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ギリギリ公開OKの「マシなモノ」ではなく、本当は「良いモノ」を作りたいんだ
こんにちは。
株式会社メンバーズキャリアのWebディレクター、高橋です。
会社のリソースを利用して、勝手に「クリエイターの悩みに寄り添う」と位置づけて発信しているシリーズ第二弾。
今回は『満身創痍で「マシなモノ」を作りたいわけじゃない。充実した環境で「良いモノ」を作りたい』という悩み。
とかく、ツラく苦しいのが当たり前、とされるクリエイター。
私がどのように「もっと良いモノを作りたいんだ!」という気持ちに気づき、そして向き合ってきたのか。過去の経験をもとにお話しようと思います。
映像・紙・Webで、10年くらいクリエイティブ制作に関わってきた
私は、新卒で小さなメーカーに就職し、品質管理・営業を経験。
その後クリエイティブの世界にキャリアチェンジし、今まで10年ちょっとくらいやってきました。
テレビ番組のAD、ゲーム関連書籍の編集・ライター、キャリア関係のWebライターを経て、現在はWebディレクターとしてコンテンツのディレクションを行っています。
「世に出せる最低ライン」はクリア必須。でも「最低ラインまで」しかできない
『環境』って大事。超ハードワークだと、毎回が「奇跡の完成」になる
私の制作としてのキャリアは、子どものころ好きだった番組のAD(アシスタントディレクター)としてスタート。
ですがすぐに「噂通り、マジでハードワークだな」と思い知ります。
土日を含め休みはほとんどなく、徹夜の連続も平常運転で、帰る場所はネットカフェ。
しかも全国放送で公共の電波に乗せるので、「世に出せる最低ライン」は絶対に守らなければならない。
本当は、子どものころに自分が受けた感動を、次の世代に残したかった。
でもこんな環境では「最低ラインを守ったモノを作れること」だけでも奇跡に近い。
「環境のせいにするな」という言葉もあるでしょうし、その通りだと思います。このときの失敗は、『自分にとって制作しやすい環境を整備できなかった(選べなかった)こと』ではないでしょうか。
(しかも後から知ったのですが、実はその会社は「業界でも有名な超ホワイト企業だった」というオチ。マジか。)
誰にとって何が良いか『定義』しないと、独りよがりになる
好きな業界で好きなモノを作っていれば、良いモノを作れるはずだ。そう考えた私は、ゲーム関連書籍の編集・ライターになります。制度がしっかりしていたので、ハードワークでしたが納得して働けました。
ですが当時は、ゲームのWeb攻略記事が増えてきた時期。
しかも出版業界全体が不況にあえいでいました(今もですが)。
「制作側が負う作業分量は増大。クライアントからもらえる金額は控えめに。」
「本の値段は据え置き。でもページ数は縮小。」
そんな外的要因がクリエイティブに影響しました。
必要最低限の情報を入れる前に、ページ数と制作期間の上限が来てしまうのです!
好きであることや情熱をもつことは、大事だと思います。むしろ最低条件である、とすら思っています。
でも情熱に振り回されて、アレも入れたい、コレもやりたい、と内容を増やしていったら「自分にとってだけ、良いモノ」ができてしまう。
しっかりと『誰にとって良いモノにするか、という定義』をすり合わせれば、もっとやりようがあったように感じます。
「良いモノを作ること」に終わりはない。だけど、仕事には締め切りも終わりもある
このころになってようやく、自分が感じるモヤモヤが「良いモノを作りたいけど、それができないことに対するフラストレーションだ」と気づき始めます。
私の次の転職先は、ITベンチャーのWebライター。新規事業部の立ち上げメンバーにもなりました。
よりにもよって、またもハードワーク!!
