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代表インタビュー | 創業家三代目が家業を辞めて、国際物流スタートアップを始めた理由

業界初の国際物流マーケットプレイス「Giho」を運営するWillbox株式会社では、現在一緒に働くメンバーを募集しています。そこでWillboxで働くメンバーのことをお伝えするため、ストーリーをスタートすることにしました。今回はWillboxの創業者であり代表の神 一誠に、創業の背景や組織の今、Willboxの未来について聞きました。



<プロフィール>

神 一誠(Motonari Kami)

1989年生まれ、神奈川県横浜市出身。大学卒業後、ディップ株式会社にてアルバイト求人広告「バイトル」の法人営業に従事。その後、株式会社マイナビにて新卒採用サイト「マイナビ」の法人営業に従事し、当時最短最年少で支部長に就任。その後、家業の総合物流会社を経て2019年にWillbox株式会社を設立し、「Giho」を2020年から提供開始。

起業する気も、物流業界で働く気もなかった

ーWillboxを起業したきっかけを教えてください。もとから起業に興味があったんですか?

まずは私のバックグラウンドからお話させてください。大学卒業後、新卒でディップ株式会社に入社して「バイトル」という求人広告の法人営業を経験しました。その後、株式会社マイナビ、オープンハウスディベロップメントを経て家業で創業56年の総合物流会社に入社する流れとなりました。当時プライベートでは結婚し長男の存在が明らかになったタイミングで、なぜか「家業を継がないと!」といった発想とともに、家業自体の組織変更など条件が重なり入社することになりました。起業と言う発想は全くなく、ジョブホッパーだった自分の人生とは裏腹に「安定した人生」になるんだろうなと思っていました。しかし家業に入社し海外現地法人の台湾に駐在していた際に、現場作業の仕事をすればするほど物流の「負」の部分が多く見えてきて、どうにかしたいと思うようになりました。また、後に説明するギホーさんの存在が、現場で働く職人たちとその技術をどのように後世に残すべきか思考するキッカケとなりました。既存の商慣習にデジタルを当て込んでも意味がない!物流業界に新しい「仕組み」があれば様々な知見をデジタル化し、多くの人が利用できるサービスになると漠然と考えていました。こういった思考が巡り始め、徐々に「国際物流をより良くしたい!大義名分だ!」と思うようになりました。

実はGihoというサービスは家業の物流会社が職人の技術を活かし、あと100年生き残るために構想したサービスでした。一応、調査の名目で大手荷主企業様や物流事業者様へヒアリングしてみたところ、面白いように皆さん共通の課題を抱えていたのです。そこで、私はこのGiho構想を父に相談しました。すると驚くことに、実は父が20年以上前に構想していたことと同じだったのです。当時はインターネットが普及しておらず、物流事業者様たちをネットワーク化できず、大手荷主企業様と「オフコン」で繋ぐことしかできなかったそうです。インターネットがあればできることも分かり、何より血は争えないな・・・とも思いました。いち早くサービス化することで、業界を大きく変えるトリガーになると感じました。また当時父からも「家業のことはいい。お前が業界を変えてこい」と背中を押されたのを今でも覚えていますね。ただ、起業する条件として家業からの資本関係もなし、顧客の紹介もなし、まっさらな状態で始めることがGihoを浸透させる近道だと考え、スタートを切りました。


ープロダクト名:Gihoのモチーフとなった「ギホー」さんとの出会いを教えてください。

Gihoは通称:ギホーさん(陳技芳 先生)へのリスペクトからこの名前にしました。名前の通り中華圏の方で、私が家業の物流会社で台湾の現地法人に駐在している時に出会った方でした。私は赴任当初、すぐに実際の物流現場に配属され職人さんたちと一緒に、超大型の産業機械を輸出するための梱包箱を作っていました。ホワイトカラー出身の私が安全靴に軍手、ヘルメット、そしてトンカチを持ち、爪の間まで真っ黒になり日々作業していました。台湾はとても暑く作業場の工場内は40度以上もありました。私はとても大きな衝撃を受けたことを今でも覚えています。それもそのはずで、少し前までジャケパンにローファー、時にはタートルネックとチャラチャラした広告営業をしていたので当然ですね(笑)。その後、配属が変わり資材を管理する部署に移り、資材調達や木箱設計のノウハウを丁寧に教えてくれたのが「ギホーさん」でした。彼は勤続25年以上で、貨物を見るだけで見積書がはじき出されるスゴ技を持っていました。また自社の資材状況や他社の案件受け入れ状況などを加味し、総合的な物流プランの提案ができる方でした。私はシンプルに「すごい!」と思う反面、この人と同じ思考を持った人材を増やすということが、全くイメージできませんでした。そこで、ITの力を使ってどうにかギホーさんの能力を再現できないか考えGihoを作り始めました。


