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エモーショナルにクライアントと「一緒に作る」ため、僕が取り入れているデザイン手法

デザイン先進国であるオランダに居を構え、現地で身に付けた手法をタンバリンに活かしてくれているインタラクション・デザイナーの飯島章嘉さん。

そんな飯島さんがタンバリンのパートナーとして仕事し続ける理由を聞きました。


プロフィール

飯島 章嘉 / Akiyoshi Iijima
Tamsterdam B.V. 代表 インタラクション・デザイナー

建築会社、Web制作会社を経て独立。大企業からスタートアップまで、Webサービスや業務アプリのUX/UI設計に多数携わる。タンバリンでは、サービス立ち上げ時のコンセプトメイキング、プロトタイピングでプロジェクトに参加することが多い。2018年にオランダに渡り、現地法人Tamsterdamの代表として活動している。
HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト。
note

タンバリンとの出会い

――飯島さんはもともと建築の仕事をされていたんですよね?なぜWebデザイナーに転身したのでしょうか?

2社目に勤務した建築会社は、Webを通じてデザイン住宅を販売する事業を展開していて、社内にWeb制作の技術がありました。そのため事業は、住宅販売とWeb制作が半々。当初は建築の商品企画に関わらせてもらうつもりで転職したのですが、いつしかWeb制作がメインになり、自分自身ハマっていったんです。

僕はもともと建築の中でもユニットハウスという工場で組み立てるプロダクト化した建築の設計や商品企画をやっていたんですね。この作り方にWeb制作と通じるものがあったので、Webやアプリ制作の領域に広げることに全く抵抗がなくて。

むしろWebサイトでユーザーをナビゲートするUIなど、動きや展開のある設計には建築の感覚を活かすことができて、すごくしっくりきました。

でもそれは僕だけの感覚ではなくて。Webの黎明期だった当時は、Webデザインやディレクターには建築出身の人も多かったんですよ。僕が気付いたらWebデザイナーになっていたというのは、自然な流れだったのかなと思います。

その後数年経って、Webデザインの中でも仕事内容を少しシフトさせていきたいという想いが湧いてきました。

時代的にはiPhoneが登場してアプリが普及し、UXという言葉も耳にするようになった頃。ホームページやキャンペーンサイトといったいわゆる「サイト制作」から、アプリや業務システムといった「使われるもの」のデザインに関わりたいと思うようになったんです。もともと建築やプロダクトをやっていた感覚の方に戻っていったというか。

Web業界での経験もある程度積んできた頃だったので、制作会社を退職し、武者修行のような感じでオランダのクリエイティブ・エージェンシーで短期間働かせてもらって。帰国後にフリーランスのUXデザイナーとして活動をはじめました。

――そうだったのですね。タンバリンやその前身であるTAMとはいつ頃から付き合いが始まったのですか?

TAMさんとはフリーランスになってすぐですね。元同僚がTAMさんで働いていて、その縁で紹介されました。

ただすぐには仕事が発生せず、プロジェクトの相談をされたのは2015年ごろ。TAM内にあるタンバリンさんの前身チームからでした。その時には「タンバリン」という名前は既に決まっていて、独立を準備されていた頃ですね。

それ以降、タンバリンさんとはいくつかのプロジェクトを一緒にやらせてもらっています。

その後、一昨年から改めてオランダに移住し、今はTAMのオランダ拠点(現地法人Tamsterdam)として活動しているので、あとからタンバリンさんと親戚関係みたいになった感じですね(笑)。

外部パートナーであることを忘れ、一緒にものづくりをしている感覚

――タンバリンとはどのように仕事をしていますか?

タンバリンさんって、Salesforceを使ってシステムやサービスを開発しているけれど、いわゆる「システム屋さん」ではないんですよね。Salesforceの機能を軸にしながら、クライアントのビジネスで成果を出すための「サービス開発」を提供しようとしている会社。

僕の専門分野であるUXデザインも、目指すゴールは同じです。

中でも自分はユーザー調査やプロトタイピングなど、アイデアを発見する部分を得意としています。なので、アイデアをシステムとして形にする部分が得意なタンバリンさんと、お互いの強みを活かしながら一緒にものづくりをしている感覚ですね。

僕はプロジェクトの提案や構想の段階で参加させてもらうケースが多いです。サービスがどのように使われているかを調査したり、クライアントとワークショップを実施したり。一緒にクライアントの本社がある宮崎県まで泊まりがけの出張に行ったこともありました。

そういった調査やワークショップでの発見をもとに、プロトタイプやコンセプトムービーを制作したり、サービスデザイン、コンセプト開発の部分でお手伝いすることが多いですね。

クライアントと「同じ方向」を向くためのデザイン手法

――飯島さんはご自身が住んでいるオランダで身に付けた手法をタンバリンに提供してくれていますよね。その辺りを詳しく教えていただけますか?

