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成長カーブをトップスピードで走りぬける組織には、「カルチャー」というエンジンが必要だ。

イモ虫からサナギへ、そして成体へと成長する蝶が身体の組成をラディカルに組み替えるように、組織の成長にもメタモルフォーゼ(変態)のプロセスが存在します。

2011年の創業から「0→1」フェーズを駆け足で走り抜けたウォンテッドリーもまた、次に大きく化けるタイミングに向けて組織の形を作り変えている真っ最中。しかし、蝶のサナギからアリが生まれることがないのと同様、企業も自身の「DNA」と呼ぶべき成長プログラムに則って進化を遂げることが理想です。

では、企業の成長を司るDNAとは何か? 今年9月にコーポレート部門の新役員に就任した兼平敏嗣は「カルチャー」であると答えます。そこで今回のWantedly Blogでは、コーポレートチームが牽引するカルチャードリブンな成長について、彼の愛するF1レースの比喩を織り交ぜながら語ってもらいました。

兼平敏嗣(執行役員 コーポレート担当)
千葉大学法政経学部卒業後、本田技研工業に入社し経理財務、経営企画を経験。みずほ銀行とソフトバンクが設立したJ.Scoreを経て、2019年1月にウォンテッドリーに入社。経理財務、経営企画、IRを担当。2019年9月より現職。

リーマンショック、F1撤退...... Hondaで学んだ「逆境に強いカルチャー」の意義

兼平は新卒で大手自動車メーカーの経理に、セカンドキャリアで金融業に携わりました。それぞれの会社で何を得て、何を求めてウォンテッドリーに入社したのか? これまでの経験を振り返ってもらいました。

兼平:私が人生で初めて入社した会社はHondaでした。もともと筋金入りのF1ファンだったこともあり、大好きなクルマを広めることに関心があったんですね。でも、配属されたのは日本地域の経理財務を担当する部門。成熟産業なので大きな波はありませんでしたが、構造的に厳しい収益状況が続く日本地域の数字と日々向き合っていました。

うっすらと停滞感が漂うなかで、追い討ちをかけるようにリーマンショックが起きました。巨大産業も飲み込んでしまうほどのインパクトで、Hondaも大好きなF1からの撤退を余儀なくされました。

在職中のHondaはリーマンショックだけでなく、東日本大震災や熊本地震などの出来事があるたびに、数々の苦境に立たされてきました。けれど、企業文化が軸となり、社員が一致団結して挫けずに立ち上がっていくことができた。自分が「強固なカルチャー基盤を持っている会社は強い」と確信したのは、そんなHonda時代の経験あってのことです。

カルチャーを活かした組織づくりに、自ら関与したい

兼平:Hondaには9年在籍しましたが、財務として、経営に近い立場で会社の動きをサポートすることが僕の役割でした。地味だけれどダイナミックな側面もあり、面白い仕事でしたね。けれど、大企業あるあるで年次が上がるにつれインプットよりアウトプットが多くなってしまったんです。この先何十年も同じ状況が続くと思うと、キャリアの伸び代に若干の不安を覚えました。

そこで転職を決意したのですが、僕が当時掲げていたセカンドキャリアのテーマは明確で、カルチャーを活かした組織づくりにゼロベースで関与するということ。だから、セカンドキャリアは立ち上げフェーズの会社で、と決めていたんです。とはいえ、転職したJ.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクという大企業が立ち上げた金融事業ということもあり、設立初期といえども成熟した組織でしたね。

ウォンテッドリーからスカウトが来たのは、その後しばらくしてまた次の一歩を考え始めたタイミングでした。当時は何色にも染まってない未上場のベンチャーを志望していましたし、ウォンテッドリーは上場していたので企業文化が出来上がっていると思っていた。でも、実際に話を聞いてみると、設立当初からの強烈なカルチャーが存在している一方で、それを経営に活かすための組織戦略がまだまだ完成していなかった。「これは面白い仕事ができそうだな」という勘がすぐに働いたのと、妻がそんな僕の気持ちを後押してくれたこともあって、入社に踏み切ることができました。