業界内に新しい「仕組み」と「場」を創ることへのチャレンジ

ー2020年からサービス提供を開始したGihoというサービスについて、教えてください。

Gihoは業界初の国際物流マーケットプレイスです。2021年現在120社を超える物流事業者様(輸送、梱包、倉庫、通関、船など)が登録し、最適な物流を提供できる「仕組み」となっています。既存の商慣習で行われるリアルな物流とは異なる、デジタル上での受発注や国際物流の業務ができる新しい物流スキームです。もちろんここには既存の物流とは違った新しいルールやフローがあります。このサービスでは「時間・お金・安全」という物流業界の永遠の課題を解決することができます。例えば国際物流の一連の見積書を取得するには、通常2日~14日間かかります。Gihoでは10秒で取得することが可能で、そのまま物流事業者様へ発注することもできます。よく物流業界の課題として挙げられる「紙」や「FAX」などのアナログな手法は、実はそこまで大きな課題ではないと捉えています。むしろ今の物流スキームは「最上級」の方法だと認識しています。ただ、あまりにも限られた選択肢とブラックボックス化された構造には疑問を持ちます。そのため我々は既存の商慣習にデジタルを持ち込み紐解くより、新しいデジタルだけの産業構造を創った方が業界を変革できると考えたのです。妻のネックレスがギュッと絡まっているのを一生懸命ほどくよりも、新しいネックレスをプレゼントしちゃおう!という発想ですかね(笑)


ーレガシーな業界でも既存プレイヤーさんたちと住み分けをすることで、他社にはマネできない新しい物流サービスをリリースすることが出来たんですね。

そうですね。Gihoというサービスはよく「フォワーダー」でしょ?と思われることが多いのですが、「フォワーダーだけどフォワーダーではない」というのが我々Gihoというサービスの立ち位置です。(※フォワーダー:第二種貨物利用運送事業者)
実際にこのサービスの中には、大手フォワーダー様たちも既に入ってきており、新しい物流の仕組みとして認識されています。実作業を行う物流事業者様たちも、現場作業を抱えているため自社独自のDX化は困難を極めます。Gihoのようなサービスに協力すると勝手にDXされるということで、協力企業が増加中です。


この3ヵ月で、本気で業界課題を解決したいモノ好きなメンバーが集結

ー会社のメンバーと取り組みについて教えてください。

現在業務委託のメンバーも含めると、全員で12人の体制です。先日、WeWorkみなとみらいから同じ横浜市内のオフィスビルへの移転も完了しました。(Newオフィスについては別途お話できればなと思います…)
メンバーは物流業界の出身者に限らず未経験者もいます。毎週月曜日に開催している「Willbox Value up MTG」と称した勉強会では、業界のドメイン知識をインプットしてもらっています。特に物流業界はインターネットで出回っている情報が、現場感と違うことが多いため正確な情報を取り入れてもらうためにテーマを区切り、経験者がリアルな物流現場に関する講義をします。そのため、求人に関しても特に業界の経験は必須ではないのですが、物流に対する「興味」は持っておいてほしいですね。
その他にも、Willboxでは行動指針となるバリューに「Will」というものを掲げています。字のごとく意志や未来を示しており、Willbox社員が大切にする10か条が記載されています。2021年7月より開始した「All hands MTG」では、チームごとの週次ギネス報告やWillについてのディスカッションが行われており、事業をスケールさせるために時間を投資しています。


ー人数が少ない中でも色々と取り組まれているのですね。

そうですね。会社として「環境」を整えることは当然だと捉えています。まだまだフェーズ的にも我慢してもらっていることも多いですが。勉強会では業界のドメイン知識をインプットしてもらいますし、業界の裏話もします。また勉強会のみならず、事業が加速するために出来る限りの投資を会社として実行します。ビジネスチームとエンジニアチームが「環境」が原因で事業成長が失速することがあれば、それは私の責任ですね。有難いことにWillboxではオーナーシップを持ったメンバーが多いため、私が企画することはごくわずかです。そのため私はメンバーからの企画や要望に対して「いいね!いっちゃおう!」という軽いテンションで迎えるだけで済んでいます。実際に投資が必要な事象については、予算をもとに投資実行を判断しますが、基本的には「GO」です。事業成長=スピードを、「お金」で買うイメージかもしれません。その分、キャッシュフローはドキドキですから、ビジネスチームのメンバーはピリピリする私にかなりドン引きしていますね(笑)

海外展開は当たり前。業界の「課題解決屋」として機動力のある組織を創る

ーこれからWillboxをどんな組織にしていきたいですか?

