新卒で入ったメルカリ/ソウゾウを退職してSpectraを創業しました
はじめに
地味にはじめてのnote&社内Wiki以外に長文をDeployするのはひさびさで緊張してる @__asachi__ です。
今さらですが、1年越しの退職エントリならびに創業エントリを重い腰をあげて書いてみました。
対外的に自分のことをオープンにする機会があまりなかったのと、GWの勢いで書いたら1万字超えてしまったので、すごい長くなってしまったけどご容赦ください。
TL;DR
・インターンを経て新卒で入社したメルカリ/ソウゾウを2018/5に退職しました。
・エンタメ領域の情報流通を最適化するためにSpectraという会社を創業し代表をやっています。
学生時代の話
いろいろなご縁が重なってメルカリ・ソウゾウでインターンおよび新卒入社をするに至ったので、大学時代のことから書いていきます。
■AboutMe
附属高校に通っていたので大学もエスカレータでそのまま進学。最初の1年間はバイトをしてサークルにいって授業は真面目にうけて〜、みたいなごくごくふっつーの大学生活をしていました。
ちなみに中学~大学時代は見た目通りバンドをやっていました。(ベースを弾いてたのですが、WarwickでSans踏んでみたいな感じですw)
(↑ライブ中。サイド編み込んでてチャラい…)
(↑大学1,2年くらい?盛りすぎて笑うw)
■就活と将来への葛藤
大学2年の秋からJEEKを運営するTechouseでインターンをはじめました。
当時は2期目で三田のライオンズマンションがオフィスで、最初に入るときにベンチャーのことをよく知らなかったので「胡散臭いな…」と思っていたのを覚えていますw
当時のことについては↓に詳しくまとまっているので割愛。
インターンと並行し大学3年時に夏から冬にかけて就活をして、コンサルとIT系の事業会社などから内定をもらい、某IT事業会社に行く予定で一通り就活を終えました。
その後も引き続き働いていたのですが、1年半が経ち事業ドメインとの相性(HRがメインだったが自分はエンタメ系がやりたかった)や自己の成長スピードの鈍化などから違う職場に行こうとぼんやり考えるようになっていました。
同時に、スピード感や規模感の側面から進路に対して「本当にその選択正しいんだっけ?」と日々自問自答するようになり、就職も考えられるような企業にインターンで入社したいなと思うようにもなりました。
そんなこんなで、5月に2,000人規模くらいの就活イベント@ベルサール渋谷ファーストがあり、そちらの集客責任者が終了した翌月の6月で辞めることにしました。
(↑5月にやった大規模就活イベント)
ちなみに辞めるのを伝えたときには、どこに行くか決まってない見切り発車…w
メルカリ入社の経緯
■新卒向けミートアップに身分を偽って参加する
そんな中6月の半ばくらいに、Techouseの社員だった方に「このミートアップに行ってきたら?」と言われたので、新卒デザイナー・エンジニア向けのミートアップに申し込んでみました。
「広告のクリエイティブや多少のWebデザインはやっていたけどデザイナーとしてやってるとも言えないし、SQLとか簡単なFrontEndは書いてたけどエンジニアとも言えないし俺参加していいのかな…」と思いながらも、メルカリにはめちゃくちゃ興味があったので申し込んでみました。
※ちなみに当時はプロデューサーという枠での新卒募集がなかった。
同じ2016卒のエンジニアたちとはここで出会った気がします。
そこでHRの石黒さんとつながって、新卒採用とインターンの話が進むようになりました。
(↑当時の石黒さんのメール。優しい。)
正直デザイナーでもエンジニアでもなかったけど、チャンスが有るなら行動してみるものだなーとこのとき強く思いました。
■廣川王子と太河さん
そのミートアップの募集と同じくらいの頃に、当時一緒に働いていた図書会の王子こと廣川くんから、「なんかメルカリがインターン募集してましたよ」と教えてくれました。
そこで、太河さんに連絡してもらい、後日太河さんとSkypeでMTGをしました。
(↑太河さんと廣川王子とのDMグループ)
