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【司法書士が語る】“いま”私たちが相続マーケットに取り組む理由

こんにちは。AGE technologiesの呉村です。

私は、司法書士として活動していましたが、2018年にCEOの塩原と出会い、AgeTechという大きな市場、またIT×相続というサービスコンセプトに魅力を感じ、AGE technologiesにジョインしました!

現在はメインプロダクトである「そうぞくドットコム」の開発における品質管理、また業務フローの構築やオペレーションの改善、さらに新規事業領域のリサーチなど、司法書士の枠を超えてあらゆる業務に日々取り組んでいます(私の転職背景やキャリアチェンジなどについてはぜひ別の記事で共有させてください!)。

弊社が現在取り組んでいる“相続手続き市場”は、国の大きな課題として、近年多くの変革が続いています。先日、塩原が公開したブログで、「タイミングが適切かどうか」という視点について書かれていましたが、今回はその点を司法書士の視点からもう少し深堀りして説明したいと思います。

弊社に少しでも興味を持って頂けている方に対して「なぜ僕らは”いま”相続手続きサービスに取り組むのか?」について、お伝えできればと思っております。

1.九州本土よりも総面積が広い?所有者不明の土地の問題

まず、大前提として不動産には「全部事項証明書」(以下、登記簿といいます。)と呼ばれる、その不動産についての詳細が書かれたドキュメントが存在し、皆さんが普段街中で目にするほとんどの不動産は、登記簿を取得することで「いつ、誰が建てた建物で、現在は誰が所有しているか」などの基本情報がひと目でわかります(登記簿は一般に公開されているものなので、法務局または登記情報提供サービスという法務局が提供するWebサービスで誰でも閲覧することが可能です)。

よって「誰が不動産を所有しているのか」については、登記簿に記載されますが、そこに記載されている所有者が亡くなって相続が発生した場合、所有者の名前は自動的に変更されません。所有者の名前を変更するには、法務局に行って、自分で登記申請というものを行わなければなりません(住民票の住所変更のようなイメージです)。

この手続きは、残された遺族の誰か(厳密には相続人の誰か)が行う必要がありますが、もし何かしらの理由でこの手続きを放置した場合、ずっと昔の人の名前のまま登記されていることになります。そのため、登記簿を見ても情報が古過ぎて現在の所有者がすぐに分からず、「所有者不明」として扱われることになります。

この所有者不明の不動産は全国に多く存在していて、全ての所有者不明の土地の面積を合計すると、なんと九州本土を上回る広さになると報道されています(衝撃的な広さですよね。。)。

そして問題の本質は、所有者不明の土地や家屋が増えると、以下のような状況が発生すると言われている点です。

①周辺の治安が悪化する

所有者が分からない不動産ですので、誰が管理しているか分かりませんし、そもそも管理されていない場合もあります。そのような不動産が増えると、いわゆる空き家問題と同じく、景観が悪化したり、治安が悪化したりという問題が発生します。近隣住民の方や管轄の市区町村にはとても迷惑がかかります。

②税収入に影響する可能性がある

不動産の所有者は固定資産税や都市計画税という税金を毎年支払うことになりますが、所有者が分からなくなってしまうと、不動産の固定資産税を誰から徴収するのかも分からなくなってしまいます。

市町村の税収入は約4割が固定資産税となりますので、その固定資産税の収入が下がり、税収入が減少すると、それまで受けられていた行政サービスが廃止されたり、有料化されたりといったことが考えられます。また公共施設や道路・水道といったインフラの整備が妨げられ、さらには人口減少や経済活動の縮小といった、悪循環に繋がってしまう恐れがあります。

③次世代に負担をかける

「まぁ、必要ないし、面倒くさいし」といって不動産の名義変更を放置してしまっても、結局はいつかやらないといけないものなので、自分の配偶者や子供などに負担をかけることになります。また一度相続が発生してから、さらにその子供たちが亡くなった後に、また次の相続が発生すると、遡って手続きをする必要が出てきます。

言葉で説明するとややこしいのですが、要するに、何世代も不動産の名義変更を放置すると、手続きに関与しないといけない人が無限に広がり、その当事者間で連絡を取り合い、一緒に手続きするのが難しくなってしまうことにもなりかねないということです。「最初は1人だけだったのに、何世代も放置された結果、30人で手続きしないといけない。。」ということになってしまうこともあります。

