【 本当のエステティック・シエナ物語 第2章:自由な存在 】
あっ、猫。
私を見ている・・・。
こういう時、集団行動をしない彼女たちの感性は、ついて行くに値する。
私を知らない世界の入り口へと導いてくれる存在。
路地裏への小さな冒険は1分とかからなかった。
その子は、ツリーハウスのような建物に私を案内すると、
というか、私が勝手に後ろをついてきた。
猫は、スタンドカフェのカウンターに座り、毛づくろいを始めた。
SHIJIMI CAFE (じじみカフェ)
こんな住宅地の路地にカフェ?
そういえば首輪が付いている。
「貴女は、飼い猫なの?」
「シジミと言うんです。首輪は付いてるけど、彼女は自由な存在なんです」
自由な存在か・・・、私はどうなんだろう?自由な存在なのだろうか?
声をかけてきたのは、不思議な佇まいの女性。
察するに、私よりは上だと思うけれども年齢不詳・・・魔法使い?
「ここはカフェなんですか?」
「ええ、でもエステティックサロンなんですよ、本当の」
「えっ?エステティックサロン?」
「そう、本当のエステティックサロンなんです」
「本当のエステ?」