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【wwwaap報02】 物語の道しるべ、それが「コマ割り」

wwwaapが日々コンテンツへどう向き合っているのか、そのノウハウを詰め込んだ『wwwaap報』第2弾! 今回は、「コマ割り」ついて紹介します。

私たちは日ごろ漫画を読む際、ほとんどの場合、ページ右上から左下へという流れで視線を動かしています。ただ、各コマや台詞には番号が振られているわけではなく、読む方向に矢印が描き込まれているわけでもありません。

では、どうして正しい順番で読むことができるのでしょうか?

その答えのひとつが「コマ割り」であり、それが読者の「目」の代わりになって、誘導してくれているんです。

wwwaapで編集や進行管理に日々奮闘する岡内さんに、コマ割りの基本について説明してもらいました。

▼コマ割りは、ストーリーの良さを引き出すための重要な技術

岡内さんは、コマ割りの位置づけについて、映画を例に説明します。


映画は目を離していても勝手にストーリーが進みますが、漫画は自分の目と手を動かさないと物語が進展しませんよね?

だからこそ漫画の描き手は、どことどこのコマが繋がっていて、どういうスピードで読ませたいかを、意識しなくてはならないんですよ。

その表現方法の一つが、コマ割りなんです。


たしかに漫画は、再生も早送りも巻戻しも、すべて読者の手に委ねられているコンテンツです。だからこそ、作者の意図したとおりに読んでもらうには、あらかじめ道筋を示しておく必要があるのかもしれません。


コマとコマにまたがって吹き出しがあれば、そのコマ同士が連続しているとか、コマ枠の太さでコマ同士の連続性を示しているとか、そのページ内で面積占有率が一番大きいコマは、なかでも重要なシーンで、より長く読者の目に滞在してもらいたい…とか。


じつは作者の“見えないリード”によって、知らず知らずのうちに物語に導かれていた私たち。そんな物語の道しるべとも言えるコマ割りについて岡内さんは、「一番どうでもよくて、一番重要な技術」と表現します。


基本的に漫画は『視覚的に優れた、個人の主張や文化文脈の発露を伴う物語』なので、コマ割りがうんぬんというより、作者の想いやストーリーのおもしろさが伴っていないと良い作品にはなりにくいです。

逆にその部分を満たした、あるいは超えた作品にとって、コマ割りって結構重要なんです。だからコマ割りは、ストーリーの良さを引き出すための重要な技術なんです。


では、コマ割りに明確なルールはあるのしょうか。

岡内さんは、大前提のルールを除いて「基本的にはない」と話します。


やっぱり、ストーリーや作家さんのこだわりがあるうえでの、コマ割り。ある種、テーラーメイドというか。これが正解ですと提示してしまうのは危険なくらい、決まったルールで一律に割るものではなく、ケース・バイ・ケースなんですよね。


それほどコマ割りは、作家の意図が表現される大事な装置でもあるのです。

▼紙とWEBが描く、「コマ割り」のそれぞれの未来

では、これらの理屈はwwwaapが手掛けるWEB漫画でも成り立つのでしょうか。

前職で紙媒体を扱っていた岡内さんは、その違いについて、「大きく変わらない」としながらも、両者の特徴をこう説きます。


紙の漫画って、ページは縦長なんですが、見開きで見ると横長なんですね。たとえば『ONE PIECE』では、見開き1ページ使って戦闘シーンが描かれていたりします。

そのことから漫画は横長のメディアと言えるんですが、WEB上だと画面割りの都合上、縦長にせざるを得ないんです。

だから紙媒体の漫画をそのままWEBへ適合というのは少し難しいかもしれません。


であれば、やはり漫画は、WEBより紙に適したコンテンツだと言えるのでしょうか。

岡内さんは、これについて「そうとは言えない」とし、WEB漫画の未来についてこう語ります。


紙は大きさが決まってますが、インターネットはサイズの幅は無限ですよね。いまままでは、紙の規定に基づいてコマ割りが決められていましたが、そういう縛りがないぶん、新しい、なにか画期的なコマ割りを生み出す人も出てくるかもしれませんね。ページがL字とか(笑)。


1ページの滞在時間はだいたい15秒、コマ数の限界は10コマ、なんて言われることもある漫画ですが、無限のサイズ、無限の演出の可能性を秘めるWEB漫画はその常識を打ち破るポテンシャルを秘めた、まったく新しいコンテンツと言えるのかもしれません。

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