当時Techouseのオフィスにもたまに遊びに来てくださっていたのですが、無知ながらも「超すごい投資家」とは知っていたのでめちゃくちゃ緊張しました。
たぶんシドロモドロだったと思うのですが、よくご紹介していただいたなと今でも思いますw
そこから松本さんが新規事業を立ち上げにあたってインターンを募集していると聞き、面談がセッティングされました。
当日は六本木ビルの頃のEastVenturesに寄って、当時EVアソシエイトだった八代氏と一緒にヒルズへ。
ここでもめちゃくちゃ緊張してて、後から松本さんに「やっしーは保護者で付き添いで来たのかと思ってた」と言われるほどのザマでしたw (柄にもなく白シャツを着ていった記憶)
大変ありがたいことに採用に。
(↑当時の松本さんとのメール)
■インターンとしてメルカリへJOIN
そんなこんなで2015/7にメルカリにインターンとして入社しました。
(↑入ってすぐのローンチ2周年パーティー)
松本さんの下で新規事業検討のリサーチが当初の募集要項だったのですが、まだ準備が完全には整っていなかったのと、当時すでに単位が残っていなくて暇でフルコミするつもりだったので、他の事業も兼務することに。
メルカリJPのプロデューサーと面談をして、メルカリJPチームにJOINすることになりました。
当時はレベル感にまったくついていけず、毎日どうしたらスキルアップできるかばっかり考えていた気がします。
暗中模索でとにかく過去のチケットを見たり、数値とにらめっこしたりしていました。
■当時のメルカリ/ソウゾウ
当時のオフィスはたしか18階がまだ一度も増床しておらず、日本でプロダクトに関わってる方は40~50名くらいの規模だったと思います。6名掛けのテーブルも3人とかで座ってました。
特にメルカリJPはめちゃくちゃ少人数で、常任はProducerが2名(CSとProductの橋渡し,プロモーションなどのEngagement強化)、エンジニアが1名とかくらいでかなり少なく、主にキャンペーンと機能開発などを限られたリソースで調整しながらやっていました。
ソウゾウはPO松本さん・Producer田辺さん+インターン3名という感じの組織構成。
とにかく上長が超豪華でソウゾウ側が松本さん(現メルペイ取締役CPO)・メルカリ側が濱田さん(現メルカリ取締役CPO)でした。
(↑増床前のフロアでWantedly用の写真撮影を撮影した画像w)
■新卒入社のきっかけ
松本さんに進路の話は入社前から相談していて「新卒で入れるか検討してもらいたい」とは伝えていました。
(↑当時の松本さんとの1on1の写真)
働き始めてからしばらくすると、改めて1on1で「どうする?新卒で入りたい?」みたいに聞いてもらったので「入りたいです!!!」と即答。「伝えておくねー」といったんPendに。
8月に濱田さんから全体定例(毎週金曜日にやっている定例)前にDMで「今って出社してる?」というメッセージが届きました。「あ、なんか怒られるのかな…」と思いながらも、「出社してます」と返すと「1on1 w/shin」というメッセがきて進太郎さんとのMTGに。
結構緊張しながら向かって「どうしよう…」って思ってたらフランクに「こんな感じで考えてるよー」いう形でオファーをいただきました。めちゃ嬉しかったのをよく覚えてます。
■インターン時代にやったこと
基本的には前述の通りメルカリJPとソウゾウで兼任をしていました。
主にやったことをあげるとこんな感じかなと。未熟でしたが組織風土の性善説というところもあり、いろいろやらせていただいて感謝しかないです…
【メルカリJP】
・キャンペーン50本くらい
自前のキャンペーンからコラボ系(当時だと読モさんとのコラボや渋フェスというハロウィンイベントやキャリア決済のパートナーさんとのコラボなどをやっていました)まで月4,5本くらいのキャンペーンを担当していました。
特に思い出深いキャンペーンは2つ。
1つは2015/11に2,000万DL記念ではじめて手数料分キャッシュバックを実施したキャンペーンで、KPIの伸びやポイントでキャッシュバックする瞬間のドキドキは覚えてます。
