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鍵は「顧客理解」 新執行役員が語る、生産性向上へのロードマップ

人材系企業やICT教育関連企業で新規事業立ち上げや営業組織の立て直しを経験したのち、2022年からTeachme Biz事業本部のカスタマーサクセス部長をつとめてきた千葉大輔。2023年6月1日付で、スタディスト執行役員兼Teachme Biz事業本部長に就任しました。

スタディストという組織、Teachme Bizというプロダクトの強みや課題をどう分析し、どのような世界観を実現しようとしているのか。就任にあたっての抱負や、今後の展望について話を聞きました。

<プロフィール>
執行役員/Teachme Biz事業本部長 千葉 大輔

新卒でリクルートに入社。ソリューション型の営業が評価され、同期内最短でチーフに抜擢。その後、パートナー統括部で新サービスの売上拡大とパートナー成長への寄与が評価され全社通期表彰。新規事業の立ち上げを経て、パートナー企業での営業部長やプログラミングスクールのコンサルティング部門の責任者として事業の立て直しを担当。2021年よりフリーランスとして、複数の企業で営業組織の立て直しや立ち上げをサポート。2022年スタディスト入社。Teachme Biz事業本部 カスタマーサクセス部 部長を経て、現職。

顧客理解を深め、ソリューション型の提案をすることで結果を出す

ーーまずはスタディスト入社以前のキャリアについてうかがっていきたいと思います。新卒で入社したリクルートでは、目覚ましい成果を挙げていますね。

実は、入社してすぐに結果を出せていたわけではないんです。同世代のメンバーは優秀な方ばかりで、同じように仕事をしていたら、抜きん出た成果を挙げることはできないと思いました。「行動量でカバーしよう」と思い、1日に200件のテレアポ、100件の飛び込み営業というような件数を当たり前のようにこなしていましたね。半年ほどで、一定の契約をいただけるようになりました。

そんな中、あるエリアの営業担当者が退職し、顧客を引き継ぐことになりました。当時は人材業界の市場規模が右肩上がりに拡大していた時代。社内に目標を達成していないメンバーがほぼいないような状況でした。ところが私は、前任者から引き継いだお客様からなかなか追加のご依頼をいただけず、目標に届かない時期が続いていました。新規開拓に注力しようとしたものの、行動量だけで成果を挙げ続けることに限界を感じていたのです。

マネージャーから会議室に呼ばれ、担当の顧客についてさまざまな質問を受けました。「A社はどんな職種を募集したことがあるか」というような、求人に関する問いには即答できるのですが「B社が抱えている課題は?」といった経営の本質にかかわる質問には、ひとつも答えることができなかったのです。マネージャーから「今月は売り上げを立てなくていい。まずは会社のことを教えてもらいなさい」と指示を受けました。顧客に頭を下げて話を聞き、企業について知るところから再スタートしたのです。お客様からたくさんのヒントをいただき、事業の内側に入り込む営業をするようになって、自然と目に見える成果につながっていきました。

ーー千葉さんの意識が変わったことで、顧客の反応も変化したのですね。

お客様の会社を訪問するとき、初めから商品やサービスの話をすることはなくなりました。まずは気づいたことをお伝えしたり、会社の現状や抱えている課題について聞いたりして、顧客理解を深めていきます。その上で、最後に提案をさせてもらうことを意識していました。

当時のお客様や上司から学んだことは、現在のスタディストでのマネジメントに生きていると思いますね。事業部のメンバーにも、目先の結果にこだわりすぎず、まずはお客様の課題を知り、一緒に解決方法を考えることを大切にしてほしいと思っています。

日本社会の生産性を爆上げする。Teachme Bizの魅力

ーースタディストにジョインした経緯を教えてください。

2021年、特定の組織に縛られるのではなく、スキルや経験を生かして自由に働く「ジョブ型」という働き方に興味を持つようになりました。フリーランスとして複数の組織とかかわる中で出会ったのが、スタディストです。

私は新卒の頃から「日本の生産性を高めたい」と考えて仕事をしてきました。人口が減少していく社会の中で、IT技術が進化し、一人ひとりの生産性を高める商品やサービスが増えるのは当然のことだと感じていたからです。スタディストのマニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」に出会ったとき「まさに世の中の生産性を爆上げできる事業だ!」と思いました。

当初はほかの仕事も続けながら、契約社員としてスタディストで働きはじめました。ジョブ型の働き方では、例えば3つの会社で働けば、トライ&エラーの数は1社で働く場合の3倍になります。得意分野を伸ばしていくことができる一方、現在の経験値の中でしか仕事ができないというジレンマを感じていました。自身が貢献できる領域をさらに広げるため、ひとつの事業にコミットする働き方がしたいと考え、正社員として入社することを決めたのです。事業内容の魅力に加え、一緒に働いているメンバーが素直でコミュニケーションがとりやすく、「人」の問題でストレスがないことも、スタディストを選んだ理由のひとつです。

ーー入社後はどんな業務やプロジェクトを担当してきましたか。

カスタマーサクセス(CS)部でお客様のオンボーディングのサポートを担当した後、リニューアルグループのマネージャーと、CS部の部長を兼務していました。

スタディストの営業組織では、「The Model」型の分業制を採用しています。営業のプロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4段階に分け、役割分担をして業務を進めるやり方です。The Model型の組織には、各部門の専門性が高まるという大きなメリットがあるのですが、同時に組織の分断が起こりやすいというデメリットがあります。私が入社した当時のスタディストでも、このモデルを採用したSaaS系企業の多くがそうであるように、組織間の分断が課題となっていました。

