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新たな世界を生み出せるような集合知を作りたい~”単なるツール導入”にとどまらない、ナレマネのあり方を刷新するプロジェクト~

業務推進や人材育成の知見を管理してみんなが参考にしやすくすること、いわゆる「ナレマネ」。重要性の高さは認識されつつも、緊急性を感じにくいため後回しにされやすい領域なのではないでしょうか。

今回の記事ではNPのナレマネを刷新すべく、情報共有ツールとして新たに「Scrapbox(スクラップボックス)」を導入したプロジェクトをご紹介します。プロジェクトリーダーを務めたのは、2016年度新卒入社の澤田智希。彼が描くナレマネのあり方とは?なぜScrapboxを選んだのか?単なる「ツール導入」にとどまらない、プロジェクトの背景や目指す世界観について語ってもらいました。

「全関係者の思考をつなげて、未知な世界を作りたい」という想い

チームや組織のメンバーが楽しく働けるようにするのが好きで、入社当初から基本的にはその思いを軸に仕事をしてきました。具体的にはみんなが使っているツールを整備したり、見るべき数字指標を見やすくしたり。こうした業務領域を担う中で、「ナレマネとはどうあるべきか」については常に考えていました。

「全関係者の思考をつなげて未知な世界を作ること」、すなわち「新たな世界を生み出せるような集合知を作ること」。今後変わり得るものだとは思いますが、今のところこの「集合知が作られること」をナレマネでは目指そうと考えています。言葉にすると大層なことを目指しているように思えますが、NPでのミーティングにおいては、実は日常的に行われていることです。まずは誰かしか知らない情報を全部オープンな場に出し、前提という形で整理していく。すると個々人の持つ情報や意見が次々につながって、最終的に一人では決して考えつかなかった良い案が生まれる。こうした一連の流れは、顔を合わせるミーティングでは実現していることと言えます。

顔を合わせるミーティングの様子。前提を確認しやすくするためにホワイトボードが使われたり、個々人の意見が出やすくなるようにオープンな雰囲気を作り出したりと様々な工夫がされている。

しかしそれが全社の規模で実現できているかというと、そうではありませんでした。部署ごとに使っているツールが違う、あるいはどこにどの情報を格納するかの基準が統一されていない。そのような状況下では、誰かに直接リンクを教えてもらわないとほしい情報にたどり着けず、他の人がその情報に簡単にはアクセスできない。せっかくナレッジを貯めてもなかなか他の人が参照できず、メンバー同士の思考がつながりにくかったんです。

NPには決して「自分が苦労してナレッジを作り上げたから、他の人も自分自身で作り上げるべき」と思っている人はいない。ただ共有ができていないだけでナレッジを得られないのはもったいないと、ずっと思ってきました。

ただのツール導入ではない、「ナレマネのあり方を変えるプロジェクト」

同じように課題感を抱いていた人は少なくなかったのですが、長い間使われ続けてきた情報共有ツールを廃止して新たに別のツールを導入するのはあまりにコストがかかる。ナレマネのための部署が社内にあるわけでもなかったので、誰もやろうとする人がいなくてずっと放置されてきたんです。

転機が来たのは、2018年の夏。オフィス移転のタイミングでした。固定席を廃止したフリーアドレスやリモートワークの推奨など働き方を見直す中で、ツールに関しても、他のツール同士で連携し合えて効率的な運用ができるものに差し替えようという動きになったんです。これはまたとない機会だと思い、ただツールを入れ替えるだけではなく「ナレマネのあり方を変えるプロジェクト」としてスタートさせました。

理想を実現できそうだと確信したから、Scrapboxを選んだ

数あるツールの中からナレマネのプラットフォームとしてScrapboxを選んだのは、「集合知を作ること」が実現できそうだと確信したからです。Scrapboxを使うと、脳の構造を模した「ネットワーク構造」で情報整理ができるようになっています。脳にはシナプスが網目のように張り巡らされていて、情報や記憶は抽象化された「概念」でつながりあって整理されています。Scrapboxもそれに似たような構造になっていて、キーワードをタグにしたり、関連したページをリンクでつなげることができるんです。だから得たい情報を直接探しに行かなくても、関連していそうなページのリンクを踏んでいけばたどり着くことができます。

Scrapbox上に載せられている資料のイメージ画像。資料同士をリンクでつなぐことができるため、関連する情報に幅広くアクセスすることができる。

世の中のツールの多くは、フォルダの中にさらにフォルダがいくつかあって……という「階層構造」で情報を整理するように作られていますが、それだと脳とは違う整理の仕方になってしまう。「コウモリ問題」というものをご存知でしょうか?。コウモリは飛ぶものなのか、哺乳類なのか。「飛ぶもの」というカテゴリーと「哺乳類」というカテゴリーがあったときに、階層構造で情報を整理していると「コウモリ」はどちらに入れるべきか迷ってしまいます。仮に片方のフォルダに格納したとして、その結果逆の解釈をしている人がその情報にアクセスできず、「全関係者の思考をつなげて未知な世界を作ること」は実現できません。

「ネットワーク構造」以外にもScrapboxを選んだ理由があります。それは、「完成」という概念がなく、いつでも全員が編集できることです。Scrapboxには閲覧・編集の権限を細かく設定する機能がないので、資料や企画書を「完成品にしてから公開範囲を広げる」という工程がないのです。「完成品にする」という工程があると、制作途中で書き留めておいた思考プロセスや所感があったとしても、その部分を削除してしまいがち。しかしその削られた部分にこそ、他人の思考を刺激しうるヒントが含まれています。

