1
/
5

カルビーに新たなヒット商品をつくるチャレンジを、広島から。【会員企業紹介/Calbee Future Labo】

中四国地域最大規模の“次世代型DXオープンイノベーションプラットフォーム”である『ひろしま好きじゃけんコンソーシアム』。デジタルコミュニケーションツール「Slack」を通して産学官金が連携し、簡単・迅速にお互いの課題を解決できるエコシステムです。2021年10月の発足から1周年を迎え、​会員企業数は70社以上、会員数は200名を突破。これまでは難しかったようなイノベーションの創出と地域経済の活性化が日々進められています。

今回は『ひろしま好きじゃけんコンソーシアム』のシルバー会員であるCalbee Future Laboにインタビューを行いました。これまで企画開発した商品のことや、コンソーシアムで実現したいこと、実際に手がけたプロジェクトについてお聞きしています。

カルビー株式会社「Calbee Future Labo」

Calbee Future Laboは、「かっぱえびせん」や「じゃがりこ」といったカルビーの数々のヒット作に続く新商品を開発するために結成されたチームです。“圧倒的顧客志向”という理念を掲げ、長年培ってきたカルビーの技術や感性とは異なる角度から、社外の新たな視点や技術を用いた商品開発を行なっています。そのため本社のある東京からは離れ、カルビー創業の地・広島を拠点に活動しています。

<会社概要>
HP:https://www.calbee.co.jp/
本社:東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館22階
Calbee Future Labo:広島県広島市南区松原町5-1 BIG FRONTひろしま7階
設立:1949年4月 資本金:120億4600万円
従業員数:連結4,398名 単体1,883名(2022年3月31日時点)

樋口 謹行(ひぐち のりゆき)

大阪府出身。2013年4月にカルビー株式会社へ新卒入社し、研究開発本部にて「かっぱえびせん」の梅味やフレンチサラダ味、エビチリ味など、さまざまなフレーバーの開発を手がける。2016年に立ち上げメンバーとしてCalbee Future Laboへ参画した。

堀江 佳世(ほりえ かよ)

2017年5月にカルビー株式会社へ中途入社。それまではアパレル業界や求人広告メディアの編集・ディレクション、金属専門商社などを経験してきた。自身が広島県出身であったことから前職時代の上司にCalbee Future Laboを紹介され、今に至る。


カルビーの固定観念にとらわれない、全く新しい商品を開発する。

ーーCalbee Future Laboは、どんなミッションを追っているチームなのですか?

樋口さん:

Calbee Future Laboは、これまでのカルビーの歴史や固定観念にとらわれずに、新しい事業やヒット商品を生み出すことを目的としているチームです。カルビーは長年スナック菓子やシリアルを作ってきたメーカーであり、商品開発も「カルビーの工場内で作れるもの」という前提をもとに進めていくのですが、私たちはお客様の声に応えられるものであれば、ジャンルを問わず商品化していきます。そのため企画開発はもちろんのこと、協力いただける工場をリサーチするのも私たちの役目の一つです。実際、これまでに作った4つの商品は、すべてカルビーではない工場と一緒に開発や生産を進めたんですよ。

ーー実際にCalbee Future Laboで企画開発した商品について、教えてください。

樋口さん:

今のイチオシは、睡眠をサポートする『にゅ〜みん』という食品です。水なしでサッと溶けるフィルムタイプで、寝る前に1枚を上あごに貼るだけで睡眠の質を高め、起床時の疲労感を和らげることができます。

堀江さん:

開発のきっかけは、1800人近くの方々に行ったインタビューで「寝付けない、ぐっすり寝られない」といった悩みを聞くことが多かったこと。そして、その悩みを解決しようとしている人は少なく、今ある睡眠課題を解決する方法にハードルの高さを感じていると気づいたことでした。そこから3年かけて開発し、2020年の秋に商品化されました。

ーー『にゅ〜みん』の開発にあたって苦労したポイントはありますか?

樋口さん:

実は作りたい商品のイメージは割とすぐに明確になったのですが、それをどうカタチにしていくか、という部分でかなり苦労しました。たとえば、「水なしで気軽に使えること」を実現する方法が分からず悩んだことがありました。最終的にフィルムという形状に出会ったことで解決しましたが、今度は「フィルムは薄いため、入れられる有効成分の量が限られる」という壁にぶつかることに。少量でも十分な効果が期待できる成分を自分たちで探して、ようやく今の形になったんです。

堀江さん:

最初に入れようとしていた成分だとどうしてもフィルムが2枚必要で、再度成分を探す…なんて苦労がありましたよね。他にも、フィルムにラベンダーの香りをつけたところ、試した方から「トイレの芳香剤を食べているみたい」と言われてしまい、香りを探し直したこともよく覚えています。生活者の方々の意見をもとに、改良を重ねていきました。

樋口さん:

加えて、新ジャンルに挑戦するからこその苦労も経験しました。カルビーではフィルム状の食品を作ったことがなかったため、製造できる工場を探したり、どんな観点に注目しながら食品としての品質を担保していくか?という基準を考えたり…と、ゼロから新しく生み出す仕事が多かったですね。

ーー『にゅ〜みん』の発売後、嬉しい反応ももらいましたか?

