広島県観光連盟(HIT)では、2025年2月12日~7日間、大阪公立大学からのインターンを1名受け入れました。インターンの方からみた観光地「広島」とHITの業務について、記事を書いていただきました。
インターンの方には、インターンの最終日に記事を記載いただきましたので、記事の文章は2月18日時点のものとなります。予め、ご了承ください。
自己紹介・インターンシップ動機
今回、HITにて7日間のインターンシップを受け入れていただきました、大阪公立大学文学部心理学コースに所属している大学3年生です。出身は東京都ですが、祖父母が広島県北広島町に住んでいたため、小さいころから毎年広島を訪れていました。住んでいた東京のまちでは感じられない、広島の豊かな自然や温かみのある方言、県北部に伝わる伝統芸能である神楽が小さいころから大好きで、いつか広島に何らかの形でかかわりたい、と考えていました。高校卒業後、東京を離れ広島県の大学に入学した私は、2年間広島市の中心で楽しく大学生活を満喫しました。3年生からは心理学を学ぶために大阪公立大学への編入学を決意し、現在は大阪で大学生活を送っています。大学では社会心理学の研究室に所属し、幸福感にまつわる研究をしています。幸福感の研究では、人生に対する満足感などがテーマになりますが、旅を人生の縮図と捉えるならば、私の専攻している心理学と観光業にも共通点はあるのではないかと感じています。趣味は、いろいろな場所を旅することで、著名な観光地を訪れるだけでなく、その土地特有の雰囲気や歴史などを街並みやローカルなお店、郷土料理などから五感を通して感じることが旅の醍醐味だと感じています。大学の授業がある期間はアルバイトでひたすら資金を稼ぎ、休みの期間には海外や国内へ旅に出るという生活をしています。
HITにインターンを依頼した動機は、主に二つあります。まず一つ目は、就職を考えた際に広島県の観光や神楽に何か携われないかとインターネット上で調べていたところ、HITを見つけ、興味を持ったということです。就職する業界や職種などはまだはっきりとは決まっていませんが、観光系の職も一つの候補としているため、就職活動を行う上で、実際の業務内容や、職場環境、空気感といったものを純粋に体験してみたいと感じました。もう一つの理由は、現代の“就活”というシステムにとらわれないインターンをしたかったということです。現在、大学からはさまざまな就職活動のためのセミナーやインターンシップのお知らせなどが届き、私たち学生はどこか焦りや不安を感じながら“就活”の慣例に染まることを求められます。また多くの企業が採用活動のためのインターンを大々的に行っており、ある意味インターンは就活の中で通過儀礼となっていると感じていました。私は、そういった環境の中では自分が本当に感じたことや考えたことを共有し、純粋に“働く”ということを体験することが難しいと考えていました。そのため、あえて、積極的にインターン生を受け入れ採用活動に巻き込もうとはしていない、HITのような組織でインターンを行いたい、と感じたのが二つ目の動機です。
広島の観光に対するイメージ
私は小さいころから広島をよく訪れていましたが、正直なところ広島の観光地といえば嚴島神社と原爆ドーム、というありきたりな知識しか持ち合わせていませんでした。また、広島に住んでいた際にもさまざまな場所を訪れましたが、広島を訪れる人に観光地として紹介できるところを探しているうちに、気付けば2年が終了していました。 しかし同時に、いわゆる「観光地」としてではなく、趣のある小さな飲食店が軒を連ねるエキニシエリアなどのディープなまちの雰囲気を感じられる場所や、江田島や元宇品など瀬戸内海の自然を感じられる素敵な場所はとてもたくさんある ということも感じていました。
広島県観光連盟(HIT)に対するイメージ
HITの第一印象は、幅広く広島県の観光を担い、なにか面白そうなことをしている、ということでした。なにか面白そう、と感じたのは、「失敗を恐れず、ワクワクを大切に、素早く行動に移す」という行動指針から、広島県の観光を幅広く支えながら、柔軟にさまざまな新しいことにチャレンジしているという印象を受けたからです。一方で、実際にどのような事業や業務を行っているかということについては、あまり想像がつきませんでした。また、Wantedlyにさまざまなストーリーや記事を上げられていたのに惹かれ、名前は自治体や行政的な雰囲気を纏うのに対して、実際はどのような雰囲気でどういった業務をされているのだろうか、と非常に興味を抱きました。
