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無限の可能性がある。そう、”コミュニケーション”にはね。代表取締役社長 木村 弘毅 <前編>

ミクシィグループには、2020年現在、6名の社内取締役がいます。各役員のキャリア、仕事観、事業ビジョン、組織体制など赤裸々に語るコンテンツとしてシリーズでお伝えしていきます。

今回は、代表取締役社長の木村 弘毅。ネットの会社で働き始める前から、常に「コミュニケーション」がキーワードになっていたと語ります。『mixi』への憧れをもち入社した背景、『モンスターストライク(以下モンスト)』を生み出すルーツとなったソーシャルとコミュニケーションの学び、『mixiパーク』の失敗など、前編では木村のキャリア半生をインタビューしてきました。

SNS『mixi』出現の衝撃


将来はなんとなく、エンタメの分野でコミュニケーションサービスを

大学時代から親の会社の手伝いをしていて、そのまま継ぐようなイメージがありましたね。「壮大なキャリアイメージなんかもっていなくても、なんとかなるんじゃね?」ぐらいの感覚でしたから。ただ学生時代から、エンタメやゲームへの興味・関心が高かったのを覚えています。ゲームの企画書を作って企業などに応募するほどでしたから。当時から友人とゲームやスポーツを一緒にして楽しむ、それを自分なりにひも解くと「”コミュニケーション”に興味をもっているんだろう」と。大学の専攻と異なる分野でしたが、コミュニケーションをテーマに当時の専門機関誌を読み漁って勉強していましたね。

一方、大学時代から、ネットやコンピュータに関する知見がありました。というのも、専攻した理系の学部ではMacが必須で、当時価格が50万円くらいしたんですが、実験結果をレポートにまとめていたし、近所にあるアパレルショップのネット販売のお手伝いなどをしていましたから。自然と学んでいった感じですね。とその頃、世間ではネットが普及し、チャットや掲示板などネット上のコミュニケーションツールが発達しだした時代。その洗礼をうけて、エンタメのコミュニケーションサービスを、インターネットでやっていきたいと漠然と考えるようになった気がします。

その思いがあったので、何社かコンテンツプロバイダーを受け、その中からモバイルでコミュニケーションサービスを展開している企業に、未経験でしたが無事就職。数センチの分厚い企画書を持ち込んだのが功を奏したのかもしれません。ちなみに、企画書の作り方などは、書籍で学びました。事業計画書といったビジネスに関しては、社会人になってから書籍を読み漁りましたが、大学時代、割とインドア派だったので、家で小説へのチャレンジやゲーム企画などに没頭していた時期があって、文章の書き方や企画の作り方などは、ほぼ書籍からインプット。教科書をトレースできるレベルで、キャッチアップは得意でした(笑)。

SNS『mixi』への憧れと挑戦


「木村さん、mixiって知ってる?」一緒に働いていたアルバイトスタッフと会話の中であるサービスが話題になりました。『mixi』を触ってみると、「スゲー」「ヤベー」の連発です。実在する人物が、ほぼ実名でネット上で交流しているサービスなんですから。それまでプライバシーの観点から、ネット上で実名でコミュニケーションをとることは少なかったですし、ネット上では実在するかわからない人もいる。私の担当していた業務も匿名性の高いメル友の掲示板。それとは全く異なる世界が存在したことで、「mixiってすごい!」と衝撃を覚えたのを今でも思い出します。

丁度そのころ、ある会社がモバイルでSNSを展開するという噂を耳にしました。「モバイルでSNSを展開できたら、PC版しかないmixiに勝てる」とすぐさまその会社へ転職を決意。プロダクトの開発ディレクターとして、マーケティングやサービス企画を担当することになりました。モバイル版はブラッシュアップしつつ、PC版も開発。これは、ネットワーク外部性の最大化を図るためです。しかし『mixi』は圧倒的に強かった。サービスクオリティはいうまでもなく、ネットワーク外部性もあったからです。

当時は、徹底的にサービス『mixi』を研究してましたね。同じナナロク世代(1976年生まれのことを指す)として脚光を浴びている笠原さんへの憧れもあれば、劣等感を感じていた自分もいましたから(苦笑)。『mixi』が指数関数的に成長している理由には何があるのか、笠原さんのインタビュー記事を片っ端から読み、サービスの考え方などのキャッチアップに努めました。「友人が友人を招待しバイラルで成長していく」という、あるメディアでのインタビューコメントは今でも鮮明に焼きついています。

