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人事総務部長インタビュー|多様性を軸にイノベーション組織への変革に挑むKIRIN「従来のビジネスモデルはもう通用しない」

キリングループでは、2027年までに「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指し、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」を策定。そしてイノベーションを実現する組織能力の強化を実現すべく、キリングループが掲げる価値基準に「多様性(Diversity)」が追加されました。

そこで今回、キリンホールディングスにて人事総務部長を勤める濱利仁さんに、価値基準に「多様性(Diversity)」が加わった背景から、現場でどのような変革が起こっているのか、そして、今後の展望についてお話を伺いました。

キリン従来のビジネスモデルが通用しない時代。多様性を力に変え、いかにイノベーションを起こしていくかが重要である


―― キリンの価値基準に「多様性(Diversity)」が追加されるに至った背景、経緯を教えていただけますか?

まず背景として、消費者の価値観が変わり、従来のビジネスモデルのままでは通用しない時代に突入した、ということがあります。

いま世の中はテクノロジーの進歩が凄まじく、それに合わせ消費者の生活スタイルも変化をしています。そして、生活スタイルが変わるということは、人々の価値観も変わるということ。

人々の価値観が変われば、これまで「こういった属性の消費者には、こういった商品を届けると喜んでもらえる」と思っていたことが、当てはまらなくなっていきます。そのため、消費者の新しい価値観、スタイルに合わせたビジネスモデルに変えていかないと企業存続が厳しい時代となりました。

さらに、社会から企業に求められることも変わってきています。様々な社会問題が浮き彫りになっている昨今、企業は持続可能な社会づくりにいかに取り組んでいるか、いかに社会に対して価値を届けているかが求められています。

そこでキリンとしてお客様、社会に価値を届けていくために、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」を策定しました。KV2027では、既存事業の「食領域」「医領域」に加え、2つの中間領域にあたる「医と食をつなぐ事業(ヘルスサイエンス事業)」を立ち上げ、そして、育成していくことを掲げ、「酒類メーカーとしての責任」を前提に、重点課題である「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」により一層高いレベルで取り組むことを発表しました。

しかし、変化が激しく、不確実性の高い時代、答えがひとつではない時代だからこそ、イノベーションを起こしていく組織であることが重要です。そして、イノベーションを起こすためには、様々な知恵やいろいろなモノの見方を持っている人材、すなわち、多様性のある人材が集まり、意見をぶつけ合い、化学反応を起こしていくことが必要。

そのため、多様性の重要性をただ言葉で理解するだけではなく、しっかりと行動を起こしていくために、価値基準に「多様性」を追加するに至りました。


―― 「多様性」という価値基準を持って行動を起こしていく、ということを詳しく教えていただけますか?

もともとキリンでは、多様性のある組織づくりを目指した取り組みを行っていました。例えば、2006年頃からは女性活躍推進を目的に、女性社員が活躍できる機会創出や女性同士のネットワーキング形成など、女性の視点を事業に積極的に取り込んでいきました。

しかし、多くの男性社員にとって「一部の人たちのための取り組み」と他人事になってしまうなど、課題も残りました。 “多様性を受け入れる” 土壌はできましたが、多様性をもとにイノベーションを起こす、“多様性を力に変えていく” という行動に移していくまでには至らなかったのです。

そこで、年齢・性別・国籍・障がい などの属性的な多様性だけでなく、モノの見方・考え方、価値観、経験など内的な要素も含めた多様性を受け入れることをまず理解し、そのうえで多様性を力に変えていくこと を社員に浸透させるべく、価値基準に「多様性」を追加しました。

さらに、多様性を受け入れ、力に変えているかどうか、多様性という価値基準を持ってバリューを発揮しているかどうかを人事評価とも連動し、社員への浸透を図っています。

また、社員一人ひとりが何か新しいことにチャレンジすること、これ自体が自身の多様性を高めるプロセスだと考えています。そのため、“手を挙げて何かにチャレンジしようとする社員”を会社は積極的に応援していますし、チャレンジしたい人にはチャンスがあるということを、人事制度とメッセージで社員に伝えているのがいまのフェーズです。

「キリンのやり方に合わせる必要はない」我々の知らない文化や価値観をぶつけてほしい

―― 多様性を具現化していくために、人事評価制度以外で何か他に取り組んでいることはありますか?

