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スポーツ・エンタメ業界のDXを推進するエンターテック企業「playground株式会社 (以下、playground) 」に籍を置きながら、男子プロバレーボールチーム”ヴォレアス北海道”を運営する「株式会社VOREAS (以下、VOREAS) 」に、2020年7月より出向した木下瑛博さん。
東京と旭川を行き来し、二足の草鞋を履く木下さんの、ユニークな働き方や、出向し得た視点や気づきなどについてお話を伺っていきます。
(インタビュアー:playground人事・広報担当 インターン生 藤原星南)
木下瑛博 (きのしたあきひろ)
上智大学経済学部卒業後、新卒でアビームコンサルティングに入社。2017年には、スポーツ&エンターテインメント専門部署の設立を主導。「スポーツビジネス × ICT」をテーマとし、主に新規事業の立ち上げに関わるコンサルティング案件を多数創出。幅広い業種業態に対応したプロジェクトマネジメントの専門家として、ICT領域全般のマネジメント経験を有する。2019年2月にplaygroundに入社。2020年7月よりVOREASに出向。
まず初めに、playgroundでの木下さんの業務内容について教えてください。
playgroundでは主にスポーツ領域の案件・顧客の対応をしています。元コンサルタントとしてのバックグラウンドを生かし、顧客課題の解決支援を行うカスタマーサクセス領域の仕事に注力しています。
VOREASとplaygroundの出会いはいつだったのでしょうか?
2019年に、VOREASの池田社長 (池田憲士郎氏) がplaygroundのコンサル・SIサービスリリースに興味を持ち、オフィスを訪れてくれたことがきっかけで、ヴォレアス北海道の2019-2020シーズンVリーグでの「MOALA Ticket」(*1) 導入を池田社長と共に取り組みました。
(*1: playgroundが展開する電子チケット発券サービス https://moala.playground.live/)
その後、2020年の7月にVOREASへの出向契約を結ばれたと思うのですが、出向された理由や目的は何だったのでしょうか?
私の出向の意義は、ヴォレアス北海道のファンや、そのファンを取り巻く旭川の方に、playgroundのサービスを通じて、DX後の世界を当たり前に感じてもらうことだと思っています。
地方では、まだまだ電子マネーの普及率ですら低く、デジタルを導入するための環境と人材が不足しています。前社やplaygroundで得たICT領域の知識を生かし、VOREAS社内限らず、ファンの方や旭川の方のデジタルに対する敷居を低くすることが出来ればと思っています。
↑VOREASの試合風景
VOREASではどのような業務をされているのでしょうか?
VOREASでは、マーケティンググループのマネージャーとしてチケッティングやイベント演出・運営を行っています。また、ダンスアカデミーの責任者や、廃校を活用した地域活性化プロジェクトの準備責任者としても事業を動かしています。
特に、イベント運営は想像以上に大変でした。遠くから来られるお客様用に駐車場の手配、冷暖房の発電機を整えるための電気工事依頼、また、市営体育館を使用しているため床の養生なども行わなければなりません。少ないスタッフで運営を行っているということも相まって、現場の大変さを身をもって実感しました。現場のリアルを知った上で、イベントの全体像を掴めたことは、playgroundの一員としても非常に有意義な経験になりました。
写真左)木下さん。インタビューはオンラインにて開催。
両社にとってwin-winになることに尽力する
二社で働く際に心がけていることなどありますか?
playgroundとVOREASで、1年間のトータル勤務時間が同程度になるように、カレンダー上で会社ごとに業務を色分けし、コミット時間に偏りがないかを可視化しています。ヴォレアス北海道のシーズン中は、イベント対応で土日も出勤するため、代わりに平日に休みを取るなど、自身でバランスを取りながらスケジュールを設計しています。
また、両社の需要と供給を把握することも意識しています。VOREASとして欲しい機能があってもplaygroundにとって時宜にかなわなかったり、逆に、playgroundが提案した機能をその時点でVOREASは求めていなかったりするからです。両社にとってwin-winになることに尽力するためには、両社の需要と供給にアンテナを張り巡らせることが欠かせません。
木下さんの思う、playgroundの魅力とは何でしょうか?