注力しているキーワードは「数字」と「課題解決」です。Willboxのビジネスチームは「数字」にうるさいですね。特に私が・・・。事業計画のKPIは口酸っぱく言いますし、投資家さんからお金を預かっている以上、トップライン(売上)を伸ばすことは当然だという認識で、ビジネスサイドの全員が動いています。かなり泥水すすりながら事業を進めている感じです。しかし社内の「仕組み化」も並行して科学しているような、ちょっと変わった組織です。そのためよくWillboxは”セールスが強い会社”と言われることが多いですが、実は「課題解決」して行くうえで、エンジニアチームによるテクノロジーの力を用いて産業構造を変革していきたいとも考えています。Willboxはビジネスチームとエンジニアチームが業界内にある「課題解決」に向けて一緒に動く、機動力のある組織を目指しています。物流業界は外から見るよりもとても複雑な業界です。特に国際物流は多くの利害関係が絡み合っています。しかしテクノロジーの力を持ち込めば、ここで働く全ての人々の生産性を向上できることも明確です。だからこそ、Willboxという会社はビジネスチームとエンジニアチームが、顧客の「課題」というキーワードを軸にディスカッションを重ね、解決策を一緒に考えていきます。そのため「こんな機能を作ってほしい!」という議論はご法度で、「こんな課題を見つけた!」といった具合に、よき相談相手であり、お互い違う領域のプロとしてディスカッションをします。一般的なスタートアップとはもしかしたら少し違う感覚かもしれませんが、これがWillboxの「雰囲気」なのかもしれません。とにかくWillboxではビジネスチームとエンジニアチームが、共通の解像度で事業を進めることに注力していますし、きっとそれが機動力を高める重要な要素だと考えています。

またWillboxのビジネスモデル上、海外展開は必然と視野に入ってきます。異なるローカルルールに対応することや、世界中の物流事業者データベースを保有することが今後の事業展開にも繋がります。物流業界の習わしで言えば「現物主義」という言葉があるように、しっかりと業界に筋を通す方法でマーケットを取りにいきたいですね。


ー根幹の事業であるGihoは、今度どうなっていきますか?

Gihoというサービスは、物流業界の新しい「仕組み」でしかありません。国際物流の課題を本当に解決するには、マーケットプレイスによる「取引コストの削減」とSaaSによる「業務効率の向上」を同時に行わなければ意味がありません。我々のGihoはその両方を実現していきます。


ーどんな方と一緒に働きたいか、教えてください。

物事を構造的に捉え、オーナーシップを持って事象に取り組める方が良いですね。やはり物流業界はとても複雑で特殊な世界です。「物流」を提供するだけではなく、顧客の「課題」を解決する必要があります。しかしそれが難しい。もしかしたらAとBをくっつけたらできることや、違った角度かた見たら発見できることなど、常に考えることができればゴールにたどり着けます。Willboxでは「構造化スキル」と呼んでいます。またそれを実現するにはオーナーシップを高い視座で持つことが必要です。そうでないと、普通は諦めちゃうんです。そのためWillboxでは、基本的なスキルセットはさることながら、追加でこのようなことを求める傾向があります。そして何より「業界を変えたい」と大義名分を感じれる方が良いですね。決して危ない価値観ではなく、本気で我々は「大義名分」だと、そう思っています。


ー最後に、この記事を読んでくださった方にメッセージをお願いします。

Willboxは「国際物流をより最適に、よりスマートに。」というミッションを掲げています。いい歳した大人たちが本気で取り組んでいます。国際物流や弊社に興味を持っていただいた方も、これから何かにチャレンジをしたい人、今も何かにチャレンジしている人、これが最後のチャレンジだと思っている人、人生一度きりです。Willboxは常にGet things doneの精神で事業を進めます。ぜひ一緒に物流の世界でチャンスを掴みにいきましょう!

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