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【エンジニアインタビュー】二人のエンジニアから見た福岡の街とエンジニア的課題の話。

みなさんこんにちは!neuet 採用担当です。
私たちのページをご覧いただきありがとうございます!

チャリチャリを運営している neuet には、様々な魅力のあるチームがあります。

今日はこれまでにも複数回登場していただいているVP of Engineering のhirutas さんと、同チームの sgswtkyさんが福岡に来られていたタイミングで、 エンジニアから見える景色とその中にある課題について話を聞いていきたいと思います。

<登場人物>
聞き手: 採用チーム
話し手: VP of Engineering - hirutas(ひるた)さん  ​​/ Engineer - sgswtky(すぎさわ)さん

採用チーム:

ウェルカム福岡!ということで、今日1日、チャリチャリが浸透している福岡の街を見て回っていただいたかと思うのですが、感じたことなど教えていただければと思っています。特に、sgswtkyさんは初めての福岡でしたね。是非いろいろ聞かせてください!

sgswtky:

はい、よろしくお願いします。チャリチャリと関わるようになって2年経ちますが、今回初めて福岡に上陸しました。

hirutas:

日頃はリモートでやってくれてるんですけど、やっぱり現物をこの地で見ないとどれだけ伝えても伝わらないなというのを以前から思っていて。オンラインのデータでコミュニケーションするより、五感で感じる方が本当に数万倍・数百万倍くらいの情報を一瞬で受け取れるんですよね。それで今回は一緒に福岡に来てもらいました。

福岡に着いて、最初にポートをざっと巡って、一緒に2人でライドしながら街を見たんです。

天神からスタートして、FGN(Fukuoka Growth Next) に行って、天神中央公園のポート、そこからキャナルシティ博多の方までチャリで行って、キャナルシティ博多から博多の駅まで。ぐるっと天神・博多を一周する中で、小さなポートから行政と一緒に組んで作っているような大きめのポートまで見て回りました。

福岡はバスもたくさん走っていて便利なんですけど、時間帯によっては混んでいたり、路線も複雑で利用するハードルが高いと感じます。では地下鉄はどうかというと、ちょっとそこまで行きたい、という短時間移動には向かない部分もある。そこで、自転車で行けばスッと行けるっていうのを体験してもらえたんじゃないかなと思います。

sgswtky:

おっしゃる通りで、身をもって利便性を感じましたね!特に感じたのは松島のチャリチャリ倉庫に行ったときかな。

(松島倉庫の様子はこちら https://www.wantedly.com/companies/neuet/post_articles/418527)

倉庫のある松島までとりあえず電車で行くかっていう話になったんですよね。JR博多駅から電車で2駅移動して箱崎駅まで行って、駅からちょっと自転車を漕いだらいける場所にあるんです。普段住んでる街の感覚で「まぁ電車ですぐに行けるかな」っていう感じで移動していたんですよ。階段上がってる時に電車のドアがプシュっと閉まる音がしても、まだ全然焦ってなくて。ホームまで上がりきって次はいつだろって見たら20分後だったんですよ。

東京の山手線みたいな感覚のままだったので、1本見逃してもすぐ来るだろう、とのんびり歩いてたんですけど、20分後なんだってなってちょっとショックを受けましたね。しょうがないからまぁコーヒーでも飲むかと。

それから、箱崎駅で降りてチャリチャリを使って倉庫まで行ったんですけど、最初からチャリチャリに乗っていればもっと速く着いてたんですよ!

自転車だとこんなに速いのねと改めて思いましたし、どの公共交通機関よりも速いというのはめちゃくちゃに驚きましたね。

hirutas:

全然意図せずだったんですけど、自転車で行ったらあの待ち時間なくスッと行けてたな、というまさにチャリチャリの価値を感じるような体験をすることになりましたね。あの時、ホームで電車を待っている人が結構いたんですけど、「どこ行くん?箱崎まで行くんやったらこれがいいよ!」って全員にお勧めしたいなと思いましたね。漕ぐ元気があったらこっちの方が早いよ、って。