部門ごとの役割はあれど、顧客を理解し課題を解決するという最終的な目的は一緒です。ただ、部門間のコミュニケーションが不足すると、Aという事実に対しBさんが解釈をし、その解釈についてまたCさんが解釈をする…という具合に、誤解や行き違いが生じやすくなります。そこで、コミュニケーションを増やすことを目指し、各部門のメンバーが一緒に業界研究を行う「OneTeamプロジェクト」を立ち上げたのです。

このプロジェクトをはじめとするさまざまな取り組みの結果として、部門を横断したコミュニケーションが増えました。まだ走り始めたばかりですが、お互いの仕事を理解して連携することの重要性を、多くのメンバーがつかんでくれたという手ごたえを感じています。

圧倒的な顧客志向を武器に、社会の生産性向上に貢献する

ーースタディストの組織としての強みや、魅力についても教えてください。

まず、経営者自身が「圧倒的な顧客志向」を体現し、組織にも浸透しているということ。代表取締役CEOの鈴木は、自ら全国の顧客に会いにいくことをとても大切にしています。

次に、プロジェクトやコンテンツを作る際、一定のパターンに沿って整理・分類する「型化」を得意とする人が多いと感じます。社内でもなにか新しい取り組みを行うときは、次の実施タイミングが決まっていなかったとしてもマニュアル化して備える、少しでも業務手順が変わったらすぐにマニュアルを変更する、そして常に業務改善をし続けるという文化があるんです。

3つ目に、組織として意思決定のスピードが速く、それでいて現場に「やさしい」ということ。経営陣が現場をよく知っているので、素早く意思決定ができると同時に、現場をないがしろにすることがないのだと感じています。

ーーTeachme Bizというサービスには、今後どのような可能性があるでしょう。

効率化や標準化の必要性を感じているお客様は多いものの、具体的にどのようなステップでそれを実現していくかをイメージできず悩んでいる企業は非常に多いと思います。将来のことを考えても、生産年齢人口はどんどん減少します。生産性の向上は国を挙げて取り組まなければならない喫緊の課題です。業務の手順を型化、標準化することを得意とするTeachme Bizは、この課題解決に大きく貢献するプロダクトだと感じています。

誰でも遂行することができる定型業務は標準化し、いずれはAIやロボットが担うようになるかもしれません。ですが、AIにせよロボットにせよ業務を遂行するためにはルールや「型」が必要になります。そのタイミングでようやく「標準化」に着手するのでは遅い。今のうちから業務の標準化・効率化を行い、より生産性の高い業務に携わる時間や、個人のリスキリングに注力できる、Teachme Bizを通じ、そんな世の中にしていきたいです。

標準化が一定程度実現すれば、次は標準化の恩恵を一部門のみならず組織全体に拡大し、再現性を高める「徹底化」が必要になると思います。Teachme Bizというプロダクトを超え、新たなサービスの開発に挑戦することも、将来的には視野に入れています。

定型化を通じ、企業の本質的な課題を解決していきたい

ーー今後、スタディストやTeachme Biz事業部が乗り越えなければならない課題についてはどう分析していますか。

業務の手順を標準化することについて、当社のメンバーはプロフェッショナルです。マニュアルについて深く理解し、有効なソリューションをお客様に提案できるでしょう。もちろん、その段階でお客様にとっては既に大きな価値があるのですが、お客様が事業を通じて何を実現しようとしているのか、どんな課題を抱え解決に何が必要かという領域までは、踏み込めていないケースもあるのが現状です。

「生産性の向上」と一口に言っても、取り組むべき課題は100社100通り、それぞれ異なります。顧客理解をさらに深め、本質的なソリューションの提案につなげていくためのスキルアップや、そのための仕組みづくりには、今後も力を入れていきたいですね。

ーーマネジメントをする上で、大切にしているのはどんなことでしょう。

TECA(TryErrorCheckAdjust)という考え方で、イシューを見極め「まずやってみる」ということを大切にしています。かつてプログラミングスクールで仕事をしていたとき、プログラミングの早い段階で数多くのエラーが出ると、安心したことを覚えています。エラーを解決すれば動くようになるので、早期にエラーが出るのはむしろいいことなんです。この考え方は営業や、ほかの職種でも同じではないでしょうか。トライ&エラーを繰り返し、本質的な問題の解決に近づいていくのが、いい仕事だと思います。

スタディストでも「Try first(悩むなら、やってみよう)」をバリューのひとつとして掲げていますが、Tryの前提として、「イシュードリブン」であることが重要です。人生の貴重な時間を費やして取り組む仕事ですから、組織や事業にとって重要な課題に紐づいていなければもったいないです。

ーー最後に、執行役員兼事業本部長として実現したいことをお聞かせください。

例えば、ある製造現場にTeachme Bizを導入することで「自分が必要とされなくなるのではないか」と考える従業員の方がいるかもしれません。私たちは、そういった不安にもしっかりと向き合っていく必要があります。

標準化が進むことで個人の仕事がなくなるのではなく、よりクリエイティブな、創造性を生かした仕事に取り組む余裕が生まれます。マニュアルを整備して生産性を上げるということは、一見デジタルな取り組みのように見えるかもしれません。でも、実は人の物理的な営みをサポートすることにつながっていると思うのです。業務定型化を社会に浸透させることで、働き方の概念を変える挑戦がしたいと思っています。

(取材・執筆/高橋三保子)

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