もう1つは2016の元旦にやったおみくじキャンペーン。最終的な結果は良かったのですが、くじの仕組みでサーバー負荷があがってしまいサービスを落としてしまいました。そもそもの休みに監視をしていただいてた上に、障害対応までしていただいたエンジニアのみなさまにはいつまで経っても頭が上がらないです…
・ユーザーコミュニケーション
これも当時できてなかったのですが、お客さまにGoogleFormをお知らせ経由で送りNPSを定点観測するようにしていました。そこに回答してくれていたお客さまにUserInteviewなども実施していました。
・その他機能開発
これはそこまで大きいことはできてなかったので詳細は割愛。地味にUX的によかったなと思うのは上限金額の変更(当時はコンビニ決済に合わせて出品29万円でしたが、それを99.99万にしたこと)とかかなと。
【ソウゾウ】
・ソウゾウの立ち上げ
入社した7月はまだ箱を作る前で、アッテをやるにあたりクラシファイド・サービスC2C領域の調査をしていました。
みんなだいすきTHEクラシファイドのCraigslistにはじまり、Naspers(OLXなどを運営する南アフリカの企業)や58同城/Ganji(ともに中国のクラシファイド)などの総合領域のクラシファイドから、TaskRabbitやHomejoy(破産しちゃいましたね…)などの特化型サービスまで、世界のサービスと運営企業について調査し、取締役会に提出する資料作成のお手伝いなどをしていました。
社名については、ウノウ→コウゾウと日本語×カタカナで来ていたので、その系統の名前のアイデアが多かった気がします。ぼくは確かミワク・コウコツとかを出してました。
みんなで会議室でSpreadSheetにワ~って書き出した後に何個かにしぼって、進太郎さんからのコメントももらいながら決まっていきました。
2015/9/17に会社ができたときの感動は今でも覚えています。
・メルカリアッテの立ち上げ
当時のProjectNameは"Tuna"。たしか松本さんと進太郎さんが寿司、とりわけツナ(マグロ)を食べながらMTGしてるときに決まったからだった気がします。アッテの初期モックのNavigationBarに入っていたものもTunaでした。
サービス名も社名と同様、みんなでSpreadsheetに書き出して絞っていきました。コンセプトが「直接会って手渡しする地域性の高い温かいサービス」ということで"ヒト"とか"コミュニティ"ぽい要素のアイデアが多く出ていました。ぼくは mercari me(メルカリミー) をあげて、一時的にコレになりそうだった記憶w
たしかβ版くらいのときに社内でテストしてたら、CSの方かだれかが「直接会って渡すんだからアッテじゃん」みたいな感じで、それが出てきてからはすんなりアッテになった気がします。
・マーケティングとUIモック作成
総合クラシファイドと決まってからは、手渡し×モノ・ヒトの軸で初期のユーザー体験を考えたりUIモックを作っていました。
地域性が重要な要素の1つであったので地域軸をどう整理するか(都道府県ごとのエリアの分け方)や、投稿されるものに対してどういう情報が埋まっている状態がベストなのかなどをディスカッションしながらひたすら考えていた気がします。
(↑当時のペーパーモック。投稿数が少ないエリアとかの仕様検討。)
また、リリース前にどうやって各エリアの投稿を集めるかといったようなことも担当していました。
具体的には地域でお店などをやられている店舗の方やモニターに協力していただけそうな方に連絡して愚直に投稿を集めていました。その甲斐もあってリリースタイミングには割と投稿数があった気がします。
同時に、メルカリでも業務をしていたこともあって、メルカリ連動のキャンペーン(インストールキャンペーンなど)も担当していました。
入社してから
インターン〜新卒1年目については2017/1に開催されたmercari DAYのレポートに詳しくまとまっています。(この頃はインナーカラーが緑)
ちなみに新卒で入社するタイミングで事業を立ち上げていく経験がしたいなと思い、ソウゾウ専任の道を選びました。
ソウゾウでやっていたこととしてはこんな感じかなと思います。
・アッテのグロース(Marketing→App→Web)
・メルカリとソウゾウプロダクトのつなぎ込み
