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「大企業は例えるなら軍艦」大手証券投資銀行部門からエンジニアにキャリアチェンジした藤井が成し遂げたいイノベーションとは

あるシェアハウスで、毎日、熱心にプログラミングに励む青年がいた。その熱意を見た仲間の住人が思わず声をかけた。「おもしろい人がいるから会ってみない?」。青年は藤井祐汰(Fujii Yuta)。その前向きな姿勢と親しみやすい雰囲気に、自然と周りの人が引き付けられる。その頃の藤井は、新卒で入った大和証券を辞め、ワクワクしながら次の人生を模索しているところだった。声がけをきっかけにフォースタートアップスの仲間になった。

大手証券投資銀行部門で華々しく活躍。しかし次第に軍艦に乗り続けることに疑問を持つ

大和証券時代の会社のマラソン部にて


理工学部物理学科を卒業後、新卒で入社した大和証券では、投資銀行本部のストラクチャードファイナンスと呼ばれる分野で活躍した。2年目には、若手ながら、日本初のスキームでまとめたディールが日本経済新聞に取り上げられたことも。上司に「一応、検討してみて」と依頼された案件を、自身の数学的な知見、弁護士事務所や信託銀行の協力、および社内の様々な部門の協力を得て見事にクローズしたのだ。

藤井は「大変でした。毎日説明を求められ、何回もダメ出しをくらい、社内だけでも10部署、20名近い人の協力が必要で、最後まで気が抜けませんでした。達成できたのは人に恵まれたから」と振り返る。

部署の役割にとらわれず、前に進むために必要なこと、プロジェクトに巻き込まれた人の困りごとを自分が一つ一つ解決することを意識した。そして何より、丸投げされたことをラッキーと思い、新しい挑戦にワクワクしていたことが成功の要因だろう。大和証券時代の忘れられない思い出だ。

だが、ワークライフバランスが重視されるなかで組織全体がタスクをさばくことに追われ、主体的に案件を生み出す余裕が失われていた。半ば機械のように働くなかで自分の価値を見失い、次第に「成長曲線が倒れてきた」と悩み始めた。頭ではITで代替できると思う業務も実際には人が行うことが多く、10年後、20年後の投資銀行業と自分の行く末に疑問を覚えた。

大和証券は、例えるなら軍艦のような巨大企業。しかし、金融も含めて多くのビジネスモデルが急激に変化するなか、堅ろうな軍艦に乗っていては寄せる波に気づかない。会社の看板に守られている後ろめたさもあった。「直接波を感じ、自分の力で漕ぐ小舟に乗ったほうがいいのではないか」。藤井は思った。

半年ほど迷った末、同世代の起業家に会ったことが転機になった、「明日辞めてこいと言われ、背中を押されました」。ここまで背中を押されても辞めないと、一生辞めると言わないのではないかと決断し、藤井は本当に翌日、「退職します」と会社に告げた。行き先の当てはない。だが、むしろ「何ができるか」と気持ちが高ぶった。約2年前のことだ。

まず、本格的に次の仕事を探す前に、少なくともWebの知識はあって損はしないだろうという思いで、海外では一般的になっているプログラミングのブートキャンプへ。せっかくなので英語も勉強しようと思い、多国籍なスクールに。15か国23名で全て英語で学んだ。これがおもしろかった。夢中になって学び、一定のスキルを身につけたところで、金融の知見も生かせるフィンテックのスタートアップに入社した。

日本を勝たせたい。漠然と抱いていた危機意識に刺さったフォースタのビジョン

プログラミングスクール時代にハッカソンに出場した際の記念写真


そして、熱心にプログラミングに励む藤井に、冒頭の通り、シェアハウスの住人が声をかけた。「おもしろい人」とはフォースタートアップス(以下、フォースタ)のメンバー。誘いに応じて会ってみたのは、藤井自身、もっとスタートアップを知りたいと思っていたからだ。「一口にスタートアップといっても、『創業間もない』というだけで、会社のビジョン、成長意欲、技術レベルは会社ごとに違います。改めて情報収集したいと思ったのです」。

会ってみると、その「おもしろい人」は、次々と社名を挙げては事業領域、経営者、経営戦略など、その会社の良いところを楽しそうに話した。「自分の『商材』を、こんなにも好きと思って仕事をするのは素敵なことだと思いました」と藤井。スタートアップの情報より、フォースタという会社とその人の印象が強く残った。

その後、たまにやりとりしながら数カ月が過ぎ、次第にフォースタに興味を持つようになった藤井。あるとき、代表の志水雄一郎に会うことになり、その話に圧倒された。

「GDPや所得など世界と日本を比較したデータを基に、日本はこれからどうなるという話をホワイトボードがグチャグチャになるほど(笑)、たくさん聞きました。頭を叩かれたような衝撃でした。僕も前職で、海外の人に『日本人は英語が話せない』と言われることや、優秀な外国籍の社員を目の当たりにすることがあり、漠然と、日本が負けていることへの口惜しさがありました。そのモヤモヤを受けとめてくれるビジョンや、利他主義といった考え方が自分に合っていると思いました」。