多様性を力に変えていくためには従来の “キリンのやり方” にとらわれずに行動することが大切ですが、なかなか中にいる人間が新しい視点を持つことは難しかったりもします。そこで、従来は機能フィット型の採用基準だったキャリア採用(中途採用)を、2018年頃から多様性を基準とした採用に方針転換を行いました。

キャリア採用で入社する方にも、「キリンのやり方に合わせる必要はない」ということを伝えており、その方が持っている新しい視点、我々の知らない文化や価値観をぶつけていただき、既存社員と化学反応が起こせるか、ということに重点を置いています。キャリア採用で入られる方には、良い意味で異質であってほしいと思っています。

そして、キャリア採用者数は、2018年は十数名でしたが、2019年は約30名、2020年は50〜60名の採用を目指しており、年々増加しています。そのため、従来の社員の間にも「待っているだけではいけない、チャレンジしていかないと」といった危機感が生まれており、良い刺激になっていると感じています。

また、今後もキャリア採用の方が増えていくと、キリン内部で当たり前だった仕組みや言語が通用しなくなっていきます。中には本来の目的を見失い、ただ踏襲され続けているだけの業務もあるでしょう。そういったことに対して、「これは何を目的としているのか?」といった質問が増えていくでしょうし、無駄なものが淘汰されていく機会にもなると考えています。


―― 外部の方が入ってきたことで、キリンに良い変化が生まれたエピソードは何かありますか?

メディアでも幾度か取材を受けていますが、P&Gから入社したキリンビールのマーケティング部長の山形光晴さんは、まさに多様性を力に変え、社内にイノベーションを生んだ人間です。従来のキリンのマーケティングにとらわれず、新しい思考プロセス、育成プロセスを導入し、優秀なマーケターを育てる仕組みを構築しました。

当然、はじめは山形さんが新しいプロセスを導入していくものの、周りの社員は「彼は本当に優秀なのか?」と疑心暗鬼な状況でした。しかし、彼の実力が認められていき、生茶や本麒麟の大ヒットを実現。そして、40代半ばで最年少執行役員にも就任するなど、キリンのイノベーションの立役者のひとりです。

そして、山形のように、実力があれば年齢は関係なく、キャリアアップが可能なのがキリン。もちろん従来の仕組みを変えていき、変化を起こしていくことは容易なことではありませんが、常に前を向き、実現したいことのために周りを巻き込んでいけるパッションを持ち続ければ、他の社員も必ず応援してくれます。

多様性は一人ひとりのチャレンジから生まれる。イノベーションが生まれる組織を目指して


―― あらためて、「多様性」によってイノベーションを起こしていくために重要な要素は何だと考えますか?

イノベーションを起こすドライバーが多様性であり、その多様性を分解していくと、多様性は一人ひとりのチャレンジから生まれると考えています。成功失敗に関わらず、チャレンジをすることで個々人に新たな経験が蓄積されていきますし、プライベートにおいても読む本のジャンルを広げてみるといったことでも、一人ひとりの知識や発想が増えていき、個の中に多様性が生まれていきます。

キリンとしても、2027年に向けてそういった個人のチャレンジを奨励できる仕組みをもっと整えていきたい。そのためには個々人の意識改革はもちろん、各リーダーポジションの人間が多様性の必要性を理解することも重要です。リーダーが属性の多様性ではなく、価値観や経験含めた内面の多様性を真に理解することで、メンバーへの仕事の与え方、アドバイスが変わり、組織がチャレンジを推奨する雰囲気になっていくからです。

個人の意識、そして、リーダーの意識を変えていくためにも、人事はただ多様性を掲げた制度をつくって終わりではなく、結果がでる仕組みへとブラッシュアップし、そして社員に浸透させていくことで、最終的な目標である「イノベーションを実現する組織能力の強化」を実現できればと思っています。

―― 最後に今後の展望を教えて下さい。

今、社員の中でも「もっとオープンにチャレンジできる風土をつくりたい」と若手有志が中心となり、社外を巻き込んだ学びの機会を自発的に創っていたり、また、公式でも丸井グループ、東電、カゴメそしてキリンの4社共同での塾を開催し、手挙げで参加できたりと、イノベーション創出に向けた学びの機会が社内で増えています

また、ヘルスサイエンス事業(医と食をつなぐ事業領域)は、ファンケルとの提携や協和発酵バイオとの共同開発などの取り組みはあるものの、どういったビジネスモデルで、いかに事業を形にして推進していくかはまだまだこれから。まさに、新規事業の立ち上げフェーズです。

そういったチャレンジする環境が生まれつつある中、会社としても自ら手を挙げ、チャレンジする人を応援すると舵を切っていますので、逆に言えばチャレンジしない人には厳しい環境とも言えます。

もともといる社員でも、キャリア採用の社員でも、年齢、役職、資格などに関わらず、実力ある人、チャレンジしたい人を会社が応援する制度をこれからも整えていきますし、チャレンジできる舞台を整えていくので、多様な視点、経験を持った、そして成長意欲を持っている社員には、積極的にチャレンジしていただき、イノベーションを起こしてほしい、そう思っています。

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