長距離だったら確かに電車の方がいいと思いますけど、自転車で10分から20分圏内ぐらいだったら、チャリチャリを使って行った方が多分スッと行けます。博多天神を中心に自転車で10分か20分で行ける場所がけっこうあるじゃないですか。買い物とか諸々、そこでもうだいたい事が足りると思うので、福岡はチャリチャリにすごく適してる街だなと思いますね。

採用チーム:

福岡の街でチャリチャリを使っている人に出会いましたか?

sgswtky:

はい、もうめちゃくちゃ沢山会えました。

今日朝7時半から運営トラックに同乗させてもらってたんですけど、多くの人が出勤する時間だったので、信号で停まるとチャリチャリを使っている人が3,4人いるんですよ、視界に。おーって思っちゃった。

自分の書いたコードが今動いてるんだ!って、っていう感じがしましたね。4人分のあそこの処理を通ったんだなみたいな。それが3分に1回飛んでるから、3分に1回呼ばれてるんだな、っていうのを生で体感できました。ライド終了するところとかもプログラム上ではFinishRideみたいなAPIが呼ばれる(処理される)んですけど、あ、呼ばれてるわ!とか思うわけです。チャリチャリの鍵にQRをスキャンする時とかも、あぁーあのAPIが呼ばれてるなとかは感じましたね。それはもう、めっちゃテンション上がりましたね。

しかもですね、勝手なイメージで若い人がメイン使ってるんだとばかり思ってたんですけど、違いました。20代はもちろん、年配の方まで乗ってくださってて、街の移動のインフラとして浸透してるんだなっていうのは感じましたね。

hirutas:

そうなんですよ。僕としては本当にそれが感慨深くて。

サービスの立ち上げから見ていて、初期は確かに若い人とか感度が高い人とかが使ってるというような感じだったんです。特に男性からすると、街の中で赤くて小さい自転車に乗るってちょっと恥ずかしいよねみたいなイメージが多分あったんですよ。

でも、スケールしていくにあたって、福岡では誰でも当たり前のように乗れるような存在にしたいよね、ということを本当に言ってたんですよね。2019年のOKR(目標設定)では、「日常生活で、一番触れる”赤”になる」というObjectiveを設定していました。それだけ街に溶け込める存在になれるかどうかが重要と考えて、様々な施策を重ねていったんです。

そして今や、普通にスーツ姿のサラリーマンの人が自然に乗ってるんですよね。これを見て個人的にはめちゃくちゃ感動しました。何も気にせず乗っていただけるようになってるじゃん! っていうところが実現できてるのが本当にすごいと思いました。当時描いてた街の姿に、かなり近づけているんじゃないかと感じてます。

採用チーム:

昨年スタートした熊本エリアも順調に利用いただいていますね。最近はJR九州やサッカーチームとも取り組みをやってたりとサービス開始当初とは少し方向性が変わってきたように感じていますがどうでしょう。

hirutas:

そうですね。この2年は特に、地域に根差してやっていこうと。オール福岡・オール熊本というチームの感覚でさまざまな地域の企業さんにご協力いただいています。そういう方針にしたからこそ、JRさんや地場の大きい企業さんとも取り組みやすくなっているっていうのはあるのかなと。

立ち上げ当初はお客さまの体験に重きをおいて作っていた部分があるからこそ今があるのは間違いないです。それをちゃんと活かしつつ、そこからちゃんとみんな地域でパートナーシップを組んでやっていきましょうというフェーズが今来ていて、そこが鉄道会社やサッカーチームとの取り組みにも出ているのかなと思います。

(アビスパ福岡との連携についてはこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000048038.html)

採用チーム:

なるほど。その中でおふたりはエンジニアとしてどういうことを課題に感じていますか?

hirutas:

僕としては、ビジネスとプロダクトのバランスを改めて整えていくことが課題だと感じています。メルチャリとしてスタートした当初は、プロダクトの立ち上げに比較的重きを置いていて、ビジネス面や、街づくりという点はちょっと後手に回ってしまっていた部分があるかなと思ってます。