オランダはデザインや建築の先進国で、中でもコンセプトデザインに長けていると思います。国土が狭く、そのうち半分近くが海抜ゼロ以下という決して恵まれた環境ではないからこそ、コンセプトを重視し、アイデアを取捨選択することが上手です。

「やりたいことをやるために、やらないことを決める」という考え方が根付いているのだと思います。その取捨選択をするための根拠・指針として「コンセプト」が重要になるんです。

これはタンバリンさんと一緒にやるサービス開発でも同じこと。予算や時間の限られた中でプロジェクトを成功させるためには、明快なコンセプトを、なるべく概念のままではなく「目に見えるもの」として共有する必要があります。

僕がよく使っているストーリーボードスタイルスケープなどの手法も、すべてコンセプトを可視化して、クライアントやチームと共有するためのものです。

ストーリーボードは、カスタマージャーニーマップなどと同様で、開発するサービスの各タイミングで、どういうユーザー体験が求められるかを見える化するためのものです。

各シーンをラフスケッチで描いた「絵コンテ」のような形で、体験をイメージしやすくします。状況が文字ではなく「絵」になっていることで、そこからまた新しいアイデアを発見しやすくなるんですね。


▲ストーリーボードの例。iPadまたは市販のポストカード紙を使う

スタイルスケープも、ユーザー体験を描く目的は同じなのですが、こちらはよりビジュアル・コンセプトに寄ります。サービスのVIだったり、UIで使われるフォントやカラー、イメージ写真など、ユーザー体験を形作るあらゆる「ビジュアル」を一緒に並べたようなものです。

世界観を示すという意味では、昔からあるムードボードとも近いですが、ムードだけで終わらずに、フォントやアイコンなどUIデザインシステムにまでイメージを拡げていくのが特徴です。

スタイルスケープが定義できたら、開発にすぐ繋げられるところが、よりアジャイル的でタンバリンの開発スタイルにもマッチしていると思っています。

――なるほど。従来のワイヤーフレームや機能リストを使った要件定義とは、だいぶ違うんですね。

そうですね。もちろん、ワイヤーフレームが悪いわけではありません。これから開発するシステムの要件を正確に、かつ効率的に共有するために洗練されてきたやり方でしょうし。

ただ、ワイヤーフレームなどの場合「機能」の要件は表されていても、「体験」としてはイメージを共有しにくい部分も多いんですよね。実際に画面などをデザインした段階で「なんかイメージと違う……」となったりする。やり直すデザイナーも大変ですが、何よりクライアントにとっても不幸ですよね。

だからストーリーボードでUXの全体像や展開を描き、スタイルスケープで実際にUXを構成するビジュアルの方向性を見せる。コンセプトをなるべく可視化して共有することで、クライアントとしっかりと同じ方向を向いて、プロジェクトを進めていけるようになると考えています。

――先日プレスリリースを公開した「D2C Kickstart Program for Salesforce Commerce Cloud」でも取り入れていますよね。このプロジェクトでは飯島さんはどのような役割を担っていますか?

岡本さんが事業サイドのディレクターを担っているのに対し、僕はデザイン担当の加嶋さんと一緒に、コンセプトや見せ方、デモ開発のデザインなどクリエイティブ面のディレクションを担当させてもらいました。

ここでもスタイルスケープを活用して、デモに使用する架空のブランドのデザインを作りました。そして、Kickstart Programの提供メニューにもスタイルスケープが含まれています。D2Cの立ち上げでブランドの方向性を決めるために使われます。

タンバリンと仕事をし続ける理由

――ストーリーボードやスタイルスケープを取り入れた手法は、タンバリンが導入しているアジャイルに近いというお話が先ほどありましたね。

代表の中尾さんはクライアントとの初期の打ち合わせで、実際に動くシステムのプロトタイプを作って持っていき、それを見せてサービス構成をディスカッションをしたりされていますよね。デザイン面と開発面の違いはありますが、まず方向性や概要を「目に見えるもの」にしてしまう、そこから一緒に練り上げていくという考え方は同じだと思います。

こういう手法を取り入れているのには、コンセプトの共有以外にも、もうひとつ理由があって。それはお客さんがエモーショナルに「これ欲しい!」と思えるものを提案したいからなんです。

プロトタイプやストーリーボード、スタイルスケープにしても、目に見えるものになってると、箇条書きの要件リストやワイヤーフレームよりも「これ!」って言いやすいと思うんですよ。

たとえばコンペの際、クライアントは予算やアイデア、実行力などのバランスを見てどの会社に依頼するか判断しなくてはならない立場で、不安や緊張感もあると思うんですね。失敗できない、みたいな。

そんな時に、少しでも気持ち的に楽しく、消去法ではなくポジティブな気持ちで「うちの会社が欲しいのはこれだ!」と選んでもらえたら、やっている僕らも楽しいし、その後の開発プロジェクトもうまくいきます。

コンペや提案、要件定義も、予算と仕様のせめぎ合いの「交渉」みたいなものではなく、ポジティブなものにしたい。そしてクライアントも開発チームも、発注者と受託者というのを超えて、一体になってプロジェクトを進めていく。

ものづくりってみんなが幸せになれる関係性をつくることが大切なんですね。これから長く付き合うプロジェクトで、つらいのイヤですから(笑)。

タンバリンさんとは、この感覚を共感できるんです。一緒にみんなが幸せになれるものづくりをする、そういうプロジェクトをデザインする“同志”のような感じで、これからも一緒にお仕事させていただけたらと思っています。

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