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事業責任者から、いちエンジニアへ。転職の背景と現在地

(※この記事は2021年11月に公開したのものです。)

さわやかで、物腰柔らかな速水友里(Yuri Hayamizu)。実は大変なキャリアの持ち主だ。ニフティ子会社で執行役員を務め、規模の大きなWebサービスを率いてきた。エンジニアから経営の立場になったとき、俯瞰的な視点を身につけるべく、経営大学院に通い始めた努力家の一面も。その素晴らしい経験とひたむきさを、日本のスタートアップに捧げる。

ニフティ子会社で執行役員。会社再編も経験し、個人として何ができるか考えた

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「新卒で入社したニフティには7年半在籍し、個人では到達できないレベルのプロダクトに携わることができました。しかし後半は環境が激変し、怒涛のような日々でした」と速水は振り返る。

以前はパソコン通信で知られた大手プロバイダのニフティだが、2017年4月に会社を分割。コンシューマー事業とニフティの社名を引き継いだ新ニフティは、家電メーカーのノジマ傘下に。事業部ごとに分社化し、速水はWebサービス事業を手がけるニフティネクサスへ。執行役員として『ニフティニュース』の責任者を務めた。長年多くのユーザーに愛用いただいているサービスであり、旧ニフティ時代から携わり、育ててきた自負があった。このように速水自身は活躍していたのだが、やはり思うところはあった。

「入社当時は安定していましたが、ほんの4年後に激変しました。会社に頼ってはいけないし、いざそうなったときに自分は何ができるかと考えました」と速水。個人として無力さを感じ、今後を考える契機になった。そこで半分は転職を視野に、半分は情報収集目的で経歴を登録したところ、フォースタートアップス(以下、フォースタ)の代表の志水雄一郎からメールが届いた。「えっ社長?と驚きました」と笑うが、それだけスタートアップの世界に来てほしい人材だったということだ。

自らも手を動かしながら幅広くウェブサービスの開発を経験し、その後に事業運営、会社経営にも携わった速水は、スタートアップにぴったりなマインドも持っていた。速水は言う。

「私はスーパーエンジニアになりたいわけではなく、目的を達成するためなら、どんな役割でもいいと思っています。求められる役割が都度変わるなかで、いろいろな解決策を提示できる存在でいたいと思っていました。だから、言語や経験などの要件ベースの募集では、自分はイキイキできないと感じていました。『どんな技を使っても解決してくれ』と言われるほうが性に合っています」

会社規模や役職にこだわりもない。フラットに自分がイキイキと働ける場所はどこかと考えたとき、他の会社も見た上で、会社が目指すことに意義を感じ、そのために何をすべきかを自ら決められるフォースタが、自分に合っていると感じた。

開発を通じてヒューマンキャピタリストらとともに事業を創る

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現在、速水が開発しているのは、ヒューマンキャピタリストが使う社内システムだ。こう書くと一見地味に感じられるかもしれない。だが、それはあくまでも現時点の姿。将来的には、マーケットにいるタレント(=人材)とスタートアップのマッチングプラットフォームとなる。あまたのスタートアップと国内外の有為の人材が集い、フォースタがハブとなって素晴らしい交流や化学反応を起こすしかけとなるものだ。

現時点では、ヒューマンキャピタリストによる社内での利用が中心だが、求職者サイドからもアクセスでき、自らの経歴のアップデートや企業情報の収集、関心ある企業への応募ができる機能もスタートしている。社内システムから、一般に開かれたWebサービスへと少しずつ姿を変えているところだ。速水は、これらをユーザーであるヒューマンキャピタリストと議論しながら開発している。

「システムなので、短期でのビジネス成果につながるものではありませんが、『こういう仕組みがあればいい』『こうできればうまく回る』などと話して改善し、その結果、みんなが使い、便利になったり、仕事が効率化したり。その変化を感じられます。ヒューマンキャピタリストを介するけれども、事業に関わっていると実感できる点が嬉しいです。実際、一つひとつは小さな開発でも、積み重ねて1年経つと全然違うものになっています。それがよく見えます」と速水。

次々と課題を見つけ、クリアし、システムが進化していく。たとえば直近の大きな課題ひとつは、ハイタレントの人材との持続的な関係構築だ。人材紹介ではなく、成長産業支援の会社であるフォースタは、企業とはもちろん、タレントとの関係も「紹介して終わり」ではない。リレーションを維持し、成長産業全体を見渡した上で、常に双方にとって最適な場で活躍できるように支援していくべきだろう。そんな持続的なコミュニケーションを、プラットフォーム上で実現することに取り組んでいる。