もちろんどちらも必要なのでバランスが求められる話ではあるんですけど、当時は利用数も少なかったので、街なかで起きている問題の対処というよりは、使ってくれるお客さまが便利かどうかの方が重要になっていたような感覚があります。例えば、当時から専用のポート間でご利用いただくサービスではあったのですが、ポート外に駐輪されている自転車をポートに戻していただくお手伝いライドという機能がありました。ポートがまだ少なかった状況において、お客さまの利便性を優先していた部分があったのですが、ライド数が10倍、100倍と増えてきた現状においては問題の方が大きくなり、一時駐輪機能という仕様へと見直していくことにしました。このように、社会のインフラとなった今では、社会のルール・マナーを守ることや、街なかの様々なステークホルダーの視点も重視したサービスへと変わってきています。

そういう変化をしていきながら事業がぐんぐん成長してきて、福岡も盛り上がって、各都市も広がってきた中で、逆にプロダクト側の勢いは相対的に遅れを取ってしまっているというのが正直なところです。語弊を恐れずに言うと、過去の「貯金」でなんとかなっている部分も大きいです。

今のアプリの仕様って、開始1年くらいで大体この形になってるんですよね。アプリのデザインや仕様も当初の設計からあまり大きく変えていないんです。でも、この状態がベストだとは全く思っていなくて、今あるべき姿に改善し続けられる体制を作っていきたいと思っています。開発チームもほぼ1から再スタートするくらいのイメージで新しい仲間集めから始めていて、様々なプロダクトをもっと早く改善できるサイクルをもう一度作り直したい。

sgswtky:

ネクストチャリチャリってことですか?

hirutas:

そうですね。ここからは"第3の時代"と呼んでもいいかもしれない。

メルチャリとしてプロダクトが立ち上がったのが第1の時代で、neuetに事業が移り、主にビジネス面での進化が進んできたのが今、第2の時代。

ここからは、もう一度プロダクトの力を入れ直し、ビジネスとの両輪で加速していける状態にしていく、というフェーズになります。これが第3の時代ですね。

採用チーム:

なるほど。改善したいところを具体的に聞いてみたいです。

hirutas:

そうですね、まずはお客さま向けのアプリに関しては、ライド体験の根幹となる部分のUI・UXであったり、ビジネスサイドからの様々な要望に対してなかなか思うように手を入れられていないという面があります。

そこはエンジニアやプロダクト企画のリソースが絶対的に不足しているというのが背景としては大きいのですが、チームを強化してプロダクト開発サイクルをもう一回ちゃんと回るように見直していくっていうのをやりたいですね。

あとは、多くのお客さまに使っていただけるようになってきた分、運営側も今かなり重要になってきているので、そこも大きく改善したいです。最近は出張で福岡に来るたびに運営のトラックに同乗させて頂いて一緒に街を巡回しており、今日も朝7時半から13時まで運営クルーと一緒に働いてきました。驚くことに、現状はめちゃくちゃ人力なんですよね。でも、そうやって人が全力で動かないと、ポートに自転車が溢れて、一瞬で街が破綻するなっていうぐらい影響が大きいんですよね。

※運営の話を詳しく知りたい方、ツール画面を見てみたい方はこちらへ

 Crew  https://www.wantedly.com/companies/neuet/post_articles/412137

 Operation  https://www.wantedly.com/companies/neuet/post_articles/413422

sgswtky:

ほんと、体感としては戦場、でしたね。1分1秒のアプリの動作すらも結構長く感じましたよ。街が破綻しないようにという強い責任感の中でクルーさんは動いてるんですよね。

運営用のアプリではマップに様々な情報が表示されているので、それを見て自律的にトラックの行き先を組み立てていました。現場に着いたら手早く自転車を積み下ろしして、じゃ次はどこに行こうか、というのを考えてまた動く。これをすごいスピード感で繰り返しているんです。

そこでアプリの動作が重い、なんてことになると途端に効率が落ちて、本当に作業がきつくなってしまうんですよ。朝の1分1秒を争っているので、パフォーマンスが良いとか、鍵がスッと開く、という当たり前のことが守られることがめちゃくちゃ大事。