・バナー配信ツールの作成
・メゾンズの立ち上げ
・新卒採用お手伝い
中でも思い出深いメゾンズについてだけちょっと詳しく書いてみます。
■メルカリメゾンズ
2018/2半ばごろにザワット社のM&Aが全体定例で発表されました。
アッテとメルカリをやっていたので、Wishscope,スマオクともにサービスは知っていたのですが、どんな会社なのかは当時全然知りませんでした。そのニュースが出たあとに原田さんが話に来てくれたのですが、プレゼンがすごいエモくてアツい感じだったのをよく覚えていますw
そんなこんなでファッション領域で新規事業をやろうとなり、公募でプロジェクトメンバーが募集されることになりました。
当時はぼくはアッテのWebをやっていてチームがすごい好きだったのですが、アッテで解こうとしている課題に対して「自分ごと化の深度がこれ以上深まることがあるのか」というところに対して少し疑問があったので、応募期間がはじまる前に原田さんとノブさん(元ザワットCTO)に「興味あるのでランチいきたいです」とDMしました。
ザワット社のM&Aが社内で発表された時点で、新チームのメンバー公募があったんです。ザワット社の知見を活かしてブランド品に関するサービスをやるとは決まっていて、アパレルやブランドがもともと好きだった僕は「ついに自分がファーストユーザーになれるプロダクトがきた」と思いましたね。
(↑リリース時にくまさんに書いてもらったメルカンでも言ってた)
また、アッテリリース時にはメルカリJPと半々くらいのコミット量だったのと、あくまで1プロジェクトメンバーに過ぎなかったので、実際に自分がメインのPMとして事業を作れるのかどうかという点で力試ししてみたかったというのもあります。
その後晴れて2017/3にProjectが立ち上がり、最初はファッション領域に対してどう切り込んでいくのかというディスカッションからはじまりました。
ちなみにProjectNameは"Seven"。ザワットから来てくれたメンバーがM&A時点で7人だったのと、ブランドもの→質屋→しち→7という連想から。
チームが組成されてからは、実際の市場のデータやメルカリのデータを調べたり、どうすればファッション領域での出品・購入が増えるかをフラットにディスカッションしたり、対象になりそうな人にユーザーインタビューしたりしていました。たしか、ここは大枠は割と早く決まってα版の要件定義に入った気がします。
その後は、ザワット×ソウゾウのがっちゃんこチームでのガチンコ開発がはじまったのですが、PMとしてチーム開発をとりまとめることに本当に苦悩してました。
既存のAssetやフォーマットがある形でしか開発ディレクションをしたことがなかったし、ザワットとソウゾウでは文化が違ったのでよくコミュニケーションがずれるし、開発メンバーみんなはじめましてだし…みたいな感じでした。
文献読んだり人に相談しながら、開発プロセスの最適化とチームコミュニケーションを半人前ながらなんとか頑張り、4月にα版,6月にβ版,8月にリリース版とステップアップしていくことができました。
もちろん、チームが壊れずに一定のスピード感をもって開発できたのは、メンバーの方々が超優秀だったのが一番の理由です。(メンバーにはめちゃくちゃ感謝しています…)
(↑リリースのときのケーキ)
そんなこんなで紆余曲折を経て2017/8/21にリリースすることができました。
本当にリリースの直前まで査定のデータをヒィヒィいいながら調整し続けていたのは、よく覚えています。リリース後はずっとTwitterで反響を見ていて、こだわっていたデザインと査定体験に対する言及があって嬉しかったのも今のように覚えています。
(余談)リリースを朝8:00くらいにしたんですが、某ペンギンアカウントの方に速攻見つかっていて、情報収集範囲の広さとスピードに驚きましたw
■実際のメルカリ/ソウゾウ
さて、メゾンズについて長々と書いてしまったのですが、意外とよく聞かれるので実際のメルカリ/ソウゾウがどんな感じなのかにも触れてみます。
正直いい意味で外からのイメージと同じだと思っていて、端的に言うと
・よしな力と気遣い力が高く大人な組織で間にボールが落ちない
