめました。学校の勉強は大好きだったんですが、早く社会に出たいなという気持ちがあって。当時は経済学があまり肌に合わなくて、実際にビジネスの場で経験した方が良さそうと思ったのがきっかけです。
それでネットで適当に「長期インターン」って検索して、表示された広告をクリックして出てきたのがたまたまそのシンクタンクのインターンだったんです。偶然そこで働くことになって、とても勉強になった時間でした。メールの書き方から始まって、論理的な物事の進め方とか、ビジネスをやっていく上での土台を鍛えてもらったなと思います。
−– シンクタンクでは具体的にどんなことをしてたんでしょうか。
具体的には話せないことが多いのですが、ジャンルとしては2つあって、1つ目は企業向けのコンサルで、もう1つは政府系の受託研究。社会ってこういう仕組みなのか、世の中ってこうやって動いているんだなっていうことを実際に体験できたのは貴重でした。やっぱり学生の世界とは全然違うから。実際に企業で働くとあらゆる業界にふれあえるので、そこのダイナミズムに強く惹かれて、早く働きたいってより強く感じました。
プラットフォーム企業の面白さに気づいたGoogle時代
−– そして新卒で働き始めたのがGoogleですが、日本法人は当時新卒採用をしてなかったんですよね?
そうなんです。エンジニアはちょうどその前の年から新卒採用を始めたんですけど。当時はGoogleが普通の人からも少しだけ知られつつある時期で、Gmail, Googleマップなどのサービスを開始して、YouTubeを買収したり、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。時価総額も日本の大手企業を抜き始めてて、スゴイ会社が生まれたなと震えました。なんとかして働きたいと思って、Googleのホームページで人材募集って検索して、直接メールで「働きたいです」ってダメ元で伝えてみました。
そしたら2,3日くらいした返事が来て、「オフィスに来い」って言われたから行ってみたら、営業のディレクターがいて、数日後には決まっていました。信じられないかもしれないけど、自分が一番ビックリしてました。
結局その後、ビジネスサイドも新卒採用をすることになって、自分たちの代が一期目として入社しました。
−– まだまだGoogleの知名度も低かったころでしょうか。
今と比べると全然でした。もちろんWeb関係の人からするとすごい!って思ったかもしれないですが、一般の人はあまり知らなかったんじゃないかと思います。自分達の世代はリーマンショックの前ですごく景気が良くて、友達は投資銀行か外資のコンサルか官僚がエリートコースだったからそこに行ってました。
仕事を始めてからリーマンショックが起きて、周りの会社が苦労している中でも、Googleはとてつもない速度で成長しました。もちろん、全体の需要は減るから難しい部分もあったんですが、それでも「去年の2倍にしか伸びなかったね、がっかり」みたいな感覚でした。
−– 去年の”2倍しか”ってスゴイですね。。。Googleで働かれて、売上以外の面で、やっぱりGoogleはスゴイ会社だと感じたことはありますか?
ミッションに対して、真摯にピュアにビジネスをしているところかな。自分たちが信じていることを曲げないし、自分たちが世の中のルールを作るんだって疑わないで行動しているなと。
−– どういう時に「ミッションに対してピュアに」と感じましたか?
例えば、YouTubeの広告営業をしているときです。YouTubeって今では最強の動画メディアですが、買収した当初はもちろん大赤字だし、著作権違反の動画がたくさん流れていて半違法サイトと呼ばれても仕方の無い状態でした。そのようなメディアに積極的に広告出稿するクライアントの数も当初は限られていました。このため買収してから黒字化するまで何年も間ずっと赤字だったわけですが、Googleのメンバーは、いつか動画の時代が来て、多くの人がWebで動画を見るって信じて疑っていませんでした。
でも、GoogleもYouTubeもそうなんですが、プラットフォームを扱う企業って最初は拒絶されるものなんですよね。TwitterやWantedlyの海外展開でも同じように感じています。「こんなもの求めてないよ」、「価格が見合わないよ」、「ここが文化的に合わないよ」って言われることが普通です。
マーケットに対しておもねる企業は、そのとき需要のあるものを提供しようとしますが、プラットフォーム企業は需要を作り出す企業です。「そんなの欲しくないよ」っていうお客さんに対して、「あなたは欲しくないんじゃなくて、どんなものなのかよくわからないだけ。本当はこんな価値があるんだよ」って伝えるのが、プラットフォーム企業の仕事。
その点Googleは、真のプラットフォーム企業だと思います。世の中が理解していない価値を、Googleが社会に提案して、世の中に植え付けたと思います。
ミッションドリブンな企業は、どんなに苦境でも耐えきる強さがあることを体感したTwitter時代
−– そんなGoogleを3年半で退職されて、Twitterに営業チームの2番めの社員としてジョインされますが、そのきっかけは何だったのでしょうか。
元々Googleにいた人から、Twitterが日本でビジネスを開始するから一緒にやろうってチャットが来たんです。直ぐに「良いですね! やりましょう!」と答えました。
−– 迷いは無かったんでしょうか?
全く無かったです。Twitterみたいな、GoogleやFacebookのように世界を変えられる新しいコミュニケーションプラットフォームに初期から関われるチャンスは、人生で二度とこないと思ったからです。自分の現役時代に、偶然そういう革新的なサービスが生まれて、偶然そのタイミングで日本に来る機会なんてこの先にも無いと思いました。
−– Twitterでは営業チームの2人目として入られたそうですね。今では当たり前に使われているTwitterですが、後藤さんが入られたときはどれくらいの大きさでしたか?
