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AI開発に欠かせない「データ」に起こす革命。FastLabelが「アノテーション」サービスで見据える可能性

AIの開発過程において、画像や動画データにタグ付けを行い、機械学習をするために必要な教師データを作成するプロセス「アノテーション」。機械学習のアルゴリズムの精度を高めるには、教師データを数万点用意しなければなりません。その膨大な数の教師データを用意するために、多くの企業ではアノテーションはアルバイトやクラウドソーシングを活用するのが一般的でした。

そのアノテーションのプロセスを効率化させるシステムを開発しているのが私たち「FastLabel」。世界を見れば、AIの普及に合わせてアノテーション市場は急速に拡大しつつあり、大型の資金調達に成功したスタートアップも現れています。今回はCEOの鈴木健史とテックリードの恋塚大に、現在のAI開発が抱える課題とFastLabelのサービスの魅力、そして今後のビジョンを聞きました。

代表:鈴木健史

テックリード:恋塚大

ワークスアプリケーションズ出身のボードメンバーたち

―まずはお二人の経歴をお聞かせください。

鈴木:私は大学でアルゴリズムの研究をしており、新卒でERPベンダーのワークスプリケーションズに入社しました。会計システムを開発するエンジニアとして働いていたものの、会社がAIを使った会計システムに取り組むことになったので、私はチームリーダーとして開発に携わります。

もともと独立志向のあった私は、AIのプロジェクトを企画からリリースまで携われたタイミングで友達に誘われ、共同創業者として起業することにしました。入社してから5年目のことです。共同創業で開発したのはAIを使ったフードデリバリーサービスだったものの、サービスが伸び悩んだタイミングで「これじゃ5年10年は戦えないな」と思い、見切りをつけ、その会社を離れることに。

次の起業では自分が感じていた課題を解決したいと思った時に、元同僚の上田に誘われてFastLabelを共同創業することにしました。彼はワークスアプリケーションズ時代の同期で、900名いる同期の中でダントツのトップ。会社にいた時はあまり絡む機会はなかったものの、次にチャレンジするテーマを探していた時に声をかけてくれたのです。

恋塚:私は大学では文系学部に通っていたものの、プログラミングにもアンテナを張っていました。いずれは起業したいと思っていた私は、必要なスキルを身につけるためにワークスアプリケーションズに入社。営業として採用されたものの、やはり開発がしたい思った私は、プログラミングの研修でいい成績を出して、開発組織に配属させてもらいました。仕事に就いてからは様々な部署を異動しながらフロントエンド、バックエンド、インフラの開発を経験しました。最後はAIのRD部門に配属され、チャットボットの開発を行っていましたね。

ちょうどFastLabelが創業して10ヶ月ほど経ったころ、上田に誘ってもらったのでジョインしました。

簡単そうに見えても、多くの企業が不満を感じている「アノテーション」

―アノテーション事業を始めた経緯について教えて下さい

鈴木:上田とAI領域でサービスを作ろうと話したとき、割とすぐにアノテーションのサービスというアイディアは出てきました。私自身がAIの開発現場で、アノテーションの作業に課題を感じていたからです。

アノテーションは、機械学習するためのデータにタグ付けをする作業。例えば「猫を認識するAI」を開発する際に、何万枚という写真を見て、猫を見つけては手作業で丸で囲むような作業です。地道な上に簡単そうな作業ですから、どこの会社もアノテーションは派遣やアルバイト、クラウドソーシングで済ませています。

しかし、一匹の猫に丸をつけるなら誰でもできますが、猫が3匹いる時にまとめて丸で囲むのか、一匹ずつ丸を囲むのか、また壁に隠れている猫は隠れている部分まで丸を囲むかなど、作業者によって様々なズレが生じます。10人に作業を出たら、10通りのやり方が出てしまうのがアノテーションです。

バラバラの基準で作られた教師データでAIを開発しても、AIの精度は上がらず結局エンジニアがアノテーションをやり直すことも珍しくありません。実際にAIの開発をしている企業にインタビューをしたところ、多くの企業がアノテーションに不満を感じていました。

―FastLabelのサービスを利用することで、どのように課題が解決できるのでしょうか。

鈴木:私たちのサービスは、アノテーションの代行。専門スタッフがプロジェクト開始前にラベル付けの仕様を確認し、認識が合った状態でアノテーション作業を開始します。合意したデータ品質を保証し、基準に達していない場合は同じ料金内で修正するので、コスト的にも安心です。

アノテーションを依頼するメンバーに、共通の認識で作業を進めてもらえます。また、アノテーションされたデータをウェブ上から簡単にチェックできるので、プロジェクト進捗や、ラベルの偏り、アノテーション結果をリアルタイムでわかります。結果的に、安心して高品質な教師データが手に入るのです。

海外で急拡大しているアノテーション市場。FastLabelの勝機とは

―開発の現状についても教えて下さい。

鈴木:現在はMVPができたところで、手作業でアノテーション代行をしている段階です。それでも多くの企業に気に入って頂き、上場企業にも利用してもらっていますね。

今後は手作業で行っているアノテーションを自動化するAIを開発していく予定です。完全にアノテーションできなくても、8割自動化して細かい部分を人がやれば、コストも大きく削減できるでしょう。

―なぜこれまで似たようなサービスがなかったのでしょうか。

鈴木:日本に限って言えば、ほとんどないと思っています。今のAIエンジニアは研究室出身の方が多く、アルゴリズムの研究をしてきた方が多いのが理由です。アルゴリズムの研究をしている方にとっては、データはもともと用意されたものを使うのが前提で、改善するという認識はあまりもっていません。AIのコンペティションなどでも、データは運営側から渡されたものを使いますしね。

