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「ただ話を聞くだけ」の1on1はNG!組織の不満を増殖させる「学習性無力感」とは

こんにちは、RELATIONSの加藤です。共同創業者のひとりで、現在は主に新規事業や組織マネジメントに携わっています。

組織が拡大すると、大なり小なり出てくるのが「組織に対する不満」だと思います。創業して11年目になる弊社も、今までに「組織の歪み」を経験してきました。

▼詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

組織はなぜ変われないのか? 経営者こそ「360度フィードバック」を受けるべき理由
〜組織の問題を引き起こす一因は、経営者の「適応課題」?! 共通する価値観を持たず、バラバラだった組織が大きく変...
https://seleck.cc/1300


世の中の経営者、人事、マネージャーの皆さまは、組織の不満とどう向き合っているのでしょうか? 今回は、組織に不満が増殖するメカニズムとその解消方法について、ブログに書きたいと思います。

「組織における不満」とは

まず「不満」とは、満たされていない状態のことです。「期待と現実のギャップ」と言い換えると良いかと思います。

では、「組織内における期待」とはどのようなものでしょうか? 評価、人間関係、会社の方向性、自身のポジション、成長機会、戦略・戦術、などなど…。

これらの期待は、抽象的で目に見えないものがほとんどです。

そのため、期待と現実のギャップが生じて「不満」が生まれるのは、避けられないことかと思います。

組織を健全に保つためには、その不満を最小限にする努力をしつつも「生じた不満と向き合うこと」がとても重要です。

そして、不満と向き合う上で抑えておくべき概念として「学習性無力感」というものがあります。

組織に不満を増殖させる「学習性無力感」

「学習性無力感」とは、長期間ストレスに晒されるとその状況からの回避行動をしなくなる、という現象です。

例えば、ある不満について何度も口にしているのに、その不満が解消されない(長期間ストレスに晒される)と、学習性無力感に陥る可能性が高まるそうです。

そのメカニズムは、「どうせ不満は解消されないんだ」という思い込みから、存在しない制約を自ら作りだし、不満の解消に向けた行動を取らなくなることだと言われています。

そして、この状態に陥ると「責めるべき対象」を探すようになり、自ら状況を打開する力がなくなっていきます。


最悪のケースだと、学習性無力感は連鎖します。その結果、組織内に不満が充満する状態に陥ってしまう場合もあります。


では、組織内のメンバーが学習性無力感に陥らないためには、どうすれば良いのでしょうか。

学習性無力感の回避には「1on1」が有効

「学習性無力感」に陥らないためには、早い段階でうまく不満を解消することが重要です。

早い段階で不満を解消できる人は、以下のような不満解消のスキルを持っています。

・不満を解消可能な大きさまで分解し、少しずつ解消する

・様々な視点を取り入れ、不満に対する見方を変える

・解消のキーマンとなりそうな人に、うまくアプローチする

ただ、全員がこういったスキルを持っているわけではないので、組織として「学習性無力感」を回避するためには、周囲のサポートが必要です。

その不満解消をサポートする場として活用できるのが、「1on1(ワンオンワン)」です。


弊社では2週間に1回、30分の1on1を行っています。基本的には、メンティの成長支援を目的とした場ですが、メンティが抱えている悩みの解消をサポートすることも多々あります。

不満についてうまく話をヒアリングし、一緒に解消の方法を考え実行していくことで、学習性無力感に陥る前に手が打てると考えています。

「傾聴のみ」の1on1では不満を解消できない

一方で、メンティの話したいことを引き出すスキルがメンターになければ、不満の解消をサポートするための時間にはなりません。

1on1では、よく「傾聴」が大事だと言われますが、ここで気をつけたいのが、不満の解消をサポートするためには傾聴だけでは足りないということです。

というのも、傾聴して引き出した不満を口にしたまま終わってしまうと、逆に「学習性無力感」に近づいてしまう可能性があります。



これが恋愛のシーンであれば、話は別です。ただ話を聞いてもらいたいだけの女性に対して、解決策を与えてしまうような男性ってモテなかったりしますよね。

モテる男性は、相手に合わせた傾聴が上手な傾向がありますが、これを組織における不満解消のシーンでやってしまうと逆効果になることがあります。(モテ男は要注意ですね…)

1on1では「次アクション」を設定することが大切

では、どうすれば良いのでしょうか?

1on1で不満を分解するサポートをし、必ず「不満の解消に向けた次アクション」を設定しましょう。

そして、メンターは全力でアクション実行のサポートをすることが重要です。それだけで学習性無力感に陥りづらくなり、組織に不満が充満する歯止めとなると感じています。

例えば「給料に不満がある」という声をメンティから引き出せたとします。ただ、これだと不満が漠然としていて、かつ大きいので、一足飛びに解消することが難しいですよね。

そもそも、給料の決定には、評価制度、評価、評価者、自身の役割、自身のスキル、など様々な要因が絡んでいます。


そこでまずは、1on1で「給料の決定にはA、B、Cが絡んでると思うけど、自分次第でどうにかできそうなところってある?」みたいな形で、不満の分解をサポートしていきましょう。

結果として「そもそもどうやったら給料が上がるかわかっていない、わかりづらい」という話になれば、「評価・報酬制度について人事に細かく教えてもらう」といったアクションを次の1on1までに設定できるかと思います。

またメンターとしては、人事に働きかけて面談を設定するようなサポートができます。これを必ずやることが「学習性無力感」に陥らないために重要です。

過去に弊社運営メディア「SELECK」で取材させていただいた企業でも、1on1における次アクションの設定と、メンターのサポートの重要性を語る方は多かったです。

▼参考記事

次アクションが設定され、それに対するサポートがあれば、結果的にすべての不満が解消されなかったとしても「解消に向けて前に進んだ」という感覚が生まれます。

とにかく重要なのは、不満を口にして解消されないことが何度も続くと「学習性無力感」に陥ることを理解することと、不満の解消をサポートすることです。

組織の不満を解消するひとつの手段として、ぜひご参考にしてみてください。

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