「プロジェクトオーナーとは何回も話し合い、試作しています。システムを作っているのではなく、事業をやっているという感覚を強く持てます」と速水。ユーザーとの一体感、事業が100%自分ごとである点がおもしろさであり、やりがいだ。

余裕が生むおもしろいアイデア。尖った個の力がチームの強みに

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所属するTech Lab.(エンジニア組織)には、個性がひしめきあっている。それもそうだ。ITサービスの会社ではなく、表立ったプロダクトがあるわけではない。成長産業支援・良き世の中をつくる――と言われても、ピンと来ないエンジニアが多いだろう。

だが、エンジニアなら皆、テクノロジーの可能性は知っている。起業し、テクノロジーを使って挑戦している人たちを後方支援するために、自分の持てる力をマックスに発揮するのがフォースタのエンジニアだ。集まるメンバーはその思いを共有する。採用選考では、それが最優先事項といってもいい。その結果、この個性ある、バックグラウンドもさまざまなメンバーが集まった。

熱量は高いが暑苦しくはない。雰囲気、環境は良好だ。速水は言う。「チームは、余裕のあるところがいいと思います。エンジニアはとにかく根を詰めます。そうすると最終的におもしろい解決案が出てきません。気持ちに余裕があるから、みんな創造的だし、広い視点を持ってフラットに考え、『こうすればできる』、あるいは『これをするのは今じゃない』といった意見を出せます」。

また、勉強会も盛んだ。毎週1人の担当者を決め、惜しみなく自分の経験や知識を披露することで、それぞれが知らなかったことや自分からは進んでは調べなかったこともインプットされる。加えて、技術書を読み、それをどう実装できるか議論する輪読会もする。「これも余裕のひとつだと思います。いろいろな知識を吸収することで、その先につなげることができます。その時間を持てるのは、上に立つCTOがその価値を理解し、認めているから。『そんな時間があったらエラーを直せ』なんてことは言いません」。

速水も、ニフティで培ったデータ分析の知見を積極的に発信する。前職のニュースサービス運営は、恐らくもっとも精緻にデータを追いかけるサービス、業種だろう。その経験を発信するとともに、開発時にはデータをとる仕かけを要所々々に施す。このような各人の尖った強みが掛け合わさり、チームの強さとなっている。

一人ひとりの知やノウハウを蓄積する重要な役割と自覚。すべての行動に意義がある

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そんな速水は、プライベートではビッグバンドでサックスを吹き、経営大学院で学ぶ一面も持つ。ビッグバンドは、このコロナ禍で演奏がままならない日々が続いた。ようやく、少しずつ日常が戻ってきている。経営大学院はもうすぐ修了予定だ。ニフティ時代に急遽子会社を経営する立場になり、経営に関する知識はもちろん、物事を俯瞰的に見る必要性を感じて通い始めた。その視点が、日本の危機を唱えるフォースタへの共感につながった。

多忙な合間には読書。最近では、ユニコーン企業におけるアジャイル開発について書いた本を読んだ。そこには「ユニコーン企業ではアジャイル開発が企業文化に染み込んでいる」といった旨が書かれていた。まさにフォースタもそう。個の力が突出したエンジニアが集まり、自立している組織だ。アジャイルの伝道師のようなメンバーもいて、みんなで自走する文化を創っている。

Tech Lab.を飛び出して、フォースタ全体を見渡せば、まさにタレントの宝庫。会社全体では、ビジネスサイドのメンバーが大半を占める。これまでにない経験だ。速水は言う。「一人ひとりが自分の目標を明確に持ち、まい進する。それをつづけていることに、純粋に感心します。だからこそ、システムで支援したいです。今は手作業と勘で何とかなっていることも、これが倍の組織なると回りません。そこに自分のいる意味がある。一人ひとりの知、ノウハウを、システムに蓄積する重要な役割を担っていると思っています」。速水が加わる前からいたメンバーが蓄積してきてくれたものを、さらに未来につながる資産になるように。そう思うとすべての行動に意義があり、やりがいを感じる。

「起業が当たり前という世界を実現したいし、そこに技術で貢献できると思うと楽しいです」と速水。まだまだ仲間がほしいTech Lab.。速水のそんな思いに共感してくれる人が加わってくれたら嬉しい。

◎最後までお読みくださり、ありがとうございます。エンジニアのテックブログはこちらに移転しました。よろしければ、ブログもあわせてご覧ください。

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