樋口さん:

睡眠の質を改善するための食品なので、やはり「効果があった」というお声をいただいたときは嬉しかったです。そして、これは予想外だったのですが「水なしでOKだから、飛行機移動のときに役立った」という感想もいただきました。そこにもこの商品のポテンシャルがあったのか!と目から鱗でしたね。お客様の声から学ばせてもらいました。


インターンシップを開催したことで、アンテナの張り方が変化した。

ーー「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」ではどんなことに取り組みましたか?

堀江さん:

昨年、広島大学の学生さんと3ヶ月間のインターンシップを実施しました。学生の皆さんに、カルビーの中長期的な成長につながるような新商品や施策を考えて発表してもらったんです。学生さんにとっては「アントレプレナー教育を学ぶ機会」となり、我々にとっては「学生さんならではの気づきや発見を共有できる機会」となる良いイベントだったと思います。インターン実施にあたっては、コンソーシアムに参画している株式会社ATOMica様や​広島ベンチャーキャピタル様とも連携を取りました。

ーーそのインターンシップで、どんな成果が得られましたか?

樋口さん:

最後の成果発表会で「カルビーはスナック菓子の会社ではなく、実は医療の会社なのでは?」と再定義してくれた学生さんがいたのを覚えています。学生さんからはカルビーはそう見えるんだ、そんなポテンシャルがあるんだと気づかされました。また成果発表にはカルビー本社の社員もオンラインで出席していたので、他部署とその気づきを共有できたのが良かったですね。これが将来にどう繋がるかはまだ分かりませんが、いい機会になったなと思います。

また、ATOMicaやベンチャーキャピタルの皆さんと3ヶ月間ご一緒したのも貴重な経験でした。とてもコミュニケーションが取りやすい関係性になれたので、これから何か発展があればいいなと期待しています。

堀江さん:

3ヶ月間のインターンシップを通して学生の意見をたくさん貰えたことで、以前とは違う“アンテナの張り方”ができるようになりました。「今の大学生はここに意識があるんだな」「あの時、学生さんがあんなことを言っていたな」と、今でも時々思い出すことがあります。新商品開発における新しいエッセンスをいただきました。

ーー今後、「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」をどのように活用してみたいですか?

樋口さん:

やはり、カルビーの未来に繋がる“出会い”を求めたいです。私たちが知らない技術や素材、知識を持っている会社は世の中にたくさんあるでしょうし、その会社と出会ったことで新たな発想やインスピレーションを得ることもあると思います。イノベーションは予定調和ではなく、偶然から生まれるものですからね。ひろしま好きじゃけんコンソーシアムを、そんな接点を作れる場として活用していきたいです。

堀江さん:

ひろしま好きじゃけんコンソーシアムは発足からあまり日が経っていないため、今後どう成長していくのかが楽しみです。多くの人が交わり、情報が蓄積され、新しいものが生まれる…という好循環がもっと生まれるように、私たち参画企業も協力してこのコンソーシアムを育てていけたらなと考えています。


カルビー創業の地から、全国でヒットする新商品を生み出したい。

ーー今後の展望を教えてください。

樋口さん:

もちろん新商品の企画は進めていくのですが、これまでのようにゼロイチを生み出すことと並行して、今まで作ったものを育てていくことも必要になってきていると感じます。先ほど紹介した『にゅ〜みん』も、とても画期的な商品を作れたという自負があるので、今後はビジネスとして成長させる部分に力を割いていきたいです。「より認知度を高めるにはどうすべきか?」「多くの方に手にとっていただくには何が必要か?」を考えていく、そんなフェーズに移り変わってきているんです。

堀江さん:

『にゅ〜みん』が多くの方の手に渡ったら、次は睡眠の質改善だけでなく、毎日楽しく使ってもらえるようなバリエーション展開もしていきたいですね。

ーー「広島にこんな貢献がしたい」など、広島エリアへの想いがあれば聞かせてください。

堀江さん:

広島で働いていると、カルビーが広島創業であることを誇りに思ってくださっている方がたくさんいるんだなと実感するんです。中には「私はカルビーの商品で育った」なんて仰る方もいて、とても嬉しく思います。そんな方々に、カルビーがさらに成長する姿を見ていただきたいですね。また、Calbee Future Laboが広島で新商品や事業を生み出すことで「地方から面白いムーブメントが起こっているぞ」と話題になれば、それも広島への貢献に繋がるのかなと考えています。

樋口さん:

私たちがどうやって広島に貢献できるかというと、やはり1番は、いい商品や事業を作ることだと思います。それが「広島から新しいイノベーションが生まれた」という発信になりますし、広島を盛り上げるきっかけにもなるのかなと。広島にこういう場所がある、こんなことを考えている人がいる、とより多くの方に誇らしく思ってもらえるように、企画開発という本業に精一杯力を注いでいきたいです!

『ひろしま好きじゃけんコンソーシアム』では、一緒に盛り上げてくれる会員企業を募集しています!!

産学官金が連携した、中四国地域最大規模の"次世代型DXオープンイノベーションプラットフォーム”で、貴社が抱える課題の解決や、新たな事業を創出してみませんか。

詳細は、こちらをご覧ください!

▼お問合せ先
広島大学 ひろしま好きじゃけんコンソーシアム事務局
HP:https://www.sukijyaken.jp/contact
Mail:sukijyaken@ml.hiroshima-u.ac.jp
TEL:070-1542-7123

5 Likes
5 Likes

Weekly ranking

Show other rankings