ちょうど自分がGoogleに入る頃に一度ブームがあって、ウェブサービスが好きな人を中心に使われていましたけど、とくに日本中の話題を生み出すとかでは全然無かったです。
−–Twitterには6年いたそうですね! ちょうど伸びている企業で働いていると、大変だったことも楽しかったことも色々経験されたと思いますが。
そうですね。Twitterは会社と一緒に自分も成長しているって実感があったのが良かったです。いろんな苦労もあったけど、それを一つ一つ解決していくことで、会社も成長する。そういう意味で、自分に大きな成長の機会と、ビジネスの経験を与えてくれたと思ってます。
−– YouTubeのときと同じで、やっぱり最初は広告を売るのは大変でしたか?
そりゃあもう、全く売れなかったです。最初は誰も価値を理解してくれないから、広告なんて出そうとも思わない。でも、多くの人の助けを借りながら努力して、たった数年で毎年数百億円を売り上げるビジネスに成長しました。どんなに拒絶されても決してめげずに、その価値を伝えていくのは、大変だけど本当に楽しかったし、既に安定しきっている企業では体験できなかったかなと思います。
GoogleとTwitterとWantedlyは本質的には同じだと思う
−– その後、2017年の4月からWantedlyに。「Twitterの初期メンバーが入る!」と社内はざわついていましたが、もともとWantedlyは知ってたのでしょうか?
知ってました。自分がTwitterに移った頃に仲さんが起業していて、Facebook Japanに一時期いたという話も聞いていました。同世代の人が面白い会社をやっているなと思ってましたけど、まさか未来の上司になるとは思ってもなかったです。
それに、Twitterで働くのは本当に楽しくて。大好きで素晴らしい会社だったから辞める気はありませんでした。ただ、もし仮に転職するとしたら、他の国で人気のサービスをコピーする会社ではなくて、ミッションドリブンなプロダクトを持っている会社で働きたいと思っていました。で、Wantedly経由で気軽に話を聞きにいって、セールスチームのリーダーの藤本くんとか、川崎さんや仲さんと話して、ここなら働いても良いかもと自然に思いました。ただ、日本の会社でフルタイムで働くのははじめてだったから不安はありました。朝ラジオ体操でもやるのかなとか思ってたし笑
−– ラジオ体操笑。仲さんや川崎さんと話していて、「Wantedlyで働こう」と決め手になったことなどありましたか?
CTOの川崎さんと話した際に、プロダクトの哲学やデザインに対する理解や洞察をビジネスサイドの社員にも必ず求めていて会社に対する好感を持ちました。CTOが強い会社は事業開発力はもちろんですが、テックコミュニティにもいろんな形で貢献しやすいので、とても大きな魅力に感じました。
−– 働かれてからもうすぐ半年強ですが、GoogleやTwitterとWantedlyの共通点はありますか?
プロダクトがあって、その価値を信じている人が会社にいるっていう点で、3社は全く同じ会社だと思います。だからどのチームも強い結束で結ばれていると感じます。
Wantedlyは仕事に対してピュアで、プロダクトの力で戦おうとしてる会社
−– では、Wantedlyについて遊びに来てくれた人に伝えるとして、なんと伝えますか?
まず、ピュアな会社だということ。
仕事に対してとてもピュア。たとえば数千人とか数万人の会社の場合、組織単位で物事を円滑に進めるために、組織間の交渉の方が個人のアウトプットよりも大きなインパクトを持つことが増えます。それは決して悪いことではないというか、企業として必要な成長だと思いますけど、個々人に求められる能力も調整力とか政治力の比重がどうしても大きくなってしまいます。
今のWantedlyはそれがありません。人数的にもそうだし、文化的にもそう。個人のクリエイティビティを最大限に活かせているのは強みだと思いますし、ビジョナリーなファウンダーが経営者兼株主として強いリーダーシップを発揮していて、短期的な物事に左右されにくいチームの一体感は魅力です。
もう一つは、日本でプロダクトカンパニーで働きたいならWantedlyだよ、と。
会社のミッションとプロダクトの哲学を純粋に世間に問おうとしている会社って本当に少ないし、あっても外資が多いです。でも、外資に行くと日本支店になっちゃうし、英語も必要なので外国人とのコミュニケーションスキルがビジネススキルの中で最も重要になりがちで、多くの日本人にとってはハンディキャップになってします。逆に英語が得意な人でも、経験できるのが英会話ばかりで、本当のビジネス経験を積みにくいことがあります。
テクノロジーで戦う会社で、意思決定プロセスのど真ん中でフェアに競争したいと思う人にはWantedlyは適していると思います。ミッションに関係ないフェイクなプロダクトがひとつもないことは本当に誇りです。
−– では、一緒に働きたいなと思うのはどんな人でしょうか?
自律しているかどうか。
これくらいの規模で、自由闊達な環境を提供して、社員のクリエイティビティを発揮させようとする環境は、裏を返すと悪いことをしようと思えばいくらでもできる環境にもなりえます。だから、自分や会社の成長に対して、自らストイックにコントロールできる人じゃないと、最初は好き勝手出来てよくても、この環境にいることがだんだん辛くなってしまうかもしれません。ただ、自分次第でいくらでも成長できる基盤は提供できるので、自律している人にとっては、働いていて楽しいし、面白い会社だと思います。
−– 最後に、これから後藤さんがやっていきたいことを教えてください。
Wantedlyの海外のビジネスの比重を半分以上にしたいですね。やっぱり、事業のほとんどを日本でまかなっているっていう状態は、まだまだグローバルな会社とは言えません。だから、本当の意味でのグローバルカンパニーになるよう成長させていきたいです。
一緒にそんなチームや組織を作って行きたい人、待ってます。
(ちなみに、ここには書けなかった話も沢山あるので、気になる方は話を聞きにきてみてください)