インターンを終えて
今回のインターンを振り返って、とても充実した濃い7日間を過ごさせていただいたと改めて感じています。決してホームページを見たり、Wantedly上で読んだりするだけでは感じられない職場の空気感や、働かれている方々の雰囲気を直に感じることができ、“働く”ということが自分の中でよりリアルに捉えられるようになったと感じています。正直な感想として、HITの職員の皆様は真剣に業務に取り組まれながらも、本当に明るく楽しそうに働かれているという印象を受けました。
旅行者のモデルやコースのテーマから考えて作成したモデルコースを、職員の皆様に発表しました。
私はこれまで、オフィスにてインターンを行ったことがなく、オフィスといえば張り詰めた空気のなか、厳かな雰囲気で働くものというイメージがありました。7日間の中でわかることは限られているとは思いますが、職員の方が非常に打ち解けた雰囲気でコミュニケーションをとられていたり、笑い声がどこかで響いていたりといった環境に、安心感のあるとても良い雰囲気の職場だと感じました。
Dive! HiroshimaのDMPの改善点についてディスカッションを行いました。
また、インターンで行ったHyppアワードの審査や、地域通訳案内士のフォローアップ研修などの業務を通して、観光業界の方々がどのような仕事をされているのかということや、観光業と行政とのかかわりなど、さまざまな側面をリアルに感じることができました。また、自分が作成したモデルコースを実際に周って実現性や課題を検証したり、実際のツアーに参加させていただいたりする中で、実体験を通して観光業のさまざまな視点を学ぶことができたことは、私の中で大きな財産になったと感じています。そのほかにも、それぞれの事業部で行っている業務内容やプロジェクトなどについて伺う中で、HITがどういった業務を行っているのかを全体的に捉えることができ、組織としてそれぞれのチームが連携している部分や、細かい仕組みの設計などの専門的な部分の両方の側面を学ぶことができました。
プロダクト事業部が行っている広島県地域通訳案内士の育成についてのお話を伺いました。
特に、私の一番の興味であった神楽に関する事業のお話はとても興味深いものでした。海外OTAに神楽公演を登録することによって外国人観光客からの予約が増え始め、今後の伸びが期待されているという部分がある一方、本来は神事として奉納する神楽だからこそ、観光商品として売り出すことに抵抗を感じる人もいるという課題点があることを知り、一神楽ファンとしてではなく、観光業として神楽に関わる難しさを実感しました。
作成したモデルコースを実際に巡り、実際の所要時間や注意点などを確認しました。(写真は広島県呉市の灰ヶ峰展望台にて)
今回、HITにて体験させていただいたことの多くは、今後どのような業種に就職するにあたっても非常に有益な経験であると感じています。業務内容はさることながら、職員の皆様の業務に対する真摯な取り組みや和やかに周囲と協調する姿勢に、これから社会に出る学生として多くのことを学ばせていただきました。フリーアドレスのオフィスは、インターン生としては毎朝少し緊張感が走る部分ではありましたが、担当する業務やプロジェクトを超えて職員の皆様がフラットに交流されている様子を見て、職場としてとても風通しがよく活気の生まれる良いシステムだと感じました。約40名という比較的人数の少ない組織だからこそ、垣根のない交流がHITを一つにまとめる力となり、広島県の観光を盛り上げるという目標に向かって一体感のあるパワーを生み出しているように感じました。今後の人生において観光業界に関わるかどうかはまだ分かりませんが、今回得た知識や経験を次に踏み出す一歩の大きな支えとして活かしていきたいと考えています。
モデルコース検証の際に訪れた呉のカフェにて。部長におごっていただきました。
今後、大阪でも東京でも、またそのほかの地域に行っても、HITひろしま観光大使として広島をたくさん宣伝し、一人でも多くの友達を広島に連れてきたいと思います。7日間大変お世話になりました。