また、アノテーションは地味で大変な作業なので、アルゴリズムを改善したい気持ちもわかりますね。ただし、アルゴリズムを改善するより、アノテーションを解析したほうがAIの精度に与えるインパクトは大きいもの。現場で働いてきた人ほど、アノテーションを改善するすごさがわかるでしょう。

―海外には似たようなサービスはあるのでしょうか。

鈴木:海外では既に似たようなサービスをしている企業に7,500億円のバリュエーションがついています。私たちのクライアントの中にも、既に海外の類似サービスを使っている企業もいました。しかし、海外のサービスがそのまま日本で普及することはありません。

なぜなら日本固有の言語を英語でタグ付けするのが難しいからです。例えば「原宿系」や「浴衣」、「お粥」といった日本固有のものを認識してもらいタグ付けするのは難しいですし、道路標識も日本人でなければ難しいでしょう。特に医療や工場での異常を検知するAIの場合、医者や職人と一緒にアノテーションの基準を作っていくのに、英語では細かいニュアンスが伝わりません。

そのため、海外に強い競合がいたとしても、私たちが日本で勝てるチャンスは大いにあるのです。

市場が確立されていない環境で、最先端の技術に携われる仕事


―開発組織の現状についても教えて下さい

恋塚:私がインフラを専門にしつつフルスタックに開発を進めており、フロントエンドとバックエンドにそれぞれスペシャリストの業務委託の方が入ってくれています。

今後は優先的にフロントエンドとバックエンドの担当者を、それぞれ正社員で採用したいと思っており、その後にインフラの担当者も採用したいですね。将来的には私がまとめ役となって、4名体制を作るのが理想です。

―どんな経験・スキルを持っている方が理想ですか。

恋塚:最優先で求めているのはソフトウェアの開発経験、欲を言えばAIの開発経験や知見のある方です。また、できればBtoB領域の経験もあるといいですね。セキュリティや大規模データの扱いがしっかりしているので。

―FastLabelで働く面白さを教えて下さい

恋塚:最先端の技術に携われることです。マシンラーニングの技術はまだ確立されておらず、実用化もされていません。ソフトウェアが世の中に普及されていったように、マシンラーニングもこれからエンジニアが実用化し、広く浸透させていくフェーズです。

また、フロントの開発で言えば、高度な画像処理に挑戦できます。例えば衛星写真のアノテーションでは1px単位での処理も求められるため、細かい処理を可能にするのはエンジニアの腕の見せどころですね。

また、バックエンドに関しても大量の重たいデータを扱うので、いかにそれを高速に処理するかなど、様々な課題解決に携われます。

―様々な分野にまたがって開発すると思いますが、それぞれの分野の知識は必要なのでしょうか。

恋塚:個人的には必要だと思っています。将来的に組織が大きくなって、営業やディレクターが完全に咀嚼した状態でエンジニアに伝えてくれればいいですが、今はそのフェーズではありません。結局、システムを作る人が顧客の業界のことをわかっていなければ顧客の期待には答えられませんからね。

ただし、入社時点で知識が揃っている必要はありません。様々な業界の方と話す機会はふんだんにあるので、それを蓄えて次の開発に活かせられる人なら大丈夫だと思います。

―FastLabelで働くことで、どのような成長を期待できるか教えて下さい

恋塚:ここでAIやMLOpsに関連する経験を積めば、どこに行っても活躍できると思います。なぜなら今後引く手数多な分野で0→1の経験ができるからです。市場がまだない中で新しくサービス作っていくには、何度もスクラップアンドビルドを繰り返していく忍耐力は必要ですが。

新しい市場を作り出す過程を経験できるので、どんな状態の会社に行っても活躍できるはずです。

誰もが簡単にAIを作れるプラットフォームを目指して

―どのような志向の人がFastLabelにマッチするでしょうか。

鈴木:変化を楽しみ、自走できる人ですね。私たちの仕事はまだ誰も正解を知りません。そのため、顧客が何を求めているのか、どうすれば期待を込められるか自分で考えられない人は何もできないでしょう。

期待を超えていくにはこだわりを持つことが重要ですが、こだわりが強すぎて一人よがりになってもいけません。ビジネスの視点ももちながら、広い視野をもって追究できる方が理想ですね。

―どのような開発組織を目指しているのか教えて下さい。

恋塚:ゆくゆくは開発未経験の人が入社しても、みんながスーパーエンジニアになれる組織にしたいです。今の日本は未経験で入社してエンジニアになるのはとても難しく、放置されて潰れていく人も少なくありません。

私は未経験からエンジニアになれた経験があるので、誰もが成長していける学習基盤を創りたいですね。それにより、日本がエンジニア大国になる下支えになれば、なお嬉しいです。今は経験者を採用するしかありませんが、将来的に未経験者も積極的に採用していきたいと思います。

―最後に今後のビジョンを聞かせてください。

鈴木:将来的にはアノテーションをしたら、簡単にAIができるようなプラットフォームを作っていきたいです。そして、その技術は既に世の中に存在しているので、後は組み合わせるだけだと思っています。

AIがもっと社会に浸透すれば、これまで伝えるのが難しかった暗黙知も継承していくことができます。例えば熟練の医者や職人の中には、その人にしかわからない病気や異常というものがあります。しかし、それは口頭でも本でも伝えることはできません。

その暗黙知を伝える唯一の手段が画像や動画を言語化せずにそのまま処理できるAIです。これから様々な業界が人材不足に陥り、どんどん暗黙知が継承されずに消えていってしまいます。本でもインターネットでも継承できなかった暗黙知も、AIなら継承が可能です。

誰もが簡単につくれるAIプラートフォームを実現することで、そのような問題を解決していけたらと思います。

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