今、防音室が来ている。
こんにちは、(株)ピュア設計部の和智です。今回は防音について調べる機会があったので、防音に関してご紹介しようと思います。あまり需要はないかもしれませんが、ご興味ある方はどうぞ、見てみてください。
◎私はとある案件で防音製品を探すことになりました。それにあたり、防音の知識を付け焼刃ではありますが、調べてみました。防音のプロと会話する際に何を言われているのか多少わかるようになるのが目的です。防音とは何をさすのか?どんなアプローチをするのか?など防音ネタを集めてみました。
防音とは?
音を防ぐと書いて防音と言います。大きな音を抑える事をさします。身近な防音について言うと、カラオケ店の妙に重いドアや音楽室の穴だらけの壁などがそれにあたります。一般的に言うと防音には3つあります。外側に対しての防音と、内側に対しての防音があります。
①吸音(きゅうおん)
音を吸収させることで本来の音を減らして小さくさせることです。
②遮音(しゃおん)
音を遮り跳ね返す事で透過させず、音をほとんど伝えません。
※しかし音は跳ね返ってくるのでなくなりません。
③防振(ぼうしん)
空気の振動やモノの振動を抑えることで音が伝わらないようにします。
*音が通り抜ける事を透過(とうか)と言います。
音の種類
①固体音
物体を伝わって聞こえる音。(天井から聞こえる上の人の足音などの衝撃音はコレ)
→ 振動による騒音は防振対策をしないと難しく、吸音+反射では限界がある。
②空気音
空気を伝わって聞こえる音。(外の車の音が聞こえてきたときはコレ)
音の特徴
①音は空気の振動で伝わる(真空では伝わらない)
②音は固い物に当たると反射する
③音の大小、高低(周波数ヘルツ)を波形で表す
④音波は液体・固体・気体の全てで伝わる(中でも固体は音を伝えやすい)
⑤音の速度は温度で変わる。(20度前後の時の音速 ≒ 340m/s)
音の特徴2
①共鳴
素材・形状によっては共鳴して別の音を生むことがある
②回折
様々な反射を繰り返して伝わる。壁があっても、隙間があれば音が回り込んで伝わる。
③反響
音が物体に当たって跳ね返ってくる現象(エコー、やまびこ)
④残響
音が響いていつまでも残っている現象
⑤フラッターエコー(音響障害)
壁にぶつかって跳ね返った音が何度も跳ね返っている現象(音響障害)
⑥ブーミング(音響障害)
特定の周波数の音がよく響いてブーンといった音を立てること(狭い所で吸音不足だと起こりやすい)
音の減音
①遠くに音源を離す
②空間を密閉する
③別の音をぶつけて消音する(ノイズキャンセリング)
◎ノイズキャンセリング機能のついたヘッドホン
音の種類
①点音源・・・球状に拡がっていくタイプの音
②線音源・・・円筒状にまっすぐ進むタイプの音
③面音源・・・面の面積以上は広がらず四角柱状にまっすぐ進むタイプ
*音源の種類によって伝わり方も距離による減衰も差があります。
これを頭に入れた上で、今回は考えていきたいと思います。
どんな物ならより防音できるのでしょうか?