在籍していたフィンテックの会社では、Webサービスの基礎を徹底的に学ぶことができた。短いながら充実した日々を過ごしたが、「この技術を何に使いたいか」、「自分はどこで成長したいか」と改めて自分に問いかけ、フォースタへのジョインを決めた。

充実の日々。ユーザー課題解決が日本の競争力向上に直結。学ぶことも無尽蔵。


入社して現在は、社内で使う顧客管理システムを開発するとともに、これから拡充していくエンジニアチームを、みんなで一丸となってつくっているところだ。開発業務について、藤井は言う。

「ユーザーであるヒューマンキャピタリストの課題解決に専念し、それにより、彼らがより業績を上げられれば、結果的に日本の競争力が上がる。自分のやりたいことと、ユーザーのやりたいことが一致している実感があります」。

入社時の挨拶で、藤井は「いつ、どんなときに相談されても絶対に嫌な顔をしない自信がある」と宣言した。それは藤井のポリシーでもあるが、シンプルにユーザー=ヒューマンキャピタリスト達が好きだからでもある。「社内の人ではあるけれども、この人たちを幸せにしたいです。みんなスタートアップが大好きで楽しそう。僕にはできない仕事だなと尊敬する思いも強いです」。

宣言通り、決して嫌な顔をせず、元来、人を引き付ける藤井の元へ、ヒューマンキャピタリストが次々と「こうしてほしい」、「こうしたらどうか」と相談に訪れる。だが、エンジニア歴はまだ2年未満。相談に応じ、周りのエンジニアと議論をするには並大抵ではない努力が必要だ。「ものすごくキャッチアップの勉強が必要です。でもそれは嫌いじゃないし、むしろ無尽蔵に学べてエンジニアという仕事は楽しいです。実情は、石にかじりついてでもついていく、というレベル感ですが、『未熟なので学ばせてください』という姿勢で仕事をするのは、スタートアップではナシですね。ここにいる以上、対等に話せるようにならなくてはいけない」と、藤井は笑顔のなかに決意を覗かせる。

日々の仕事に全力で打ち込み、家に帰ると、オンラインで米国の大学のコンピューターサイエンスの講義を受講するなど、勉強に打ち込む。技術だけでなく、エンジニアがモチベーション高く働ける環境についても考えるようになった。エンジニアとして、ビジネスパーソンとして着実な成長を遂げている。

当たり前に起業する社会へ。マインドのイノベーションを起こしたい


「自分のしていることが、社会にインパクトを与えていると感じられることは、大きなやりがいです」と藤井は言う。

もちろん、今すぐ社会に大きな影響を及ぼすわけではない。スタートアップを盛り上げる機運もまだ不十分なら、フォースタも未完成。エンジニアチームは発展途上で、手がけているシステムも、まだまだ改善の余地がある。

「でも、それがいい。未完成だから、ああしよう、こうしようと考える楽しみがいっぱいあります。やるべきことはたくさんあり、ボールがそこら中に落ちている。ボールが飛んでくればラッキーだし、落ちているボールは自分から拾いに行きます!」。

そして、軍艦のような大企業と異なり、手漕ぎの舟は、漕ぎ手全員が海を見て風を読み、目的地とそこに至るためにすべきことを理解し、全力で漕ぐことが重要だ。そうしなければ、たちまち荒波にのまれてしまうから。その一途な一体感も、スタートアップならではだ。

目指す方向について、藤井は語る。「フォースタは、スタートアップ支援だけでなく、『起業はブライトキャリアだ』というマインドにおけるイノベーションを起こしたいのです。有名大学を出て、名前を知っている企業に行くのではなく、起業が当たり前の世界に」。

そのマインドが醸成され、挑戦する人が増え、いずれ日本の競争力が回復する。そこに藤井は貢献すべく奔走しているが、そのためには一緒に取り組む仲間ももっと必要だと語る。特にエンジニアにフォースタの魅力を知ってほしいという。

「フォースタの魅力は、ビジョンと日々の業務が直結していること。個々のメンバーが何かしらの分野で強みを持ち、技術力のある会社であること。互いに刺激しあって開発に取り組めるいい環境ですし、技術レベルも高いと思いますが、みんな気さくです(笑)」。

望み通り、手漕ぎの舟に乗り換えた藤井。その腕は、さぞかし太くたくましくなったことだろう。証券会社ではビジネスサイドを経験し、今はテクノロジーの知見と経験を蓄積している。

この2つを融合し、いずれは自分も事業を創りたいという野望もある。日本を良くするために、自分にできることをどん欲に追求していく決意だ。

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