そんな憧れが強かったためか「ミクシィで働きたい」という意欲が、ふつふつと湧いてきまます。結果、三回の入社チャンスが訪れます。一度目は笠原さんに面接で不採用を言い渡され(苦笑)、二度目は条件面で折り合わず、三度目にてようやくミクシィに入社。「いつかは入社するだろう。こんなにもミクシィを好きなんだから」と呑気にそんなことを考えていましたが(笑)。

入社後担当したのは「ピコピコmixi」。パートナーからコンテンツを買い付け、mixi内で展開するモデルです。その企画やパートナー対応の後、社内でモバイルのプラットフォームを作る機運が高まったため、そこに参画。私はそこでアライアンスチームに異動します。出資しているパートナーにハンズオンで、mixiのソーシャルグラフ(ユーザーが自分を中心とした友人との関係性のこと)の特性を活かしたサービスを助言しながら、一緒に作っていく立場。おもしろかったですね。そこで手掛けた一つが「サンシャイン牧場」。


開始数ヶ月で300万人を突破し、大人気コンテンツとなりました。私なりに分析してみると、尖り過ぎてないゆるいゲーム性や描きこまれていないゲーム上の素材の絵や画像が、ユーザーに受け入れたと考えています。これは私にとって大きな学びでしたし、モンストでも活かされている考え方です。

「当たれ! Honda マイミくじ」というソーシャルアプリの企画も、手ごたえを感じた案件です。スクラッチ(コンテンツ上で実際にスクラッチを行う)であたれば景品をもらえる広告型のソーシャルアプリで、ユーザーが友人を招待すればするほどスクラッチのチャンス回数が増えるという、招待インセンティブの仕組みを設計して導入したんですね。


広告型のアプリなのに、数十万のユーザーが楽しんでいる光景は、大きな手ごたえを感じました。ただこの頃、ヒットゲームを作りたいと漠然と考えつつ、自分がゲームに向いているのか、広告が得意なのかは、見えてはいなかったですね。

SNS『mixi』のノウハウを「モンスト」へ


「mixiパーク」の大失敗があったからこそのモンスト誕生

2012年頃は、これまでと一転して会社の業績が苦しい時期に入ります。海外のSNSが席巻しつつありましたし、同業他社もプラットフォームビジネスに参入してきて、競争の激化をたどる流れに。同年9月に、私はプロデューサーとして、リアルな友人関係を用いた「mixiパーク」をパートナー企業と一緒に立ち上げます。自分自身の立体的な似顔絵(キャラクター)を作成し、ネット上でリアルな友人同士がたくさんの交流を楽しむ、新しいネットコミュニケーションの世界、親しい友人や知り合いとの“遊びニケーション”がスタートする……と思っていたんですがね。

想像を絶するほど盛り上がっていない現状を見て、愕然としました。「何か打開策があるはず…」想定通りに成長しないことはよくあることかと思いますので、改善案を検討しては提案する、を続けてはみたものの、成果に全く繋がらない。当時の経営陣に「Twitterと連動した形で……」「パートナー企業とはアライアンスを終了して、自社で作り直す」と、自分でもどれだけ非現実的な提案なのかわかってはいるものの、苦肉の策しか提案できない。結局自ら「mixiパークをやめます」と宣言し、同年12月に撤退が決まります。悔しかったですね。数千万規模の予算がふっとび、自分の描いていた世界が実現できなかったわけですから。

コミュニケーションの可能性を信じて


撤退後、うまくいかなった要因を分析すると「体制」「マネタイズ」「ゲーム内容」この大きく3つだと考えています。パートナーと協業する場合でも一緒の場所で密にコミュニケーションをとりながらやること、売上を確保する方法を徹底して考えておくこと、ユーザーのコミュニケーションを促進するために条件の設定や、心理的にハラハラドキドキできるゲーム性を用意しておくこと、です。大きな失敗をしましたが、リアルソーシャルでのコミュニケーションゲームで、マネタイズの可能性はゼロではないとも思えました。社内では、一部ソーシャルやコミュニケーションの可能性に懐疑的な空気も流れつつありましたが、私はコミュニケーションをサービスポリシーや価値として展開してきたミクシィという会社が好きでしたし、自分が一番興味を持っている分野でもある。「コミュニケーションサービスの可能性をどこまでも追求したい」そのためには「リアルソーシャルのコミュニケーションゲームで、マネタイズの実現を証明する」そう考え、ゲーム企画に入りました。これが恐らくラストチャンスになるだろうと予想しながら。

モンストは、ゲームの形をしたコミュニケーションツール


「モンスト」がどのような過程で作られたのか、どのようなフレームワークを駆使していたのか。そして、なぜヒットに繋がったのか。著書である「自己破壊経営」に詳細を記載していますので(決して宣伝ではありませんよ)、抜粋して少し紹介しますね・・・・・

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