遮音する物が
厚くて、重くて、硬い素材
の方が、音を跳ね返します。木製よりスチール製の方が強いです。
また、遮音された上で密閉されていると外に音が漏れません。
ただし、遮音だけでは、音は反射しても無くなることがありません。
そこで吸音する必要が出てきます。
吸音するものは、
空気が入っていく穴が沢山ある、フワフワしている、凹凸の多い素材
の方がより音を吸収します。
高い音なら小さい穴、低い音なら大きい穴が沢山ある方が理想的です。
<素材の一例>
※あくまで一例です。調べてみて出てきた内容になります。
吸音材:
ウレタンスポンジ、グラスウール、ロックウール、ニードルフェルト、有孔ボード、鉛
※中・高周波ならグラスウール、低周波なら鉛が効果的らしい
遮音材:
ゴム、遮音シート、石膏ボード、 コンクリート、スチール板 etc
防振・制振材:
カルムーンシート、ゴムマット、フェルト、制振シートなどクッション系
ドアの場合:
グレモンハンドルは密閉性高くてよい。 引き戸より開き戸の方が密閉性が高い。
※例えば、業者さんから
「ロックウールとグラスウールを入れて、防音性能を確保するかな…」
と言われたりします。これはグラスウールやロックウールで音を吸収させようとしています。
どれだけ防音ができるかを防音性能・遮音性能で表現します。
Dr値:壁・建具の防音・遮音性能(現場の2空間の遮音性能)
T値:サッシ・ドアの遮音性能
L値:床衝撃音の遮音性能
TLD値:壁単体の音響透過損失
色々な表現があります。ごっちゃになりそうですね。
遮音性能を考えた時に一番使うのはD値になります。D-○○といった使われ方をします。
D-○○の場合、数字が高い方がより防音されることになります。
防音室が流行している…!
さて、基本的な知識でさえも中々にハードルの高さを感じる内容でしたが、
今防音室が流行しているようです。
調べてみてわかったのですが、防音室のヒット件数がハンパじゃありませんでした。
業者さんに頼んで自宅にオーディオルームや音楽室を構えたい方が増えているほか、
隣人さんとの騒音問題を気にされる方も増えているという事のようです。
できるだけ小さくしてお金を抑えつつ、設備を豪華にするのが今のやり方のようで、
防音室を販売しているところもいくつかあります。
一番お手軽そうなものに、【だんぼっち】という商品がありますが、
それについては賛否両論あるようです。
防音関係なく、作業部屋が欲しい方には丁度良い狭さなのではないでしょうか。
段ボール単品にそこまで防音性はないというのが定説のようです。
お手軽な防音材に、紙製の卵パックが挙げられていました。(大体グレーの卵を保護する紙製容器)
四方八方に卵パック180個を張り付けて防音性能を確かめている人がいました。
効果はあったようです。
色々見ている中には、ローコストで防音室を自作する猛者もいました。
自作の防音室で活躍していたのはやはりグラスウールです。
ただ、グラスウールは飛び散ってチクチクするので扱いづらく、
アクリアマットというもので代用する人もいました。
グラスウールは人が吸引すると量によっては障りがあるようなので、
その点ではアクリアマットの方が扱いやすく安心です。
また、換気扇設置には電気配線をいじらないといけないので、
電気設備士の資格を持っている人でないと扱えない事もあるようです。
個人でやるとするなら、コンセントタイプが良いようです。
じゃあ、皆さん防音室を作って何をするのか?というと、楽器や歌の練習が殆どでした。
やはり、何も防音施設がない部屋で思いっきり音を出せないのがネックなようです。
アマチュアの人はもちろんですが、プロの方はもっとこだわりを持って設計もして、
お金もある程度かけて自分好みの音の響き方をする防音室を作っているようです。
そんなこんなで知識を探り学びつつ、
うちが求めている防音製品を作れる会社を探していますが
これがなかなかいない!(なんで!)
どうやら防音性能をつけたその製品というのが難しいようです。
「製品自体はハードル高めだが技術的には作れないこともない。
ただ、それに防音性能を付与するノウハウがないので厳しい」と言われました。
防音性能を付与した製品の仕様書を誰かが用意できれば、
その通りに作ることは技術的に可能だとのことでした。
一社に丸っと任せられる方がやりとりはスムーズですが、
もしかすると、これは共同プロジェクトみたいな感じになるのかもしれません。
ひとまず、私は防音に詳しくて、かつその製品を作れるメーカーを引き続き探します。
私の座っている席の後ろに自販機があるのですが、この自販機、
動作音がずっとブンブン言っているので防音したいようなしたくないような・・・笑
飲み物をすぐに買えるベストポジションなのですが、惜しい。
調べまくったおかげでやっとちょっと、方向性が見えてきました。
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