・ハードスキルがみんなスーパー高く守備範囲が広い
な組織なのかなと思います。
責任を取る人はいれど押し付けはないし、「やっておきましょうか」の言葉をよく聞いた気がします。あと「できません」って言葉を聞く機会は少なくて、「これくらいでできます」or「それを実証したいなら、こういう手もあります」みたいなコミュニケーションも多かったなと思います。
もちろんこれらを支えているのは紛れもなくバリューで、それらが浸透しているのと、性善説でとにかくルールが少ないので、良くも悪くも自己責任なことが多く、正解に近いプロセス・道筋を自分なりに定義して良質なものを作るためにコミットできるといった部分もあるのかなと思います。
■学んだこと
とにかく色々なことを一緒に働いた方から本当にたくさん吸収させていただきました。
自分にとってははじめての大規模な開発経験だったので、Product開発全般およびそこに対するスタンスが一番だと思います。
要はチーム開発をすることおよびスループットを最大化することです。
・仕様書の書き方(Why/What/How,影響範囲)
・分析のメソッド(ログ設計,KPI策定〜分析のためのスキル)
・チーム開発のワークフロー(アジャイル開発,各種Tool)
・組織でのコミュニケーション
・Valueの大事さ
・産みの苦しみと楽しみ
濱田さん松本さんに基礎の考え方を教えてもらって、それをアッテで昇華させていき、PMとしてのテクニック・メソッド的な部分は矢本さんに教えてもらって、メゾンズでチーム開発・組織におけるコミュニケーションというのを学んだのかなという感覚です。その他BIのhikaruさんやPMだったKyosukeさんなどのWikiもめちゃくちゃ参考にしていました。
ちなみに新卒半年時点では、一番学んだことに「開発におけるコミュニケーション」をあげていました。
退職の経緯
(※ネガティブ要素はないです。念のため)
PMとして作っていたメルカリ メゾンズを2017/8にリリースし、プロダクト開発を続けていたのですが、一定事業計画に沿った数値を達成する一方で次の戦略に対して自分が貢献できること・得られることは何なのだろうかと考えるようになりました。また副業で色々な会社を手伝う中で、起業家との距離が近くなり、自分はこの人たちに比べて人生でリスクテイクをできているのかと思うようになっていました。
メゾンズでは、ありがたいことに原田さんが結構な範囲を任せてくれていたので、プロダクト開発に対する意思決定を一定自分で決めることができ、フォーマットはないし横展開しづらいとはいえ
・データやユーザーの行動などのインサイトをもとに0から事業を立ち上げること
・コアバリューを決めリーンに開発していくこと
・開発フローを組み(コミュニケーションを含めて)最適化していくこと
・(ユーザーに提供する価値を前提に)計画を達成するために仮説をつくり、どう優先順位をつけていくか
などを経験させてもらいました。その上で、この後どのポジションで仕事をしていくのかということに悩み始めました。
- メゾンズのPO
- 新規事業のPO or/and 子会社化
- 自分で会社をやるの
- 違うプロジェクトにJOIN(ex.Fund)
(↑当時の手元のメモ)
2017夏に退職して、当時タベリーを開発中だった矢本さんの影響も大きかったと思います。定期的にメッセージをしたり会ったりして、刺激をうけていました。
(↑矢本さんとのDM。7月くらいから起業の話されてた。笑)
また、高校・大学の後輩で今一緒に会社をやっている露木から「起業しようか悩んでるんですよね」と話をもらっていていました。
そんな中で自分の葛藤に対して、9月,10月くらいからキャリパスに迷ってるという相談を社内でするようになりました。
非常に居心地が良い組織だったので、残って新規事業や新規子会社の道も考えていて、そのプランを松本さんには1on1で定期的に相談させていただいていたのですが、「あくまでメルカリ/ソウゾウという会社に対してレバレッジがかかるかどうか」という部分において会社と自分の両側面からはベストな解が出せなかったため、退職して自分で会社を作ることにしました。