しかも部署の立ち上げ時、ライターは私一人。ライターでありながら、ページのコンセプト設計や納品までのコンバージョン管理など、ディレクターとしての仕事もやっていました。
しばらく働いて、私よりも社歴が長い人が全社で10人ちょっとしかいなくなったころ。
会社は上場を果たし、働き方も入社時からは考えられないほど楽になっていました。
今までいかに満身創痍で制作してきたかに気づくことができ、「環境ってめっちゃ大事」と、心ではなく理論で理解できるようになったのも、このころです。
そんな現場の最前線で制作を続けたことで、見えてきたことがありました。
過不足なく『ゴール』に向けて改善する
映像や紙からWebに軸足を移して、一番変わったと感じるのは「完成が終わりではないこと」です。
映像であれば、放送してしまえば終わり。紙であれば、印刷してしまえば終わり。だからこそ緊張しますが、基本的にはそれで終わりです。
ですがWebなら、完成後にも容易に修正できてしまいます。しかもコンバージョンを追うとなると、PDCAを回しつづけ、ページをより良くしていくことができる。
ここでもっとも重要なのは「過不足ないこと」です。
改善に不足があると、定められたゴールに到達できないので良くないのは言うまでもありません。
それに加えて、見落とされがちなので意識しておきたいのが、過剰な改善行動を防ぐこと。
工数を圧迫するので、「ゴールに到達できる」とわかった時点で「もう手を入れない」という判断を下す必要があります。
これができない、または苦手な方が多いように感じています。
クリエイターとしてはもっと良くしたいし、納品責任者としては不安なのでギリギリまで改善したくなっちゃうので。
「良いモノ」を作るために。私がとっている解決方法と『秘密のアドバイス』
【1】クリエイティビティを担保できる『環境』を整えること
これによって、満身創痍のボロボロの状態で、いかにマシなモノをアウトプットできるか、という状態から脱却できます。
必要とあらば業務範囲を交渉したり、転職するというのも視野に入れても良いでしょう。
【2】「良いモノ」や「何を成果とするか」など、『定義』を明確にし共有すること
環境が整ったら、次は何が成果として求められていて、何が「良いモノ」にあたるのかを定義しましょう。
定義したら必ず周囲に共有して、みんなでその目標を目指します。または、あなたがそれを目指していることを知ってもらいます。ここでは、納得がいくところまで落とし込んでおくこと、自分の言葉で説明できるようになっておくことが大切です。
【3】『ゴール』を明確にすることと、それに向けて適切に改善すること
環境が整い何を目指すかが決まったら、「どうなったらそこに到達したといえるか」、つまりゴールを決めます。
これも、どの数値がいくつになったらOKと判断するのか、などの共通認識をもっておかなければいけません。
(『秘密のアドバイス』こっそり、自分が良いと思う要素を入れちゃう)
『環境』『定義』『ゴール』をうまく設定できても、どうしてもちょっとずつは抜け漏れや穴がうまれてしまいます。
もっと良くするために、あと何ができるだろうか。そう思ったとき、私は「自分が良いと思うものの要素を、こっそり増やす」ことにしています。
Aの表現とBの表現、どちらが良いか。このコンテンツは入れるべきか、削除するべきか。
そんなときは、チープな表現になりますが、自分の信じる正義とか、何を善とするかとか、どんな社会をつくりたいかとか、そういった自分のなかにある良いと思う要素と照らし合わせて、答え合わせをします。
自分が、「良いと思う!」と胸を張って言えるモノを作ったほうが、絶対に良くなりますよ。
とりあえず今、私の『環境』は整いました
私は現在、株式会社メンバーズキャリアで働いています。
正社員派遣を扱っている常駐型のクリエイター派遣の会社です。私はメンバーズキャリアのディレクターですが、派遣先企業のコンテンツをディレクションすることになります。
メンバーズキャリアでは、残業代が全額出ます。お金が発生するので無限に工数を増やせない。満身創痍のボロボロになることは、あまりないでしょう。
また、クリエイターがクリエイティブな活動に集中できるような会社をつくる、というお話もありました。まだすべてが万全なわけではありませんが、母体となるグループが東証一部上場企業であるということもあり、企業としての体力や蓄積を感じています。
クリエイティブな『環境』としてはかなり整っているほうだと思います。あとは、自分が派遣された先で『定義』と『ゴール』を明確にし、良いモノを作るだけ。
基本的な考え方ばっかりになってしまいましたが、だからこそ一つも欠けてはいけないのではないでしょうか。「最近、なんか制作しててもパッとしないなぁー」と思っていたら、参考にしてみてください。
それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。