エンタメ・スポーツ業界の課題を解決していこうとする熱い気持ちと、前向きな姿勢です。今の状況を打破し、社会をより良くしていこうとする強い意志が会社全体で感じられるのはplaygroundの魅力ですね。
また、社員の約半数がエンジニアであるため、スピード感を持ってプロダクトを生み出し、時世やトレンドに応じたサービスをリリースしていけるというのはplaygroundの強みだと思います。
「二拠点生活」気に入っています
木下さんが北海道で働かれている際、東京のplaygroundスタッフとはどのようにコミュニケーションを取られていますか?
slack (*2) で円滑なコミュニケーションを取れているので、物理的な場所の制約はあまり感じていません。また、私がVOREASのイベントに立ち合えない場合も、他のスタッフが代わりに引き受けてくれるなど、臨機応変に対応してくれています。VOREASのイベント運営で人員が足りない時、playgroundのインターン生が旭川まで足を運んでくれたこともありました。
(*2: playgroundスタッフが活用しているコミュニケーションツール)
場所を行き来する生活や働き方に対して、抵抗はありましたか?
あまり抵抗はありませんでした。むしろ、東京と北海道の「二拠点生活」、結構気に入っています。プライベートで音楽活動をしているのですが、ライブがある際には東京に来たり、北海道での仕事を終えたら家族へ会いに東京に戻ったりなど、やりたいことが場所に縛られて出来ないといったことはありません。
逆に、物理的な環境を変えることで気持ちが切り替わったり、空港での待ち時間や移動時間には、誰にも何にも縛られず作業に集中出来たりなど、移動をポジティブに捉えています。
↑木下さんが参加されているバンドの、UKでのライブ写真を頂きました!
常識を疑い、新しい価値を作る
今後掲げている目標や夢などがあれば教えてください!
VOREASで女子フットサルチームを作りたいと思っています。playground代表の伊藤からも「最終的にはやる気が大事。起業や新しく何かをする時、結果的に強い思いを持っている人が勝つ。その面で木下さんは向いているのではないか」という言葉をもらい、自分の夢を追うことに前向きになりました。
なぜ女子チームなのでしょうか?
プロスポーツとなると男子チームが主流で、女子チームは儲からない、面白くないという”固定観念”や、プロチームが少なく女性でプロを目指す環境が整っていない”現実”を変えるためです。実際、いくらでも面白くできるし、収益だって上げられる。”常識”を疑い、新しい価値を作ることは私の原動力となっています。
木下さんが描いている理想の女子サッカーチームとはどのようなものですか?
まだ明確に形作れてはいませんが、デジタルが十分に普及している昨今、極論、チーム設立と同時にオフィシャルショップを立ち上げて、チケットやグッズ、動画配信を自力で行うことができます。MOALA Live Store (*3) やMOALA Ticketなどのデジタルサービスを積極的に活用し、よりよいファン体験を創ることができるということは、自分の武器かなと思っています。
(*3: playgroundが展開する自社EC構築サービス https://moala.live/store)
プロスポーツチームがDXを行う意義はどこにあると思いますか?
そもそも、プロスポーツチームは広い概念だと思っています。というのも、プロスポーツチームは、ただ試合をするだけでなく、スポーツという手段を通じ、地域の課題を解決し、コミュニティー醸成や地域活性化に貢献できる可能性を秘めているからです。試合のチケットやグッズの販売、アカデミーの月謝の支払いまで一貫してデジタルを導入することで、ファンの方のデジタルに対する敷居を低くし、結果的に地域の人にDX後の世界を当たり前に感じてもらえるようになるのが理想です。
DXを進める中でplaygroundが大事にしているのは、デジタルをストレスではなく”楽しみ”にすることです。例えば、ヴォレアス北海道のビーチバレーボールの試合で導入している「MOALA Ticket」は、週ごとにスタンプのデザインを変更し、これをファンの方も楽しみにしてくれているんです。デジタルがただ作業を効率化し、ただ収益を向上させるための手段ではなく、お客さんが楽しんでくれるエンタメ要素にもなれれば嬉しいですね。
DXを進めスポーツ界を変革し、さらにスポーツを通じて地方が活性化するというのは素敵な連鎖だなと思いました。木下さんの思い描かれている未来の実現が待ち遠しいです。本日は貴重なお話をありがとうございました!
ありがとうございました!
【インタビュー後記】
「常識を覆し、新しい価値を生み出す」という原動力は木下さんの今までの決断や行動、生き様全てに全て共通しているように思えました。自身の理想とする世界の実現に向け、目の前の仕事に真剣に向き合い一つずつ形にしていく。木下さんの行動力と熱意に、学生目線ではありつつも、大変刺激を受けました。