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【フォーカス】エンタメ業界の潮流「360度ビジネス」の先へ 多角化するLDHの野心

IT業界出身のフリーライター・ゴウトが、
気になるトレンドやテーマをピックアップしてお届けします。


エンタメ業界ではCD等の音楽を製造・販売するパッケージビジネスが長年主流でした。しかし近年ではアーティストをブランド化して、ライブ、グッズ販売、ファンクラブ、有料コンテンツ配信と、あらゆる方向へ展開して収益を最大化する「360度ビジネス」に転換しています。
EXILEや三代目J SOUL BROTHERSらが所属する (株)LDH JAPANは、いちはやく360度ビジネスを実践した企業。さらにアパレル企画販売、飲食店経営、スクール運営、結婚式プロデュースなど事業の多角化を進めています。ベンチャー企業としてのLDHグループに迫ります。


資本金300万円の有限会社からスタート ベンチャードリームを体現

LDHの源流は、EXILE初代メンバー6人が50万円ずつ出資し、マネジメントとプロデュースを行うため2002年に設立した有限会社です。
EXILEが「国民的」といわれるグループに成長し、追従グループも人気を博してLDHは躍進します。
2015年6月には、株式会社LDHとして以下の決算公告を行っています。

資産151億円 流動負債63億円 固定負債1.7億円 株主資本86億円 利益剰余金86億円 当期純利益27億円

これは5年前のものでありその後決算公告を行っていないので、具体的な数字は確認できません。しかし現在は関連会社が増え大部分は好調な様子なので、連結決算の数字は相当大きくなるでしょう。非上場ではあるものの、もはやベンチャー企業の域を脱して上場企業と比べても劣らない規模です。


強力なブランド力と依存しない二軸の事業展開が強み

LDHビジネスの特徴は、人気グループの強力なブランド力を最大活用するジャンルと、逆にまったく頼らないジャンルの二軸による事業展開です。

例えば、ダンススクール『EXPG』とトレーニングジム『EXFIGHT』は、ブランドである”
EXILE”を冠しています。アパレルはメンバーが着用したりメンバープロデュースを押し出したり積極的にグループ色をアピールしています。これらの事業は、ファン層がターゲットでしょう。

一方、飲食店は素材にこだわる落ち着いた佇まいの店舗展開。例えば『鳥佳』の平均客単価が8千円~、『鮨 つぼみ』は2万円~なので、若年が多いファン層はターゲットにしていないと考えられます。

筆者が特に注目しているのは、通信制学校法人の角川ドワンゴ学園N高等学校と提携して、ダンスを学びながら高校卒資格を取得できる『EXPG高等学院』の開校です。
N高は話題になっていますし、時代のニーズに応える新しい教育スタイルでとてもユニーク。別の機会に改めて取り上げたいと思います。


所属タレントが関連会社の取締役に LDHの人材活用術

もうひとつの特徴としては、所属タレントが事業運営に関わっている点が挙げられます。
世界展開のためにアジア・ヨーロッパ・北米に設立した各リージョン会社の取締役には、EXILEの現役メンバーが取締役として名を連ねています。アパレル、スクール、飲食の関連会社でも同じです。

メンバーの嗜好やアイディアから派生した事業ということはありますが、「タレントのセカンドキャリア」の意味合いも強いのでは?というのが、筆者の推論です。
パフォーマーは一生現役とはいきませんし、人気商売ならではの浮き沈みがあります。
マネジメントや経営に携わるキャリアパスを示し、所属タレント・社員の帰属意識とモチベーションを高めているのではないでしょうか。
またタレントは現場の最前線で豊富な経験を積んだ人材ですから、埋もれさせるのは惜しく人材活用の一環だと考えます。


withコロナの時代にどうswitchしていくか

LDHは「Love・Dream・Happiness」の頭文字。汎用性あるキーワードなので、このビジョンをベースにして、あらゆる分野へ横展開できます。娯楽・食・運動・教育・結婚と、生活に深く関わる要素で全方位から攻める。海外法人を設立したことからも、芸能プロダクションの枠を超えた「グローバル総合エンタテインメント企業」を目指しているのは明らかです。

そうはいっても、主軸はやはり国内での芸能事業。新型コロナの影響によって重要な収入源であるはずのライブが開催できないなか、どのように展開していくのでしょうか。

2020年7月には、LDH初の試みであるオンライン配信型の生ライブが行われました。筆者は若手グループ『THE RAMPAGE』のライブ(3,900円・決済手数料780円)を鑑賞しました。
鑑賞の手軽さや至近からのカメラワークといったオンラインならではの良さはあったものの、臨場感での物足りなさは否めません。
8月には、「ソーシャルディスタンスライブ」を行うそうです。どんな形態になるのか現時点で詳細は発表されておらず、イメージが湧きません。

既存の枠にとらわれず成長してきたLDHだけに、ピンチをチャンスにして新たな世界観へswitchする仕掛けを期待したいところです。



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【プロフィール】
ゴウトナオ(ライター)
インフラエンジニアとして長らくIT業界で勤務後、専業ライターに転身。最前線で活躍するビジネスパーソンへのインタビューを数多く行う。アートとおつまみと銭湯が好き。小学生二児のおかんライター。

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