ルールは最小限に、「引き算」で管理フローを設計する

兼平:ウォンテッドリーに入社した2019年1月はちょうど第1四半期の開示タイミングでした。現場メンバーはその準備に大忙しだったので、入社2日目にはさっそく通帳を預けられるようなスピード感で業務に入りましたね。内心「いいんですか?」と思ったことを覚えています(笑)

私は長いこと大企業にいたので、「アクションする前に社内調整を」という習慣が染み付いているんです。法務の植田さんから「兼平さんはコミュニケーションが丁寧すぎるんですよね」と言われてしまうくらいで。ウォンテッドリーに入社して学んだことは、上場企業に求められる当然のラインはしっかり担保しつつ、本質的でないコミュニケーションコストは積極的に省いていく必要があるということ。これからますます事業の規模が大きくなることを見越すと、この2つのバランスを高いレベルで保った業務設計がコーポレートチームには求められています。

ウォンテッドリーの掲げるバリューに「Do More with Less」という言葉がありますが、経営管理はまさしく知恵を絞っていかに業務フローをライトにするかが重要な領域だと思っています。「何かあったら怖いから」でルールを山ほど付け加えてしまうと他のチームに余計な業務が増えてしまう。前職で経験した銀行の文化だと、金融インフラとして社会を支えてきた長い歴史の中でルールが積み重なっていったこともあり、引き算の業務設計が難しかった。それは避けたいからできるだけ引き算をしなきゃと。

成長の歪みを乗り越えて走り続けるためには

兼平:ウォンテッドリーのコーポレートチームの仕事は、例えば世の中一般でイメージされる管理部門の役割とは大きく異なっているかもしれません。わかりやすく言えば、「事業部のやることにチクチク口出しするだけの存在には絶対ならない」という強い意識をどのメンバーも持っているんですね。同時に、コーポレートチームの頼もしい同僚たちが言っているように「攻めるバックオフィス」という言葉も拙速なイメージがあってあまり好きではない。

課題が表面化してから後出しジャンケン的にルールを追加することは簡単ですが、ウォンテッドリーでは会社の成長に伴う歪みに先回って対処することで事業の成長スピードを落とさないように保つことを重視したいと思っています。

成長企業は、車体を整備しながらレースを走り続けるF1カーのようなもの。ピットインのタイムロスを短縮できるかどうかが、レースの勝敗にダイレクトに影響します。プロフェッショナルとして、会社の動きを滑らかに保つためのサポートに妥協を惜しまない存在でありたいですね。

アクセル役とブレーキ役の意思疎通をどう保つか

新役員に就任した兼平は、ウォンテッドリーの次の10年をどのように描いているのでしょうか。その答えから見えてきたのは、拡大する事業を支える組織文化の理想でした。

兼平:成長企業に用意されているのはまっすぐな道ばかりではありません。事業経営にも、成長が鈍化したり、増えたメンバーの間で意思疎通が難しくなったりと、必ずどこかで大きなカーブを曲がらなくてはいけない瞬間がある。それを乗り越えるようなタフな成長曲線を描くためには、アクセルとブレーキの2つのペダルを賢く使い分けなくてはいけないんです。

F1レースで例えると、最高速度でカーブを曲がるためにはブレーキも必要で、ブレーキを踏むタイミングが早すぎれば失速してしまうし、逆に遅すぎればクラッシュしてしまう。そのタイミングを見極めるのが経営管理の役割だと思っています。

安全に走るだけならゆっくりでいいんです。でもトップスピードでレースを走りぬけるにはアクセルを踏む人と、ブレーキを踏む人の間の意思疎通が必要。この意思疎通の精度をあげてくれるプロトコルが「カルチャー」なんですね。例えば僕は、なにか仕事の進め方に迷いが生じたら必ずCulture Bookを読むようにしています。そうすることで、自分たちは何を目指しているのか、そのためにどういう働き方をするべきなのかが腹落ちする。

これからもウォンテッドリーは新しいメンバーを迎え入れ続けるでしょうし、放っておけば必ず、誰が何をやっているのかが分からなくなり意思決定の精度が鈍ってしまう。そうならないように、カルチャーという遺伝子で紡がれるサステナブルな組織戦略作りに今から挑戦していきたいですね。

聞き手:野地 昭太郎
執筆協力:鈴木 雅矩(@haresoratabiya1
撮影・編集:加勢 犬(@Dr_KenDog
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