恥ずかしながら自分で決断する勇気は最後までなく、外的要因で決断に至りました。その決意の"きっかけ"は2つあって、1つは乃木坂のライブ(真夏の全国ツアー2017@東京ドーム)をに見に行ったこと。もう1つはミコリー横田くんに会ったこと。どちらもすごく迷っていた11月の出来事です。
乃木坂のライブを見に行った後に、5.5万(東京ドームのキャパ)をSoldOutして、あれだけの熱狂的ファンをつくっているということに対して、当時小さくはないプロダクトを作っていたとはいえ、自分はこんな感動体験を関係者に届けられているのか?と自問自答するようになりました。また、卒業するメンバーがいてWアンコールで『きっかけ』という曲をやったのですが、その歌詞が悩んでいた自分に突き刺さりました。
決心のきっかけは 理屈ではなくて いつだってこの胸の衝動から始まる
横田くんには、誕生日に暇していたら露木に紹介されて3人で会ったのですが、事業の話をしてる中で「起業しようか迷っている」という話に「遅くないっすか?」って秒速で言われて、スピードに対する危機感が鈍っているなと痛感しました。
そこから多少だけ言語化の時間などをとって、12月に退職の意向を伝えました。
原田さんに「上長としては止めたいところけど、起業家としては応援したいし、それ言われたら送り出すしかないよね〜」と、松本さんに「やりたいってなっちゃったら、もう心が止まらないから仕方ないよ。止められないよー。」と送り出していただく言葉をもらったのは強く心に残っています。
今やっていること
愛ゆえに長々と在籍時代のことを書いてしまったのですが、ここからが本題です。今何をやっているのか。
■Spectraという会社
今は高校/大学の後輩であり、Techouse時代の同僚でもあった露木と一緒に会社を作ってプロダクト開発をしています。
退職後すぐに事業をつくりはじめたかったので、在籍中に登記の準備をはじめ、2018/3/6に登記しました。
株式会社Spectra (スペクトラ)という社名です。
理系学部出身の方には馴染みがあるかもしれませんが、スペクトル(分析)とは「複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小(量や強度)に従って配列したもの」という意味です。
一般的には光スペクトルが一番馴染みがあり、SketchやPhotoshopなどのデザインツールでよく見るカラーパレットとかがイメージ付きやすいかなと思います。(白色光を分光器にかけたら、赤・青などの単色光に分かれて視認できるようになる)
↑最上部の虹のように色を横に分布したものがスペクトル
そういったように「分解して分布する」側面がスペクトルなので、一見複雑に見える世の中の事象を分解して、課題解決していきたいという意味を込めてつけた社名です。複数形なのは単体よりも、実際の世の中のようにより複雑性が高いリアルな状態をイメージしたためです。
また、スペクトルという感から「太陽光はプリズム(=分光器)で分光すると連続的な虹色の模様」になる点から、1つの事象も虹色のように多様性に富んでいるといった部分から、選んだ領域であるエンタメの本質である多様性とリンクすると考えています。
ロゴもそういったコンセプトを元に制作しました。色以外でも、直線⇔曲線の両方を含み丸みや尖りの両要素を入れることで多様性を具現化しています。
■エンタメ領域という事業ドメイン
Spectraは、ぼくがマッチング型のC2C,共同創業者の露木がマッチング型のB2Cというバックグラウンドなので、まずはそこの経験を活かせる形で考えていました。
事業ドメインを選定するにあたり、顧客が抱えている課題をいろいろ考えたり市場を調査したりしましたが、どっかしっくりこない日々。
見返してみると
・資格/スクールのAggregationMedia
・個人の与信形成
・趣味領域の動画教育/教材
・心配事/悩み事のQ&A
・テスターのEC
・エンタメ特化のGoogleAlert
などが当時の検討リストにありました。
そういった中で「(一生かけて)やりきれるものってなんだろう」という話し合いを経て、エンタメ領域(エンタメコンテンツ領域)をやることに決めました。