それができないことで、ポートに自転車があふれて、お客さまに迷惑なのはもちろん、オーナーさんも困らせてしまうし、街の人にもいろんな迷惑がかかると思います。迷惑がかかるなんて言葉だけじゃなくて、事業自体の存続にも関わるレベルの問題にも繋がりかねないので、とても緊張感がありました。これは見ないとわからなかったし、見られてよかったものの一つです。

hirutas:

そう。見ると、本当に緊急度の高さを感じるというか。

もちろん仕組みでポートが溢れないようにする方法はいくつかあるんですよ。競合他社の中には、行き先の予約をすることで、それを回避してるところもあるんですけど、予約できないとなると行き先を変えないといけなくなるじゃないですか。それだとお客さまにとっては非常に使い勝手の悪いサービスになってしまうと考えています。

なので、現状チャリチャリはシステムの強制力をもって溢れないようにするのではなく、運営で頑張ってカバーしてるというのが現状です。街の皆さまに対してはご迷惑をおかけしないように最大限努力しつつ、お客さまが行きたいところにいつでも行けるサービスであるという点を追求しているんです。

もっとスマートに、お客さまに対して何かしらのインセンティブを与えて行き先を変えてもらえば溢れないじゃないか、と思われるかもしれません。実はこれに関しては何度もトライしてきた歴史があるのですが、人はなかなか自分の目的地を変更しようとは思わない、という現実も見えてきています。もちろんもっと新しい解があればどんどんやっていきたいとは思っているのですが、今のところなかなか見つかっていない。

現状はこのようにトラックによる運営は欠かせないので、運営アプリやその他諸々のツールを開発・提供しています。運営のためのシステムもどんどん改善しないと、サービスのスケールに追いつかないっていう状態なんですよね。特にパフォーマンス面に関しては、エンジニアリング的にはレベルが高いものであり、全体への影響も大きいんです。例えばですけど、運営による自転車の回収という作業で、アプリの動作が遅ければその分クルーさんの時間を奪ってしまいますし、自転車をお客さまに利用していただくための時間も少なくなってしまい、売上にも直結してくることになります。

採用チーム:

運営アプリが街づくりにつながっているという感覚は持っていなかったので、すごい発見です。そして緊張感もとても伝わってきました。

hirutas:

あとは、自転車の運営・整備という観点としては、実は車体のパーツ一個一個まで全部バラして、再利用したり修理したりしてるんですよね。シェアサイクルとしての運営コストに極限までこだわり、ビジネス的にも持続可能な状態を目指そうと日々努力しています。

現場での自転車整備に関してはまだまだアナログな部分もあったりするので、ここのデジタル化という部分も今後の大きな課題ですね。たとえば、タイヤがどの程度走行したあとにパンクしたのかや、パーツごとの修理履歴などを一元的にデータ管理することで、今後車体を改良していく際にも役立っていくはずです。

sgswtky:

そうですね。パーツごとの統計が取れてくると、だいたいこの時期に投入した車体はこの辺で壊れるよね、ということが分かってくるので、投資対効果もより明確に予測できるようになると思うんです。もし車体に異常が発生してしまったときも、パーツごとの修理・交換履歴をすぐに参照することができれば、より適切な対処ができるようになります。

このようにITの力を駆使することで、事業自体も健全になるし、長持ちして安くて使いやすい自転車がどんどん街中に増えていけばいいなって思います。

お二人ありがとうございました!コードが街づくりにつながるという新たな発見を得てほくほくの採用チームでした。

hirutasさんがこれまでエンジニアとして取り組んできた課題や、具体的な仕事内容などを話している記事もございますので、合わせてお読みいただけると幸いです!

▽メルチャリを運営しているneuetです。まちの移動の、つぎの習慣をつくっています。(2020/02/18 up)

https://www.wantedly.com/companies/neuet/post_articles/209858

▽メルチャリを徹底解明!開発の裏側と今後の展望とは?(2020/02/25 up)

https://www.wantedly.com/companies/neuet/post_articles/213344

▽メルチャリを徹底解明!開発における現状の課題とは?(2020/03/03 up)

https://www.wantedly.com/companies/neuet/post_articles/220446

neuet ではチャリチャリのシステム開発に関わるメンバーの募集も積極的に行っております。

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