実際ミーティングにおいて「化学反応」が起きやすいのは、議題とは直接関係ないような情報が場に出た時。あらかじめ決められたアジェンダだけでなく「そういえば…」から始まる雑談によって、思いもよらなかったアイディアや深い洞察が生まれ得るのです。結論だけでなく「そういえば…」も含めてナレッジとして残せることで、ミーティングで起きる「化学反応」と同じことをナレマネのプラットフォーム上で起こすことができます。

Scrapboxはもともと誰か一人が研究に使うために作られたそうですが、これをNPに導入すればきっと「集合知を作る」という世界観の実現に近づくことができる。本来自分の脳内でしか思考できない人間が、ナレマネのプラットフォーム上から他人の脳内を無意識的に借りて思考を進めることができるようになる。いろいろな人が持っているいろいろな知識や経験、そこから派生して昇華された価値観などがダイナミックにつながっていき、新しい考えが次々に出てくる。これは革命級にすごいことだと、ワクワクしながら導入を決めました。

新しいツールへの抵抗感がない新卒に、積極的に使ってもらった

一方でただ単にツールを導入しただけでは、ナレマネのあり方を変えることはできません。みんなが進んで活用してくれるように、様々な工夫をしました。中でも実際に導入するタイミングを新卒が入社する月に合わせたことは、大きく功を奏した工夫の一つです。

人間ってどうしても慣れているものを使いやすいと感じるので、新しいツールを導入することに抵抗感を抱きやすいと思うんです。しかし何も使ったことがない新卒であれば、新しいツールでも抵抗感なく使ってくれます。実際に、研修で学んだことをたくさん資料としてまとめてくれました。もちろん間違った情報が記載されることも少なくないのですが、それを見た先輩が「修正しなくては」とそのページを開いたり、「このレベルでもとりあえず書くことが大事そう」と感じてくれたり。そのまま自身もScrapboxに慣れていくということが多々ありました。

ただ社内で広く使われるようになっただけでなく、より「会社として目指したい風土」に社内の雰囲気も近づいている気がしています。具体例を挙げると、チャレンジがより推奨、促進されるようになりました。もともとNPにはチャレンジを推奨する文化がありましたが、やはり個々人の中に心理的なハードルがないわけではありません。それがScrapboxを入れたことで、みんなで思考を紡いでいくことが当たり前になりました。「大したことではないかも」と思いながら書いたことによって、他人の思考が誘発されていく。そんなことがあちこちで起こっているので「自分で完成形を作り上げなければ」という完璧主義は良い意味で撲滅されつつあります。結果として「失敗」という概念自体もなくなり、どんどんチャレンジができるようになっているように思います。

ミーティングの議事録にもScrapboxが用いられている。ミーティングのメンバーではない人も議事録にコメントを書くことができ、Scrapbox上でも議論が続くことが多い。

また「誰々が言ったことだから絶対」という価値観がなく、フラットに意思決定していくことに関しても、Scrapbox導入によって後押しされていると感じています。誰がどこを編集したかというのは、編集中もわからず、編集履歴にも残らないんです。いくら「フラットに」と言っていても、どこかで「誰が言ったことか」は気にしてしまうもの。物理的に「わからない」という状況になることで、意識しなくても「何を言っているか」だけに集中することができるようになりました。

声高に主張するのではなく、流れを妨げる障害物を除いていくという考え方

もちろん、何もかもが上手くいっているわけではありません。一番目指したい「集合知を作る」については、まだまだ途上だなと感じています。「全関係者の思考をつなげて未知な世界を作る」ためにはそもそも個々人が深く思考する必要があるのですが、「とりあえず書く」で止まっている人が少なくない。本来であればそこから言葉や内容を精査し、整理していくことで理解が深まったり思考力が上がったりするので、発散して終わりにしてしまうとScrapboxのポテンシャルは活かせないんです。

ただそれを声高に主張しても、きっと良い流れを作ることはできない。言われてやるのではなく、やっている中で気づくときっと楽しいだろうなと思っています。同じツールでも、全員が同じ使い方をするかと言ったらそうではない。個々人の性格や思考性によって心地よいやり方は違うと考えているので、いろいろ試す中でそれぞれの使い方を見出してほしいです。もともと深く考えることは好きという人が多い組織ですし、「集合知を作る」というのもミーティングではすでに日常的に行なわれていること。あまりに思考を伴わない使い方が生み出されるという事態は、おそらくほとんど起こらないでしょう。

なにか目指したい世界があったとしても、ルールや考えを押し付けて、水を無理やりモーターで引き上げるようなことをするのはナンセンスだと思うんですよね。それよりも高低差を調節して、指定したところに水が流れるように仕組みを作った方がいいと考えています。おそらくツール選定やプラットフォーム作りをする上で大切なのは、水が流れてほしいところ、つまり理想の世界を明確にして、障害物をどけてあげることだけです。今回で言えば、ナレマネで目指したい「集合知を作る」、加えて「チャレンジを推奨する」「フラットに意思決定をする」といった会社がもともと目指している風土に近づくための機能が細部まで揃っているScrapboxを選び、物理的、心理的なハードルを取り除きました。除くべき障害物はまだまだ多いですが、焦らず一歩ずつ理想に近づけていきたいなと考えています。

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