主観的な意味合いでは、ぼくらは音楽に関してはバンドマンやイベンターとしてコンテンツを作る側にもいたし、ユーザーとしてはFlash・2ちゃん・ニコニコ動画・mixi・Twitterといったようなコンテンツで育ってきたので、消費する側と提供する側の両方の目線を持って事業をつくりやすいのではというようなロジックです。
マーケット観点でいうと
・オタク/ファンになりやすい環境
(SNSや情報提供ハードルの低下により)情報へのアクセシビリティの上昇,リッチな情報の増加,日常に溶け込むエンタメ→ファンやオタクがマイノリティではなくなってきている
・可処分時間の上昇
労働時間の減少,リアルでないとできないことの減少→自由に使える時間が増え、スキマ時間を埋めるにはエンタメは選択肢の中でトップクラス
・嗜好性データに対するアルゴリズム
エンタメ消費の増加によるデータの蓄積,マシンスペック/PaaS,エンジニアリング技術の高まり→機械学習などを用いたアルゴリズム(ex.クラスタリングや重み付け)により個人に最適化されたコンテンツを届けられる可能性(ex.Netflix,Bytedance)
みたいな要素から、Entertainment×Technologyにはチャンスがあると思っています。
■いま何をやっているのか
創業以来Spectraが一貫してやっているのは趣味領域の情報流通経路の最適化です。
情報へのアクセシビリティが上がっているのでオタクやファンになりやすい環境があると書きましたが、一方で情報量の増加は顕著に進んでいます。
IDCの調査によると、6年後の2025年データの量は163ZB(=163兆GB)になると言われています。2016年から見ると実に10倍だそうです。
(出所:The Digitization of the World From Edge to Core)
このような情報量の増加の中で、ユーザーが能動的な行動だけで自分が確保したい情報を追い続けることは困難であると考えています。
また逆に考えてみても、コンテンツ提供側にとっても自分たちが届けたい相手に情報を届ける難易度があがっているということです。
そのような問題を解決するプロダクトをもうすぐリリース予定です。事業の詳細に関してはまた別途noteを書く予定なのでお待ちください。
また正直な話をすると、創業から1年以上が経過して初めてのブログになるくらいなので、順調に経営をしていたかと言われるとそうではなく、閉じたサービスもあります。
スタートアップあるあるなのですが、仮説が弱いにも関わらず選択と集中ができずに複数事業を同時に回していて、何を検証しているか・スケールしたら大きくなるのかといった観点が弱くなってしまい、創業から半年強は自分たちとしてもうまくいってないなという感じでした。
今は事業の軸をしぼって開発をしていて、まだわからないですがやっと入り口くらいに立てるようになってきたのかなと思っています。
■資金調達について
気づけばまだ公表してなかったので、ちょうどこの記事で会社についてのnoteを書いているので感謝とともに掲載させていただきます。
会社を作ったタイミングにシードラウンドで調達をしました。
・EastVentures/太河さん
・メルペイ松本さん
・元Fablic堀井さん
・コネヒト大湯さん
・その他個人投資家
事業をつくるにあたって、スタートアップの守り神のような存在であるEastVentures/太河さんや、前線でインターネットサービスを作り続けている個人投資家の方たちなど強力なメンバーにサポートしていただけるようになりました。
特に堀井さん・大湯さんは初対面にもかかわらず、1h程度のMTGで投資を決めてくださったのには本当に感謝しかないです。
最後に
未熟な自分をサポートしてくれた、現在もサポートしてくださっているTechouse社・メルカリ/ソウゾウ社・株主・両社のメンバー/元メンバーをはじめとして、関係のあるみなさまに改めてお礼申し上げます。また、引き続きよろしくお願いいたします。
※ちょくちょくいろいろな方のお名前出させていただいてますが、何か不都合あれば削除するので連絡くださいm(_ _)m
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