以上が、所有者不明の土地という課題に関する説明です。

2.今年の4月に「義務化」の法案が可決

この問題には国も頭を抱え、以前から「相続に伴う不動産の名義変更手続きを義務化するのがいいのではないか?」と議論されていましたが、今年の国会でようやく相続登記の義務化が可決されました。

相続登記義務化に関する法律で決まった大きなポイントとしては、

1.相続発生から3年以内に申請しなければいけない

2.守れない場合は10万円以下の罰金が課される

という点です。

これまでは義務ではなかったため「手続きが面倒」などの理由で放置する方がいましたが、今後は上記のような法律に基づいて、相続手続きの一環として、不動産の名義変更を行う人が増えるでしょう。

なお、法律が施行されるのは、全て同時ではありませんが、一番早い「相続登記の義務化」は2024年までには施行すると発表されています。

相続に伴う不動産の名義変更手続きが義務化されれば、放置の数が減る(=ちゃんと登記する人が増える)、またその時点で放置している方も登記をすることになるので、当然ですが登記申請数全体が増えます。私たちの観点で述べると、マーケットが拡大することになるのです。

相続に伴う不動産の名義変更手続きは、現在も年間で約500万個(1日に約1.3万個!)の不動産について申請されていますが、義務化されて3年以内に登記をしなければいけないということになれば、この数はさらに増えるでしょう。

私たちはこの義務化に伴う市場の流れに合わせて「来るべきタイミングで、業界のスタンダードになっておく必要がある」と捉えています。

3.数年後の業界スタンダードを目指して

少し話は逸れますが、そもそも相続が発生し不動産の名義変更が必要になった時、取る行動としては、以下の4つの選択肢が存在します。

① 面倒なので登記しない

② 自分で調べながらやってみる

③ 司法書士に依頼する

④ ネットサービスを利用する

前述の通り、①については、義務化の影響で減っていくでしょう。

次に②ですが、これははっきり述べると、手間がかかり過ぎるため、時間の余裕がないと手続きできません。何に時間がかかるのか?については本稿では割愛しますが、手続きに必要な戸籍や住民票を集めたり、申請書を作成したり、法務局に提出したりと、とにかく手間がかかります。もう仕事を引退していて時間が有り余っているという方であれば、「ゆっくり時間をかけて進める」という方法もありますが、多くの方はこの手間をかけることを嫌います。

次に③についてですが、司法書士は登記の専門家で、不動産や法人などあらゆる登記業務を扱うことができる唯一の専門職種です(冒頭で説明した通り、私も司法書士です)。が、そもそも司法書士は全国に約22,000人しかいません。1日に登記される相続経由の不動産の数が1.3万個ですから、全てに対応しようとすると、そもそも数が足りないとも言えます。

もちろん、登記の専門家として、複雑なケースの不動産相続などを行う際は、司法書士に依頼するのがベストだとは思いますが、上記に挙げた国が課題として掲げている所有者不明の土地問題を解決するには、司法書士以外の選択肢が出てくるべきだと私は考えております。

最後に④です。私たちは、これまでには無かった新しい選択肢の1つとして、サービスを提供しています。

できるだけネットで低価格で利用したい方、面倒な手続きをカットして非対面でスピーディーに行いたい方、また遠方地域の不動産手続きをリモートで行いたい方など、スマホ普及によりネットリテラシーが上昇している50代や60代を中心に、新しい選択肢として拡がりつつあります。

改めて、他分野での傾向を考えても「ネットで相続手続きを行う」という流れは必然性があると私は考えており、事実、弊社サービスのリリース以降の急激的な成長を見ても、世の中の強いニーズを感じています。そして、数年後に「ネットで相続手続きするのは当たり前」となった時には、そうぞくドットコムが既に業界のスタンダードになっているという状況を作るために、私たちはこのタイミングでこの事業を仕込んでいます。

弊社のValues(行動指針)の1つに、「長期思考で仕掛ける」という言葉があります。これには「一瞬で起こったように見える変化にも、必ず長い準備時間があり、長期思考で今日やるべきことを見出し、粛々と実行する」という意味が込められていますが、まさにこれを体現する意味で、将来のスタンダードを作るべく、今日という日から着々と仕込みを始めています。

以上が、なぜ私たちが、今このタイミングでこの事業を行なっているかの説明になります。


最後に、私は現在「そうぞくドットコム」の開発における品質管理を行なっていますが、お客様により良いユーザー体験を提供するには、まだまだプロダクトの磨き込みが必要です。

未来のスタンダードになるようなサービス開発に興味がある方は、ぜひお気軽にご連絡頂ければ幸いです!

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