今回は現在修士2年で情報工学を専攻されている、インターンの後藤さんにお話を伺いました。
-大学院での研究内容を教えてください。
研究では「画像認識AIの忘却」というテーマを扱っています。
-面白そうですね。もう少し詳しく教えてください!
現在の画像認識技術はWeb上に存在する膨大なデータを学習することで、追加学習することなく様々な物体を認識することができる高い汎用性が注目を集めています。
一方で、実応用上あらゆる物体の認識が必要とされる場面は多くありません。例えば、自動運転システムでは歩行者、車、標識などを認識できればよく、不要な物体を認識できることは計算資源を無駄に使用していると考えられます。
さらに、学習したデータの中に個人を特定できる情報が含まれる可能性があり、そのような情報を記憶しておくことはプライバシーの観点で問題が生じます。
このように、計算資源の空費やプライバシー保護の観点から、運用上不要な情報や不利益となるような情報は認識できないように適切に忘れさせる技術の研究を行っております。
-なるほど、とても興味深いですね。アーリーリフレクション(以下、アーリー)のインターンは、どのような経緯で始められたのでしょうか?
同じ大学院の先輩で、アーリーで働かれている脇田さんと学会でお会いし、その際にアーリーのインターンを紹介していただいたことがきっかけです。
当時は別のインターンをしていたため、すぐには参加できませんでしたが、一年後、もともと取り組んでいたインターンを卒業するタイミングで新しいインターン先を探しており、その際に改めてご連絡させていただきました。
初回はEarly Bar(数か月に一回オフィスで開かれる交流イベント)にお招きいただき、そこでオリエンテーションを受けたのちに本格的に稼働を開始しました。
-アーリーではどのような業務をされているのですか?
最近の研究動向を調査しています。以前は生成AIに関連する研究を対象にしていましたが、現在は物体認識に関する研究動向を調べています。物体認識とは、画像を入力すると、その中に何が写っているのかを特定し、答えることができる技術です。
関連する論文を読み、そこで見つけた技術シーズをもとに、社員の方々とアーリーでの事業化の可能性について議論する、という流れで業務を進めています。
-その中で苦労したことや学んだことはありましたか?
大前提として、興味のある論文を読ませていただけたので、業務は常に楽しかったですね。
ただ、大変だったこととしては、ゴールが明確に定まっていなかった点です。面白そうなアイデアを新規事業につなげるということが目的だったため、明確な正解がなく、出口の見えない中で模索し続けるような感覚でした。
せっかくなら具体的な事業につながるようなアイデアを出したいという気持ちがあったのですが、具現化するところまで貢献できなかった悔しさもありました。
生成AI関連の研究を調査していた際は、面白そうなアイデアをいくつか社員の方々に提案しましたが、データを集めるコストや技術的な実現可能性の観点から難しいという結論に至りました。
社員の方々に指摘していただいたコスト面や実現可能性といったビジネス的な観点が自分にはまだ足りていないことに気付くと同時に、そうした考え方の重要性を学ばせていただきました。
-社員の方々のサポートで印象的だったことはありますか?
読んだ論文の内容を報告すると、「面白そうだね」と肯定していただけるだけでなく、技術の活用アイデアや関連する論文を教えていただけるため、自分にはなかった発想を得られるのが非常にありがたかったです。
-稼働形態(出社/リモート)と稼働頻度について教えてください。
稼働形態はフルリモートで、大学で稼働することが多かったです。
稼働頻度は忙しさによって変動し、多いときは週に4〜5回、少ないときは週に1回入るか入らないか程度のこともありました。
修士2年の11月ごろにインターンを始めたため、修士論文の執筆などで忙しくなる時期があり、その際はインターンの稼働を抑えていました。逆に、スケジュールに余裕がある時期は積極的に業務に取り組むようにしていました。
-アーリーの社風や人の雰囲気について、他社と比べてユニークな点はありましたか?
アーリーの前に2社でインターンを経験しましたが、アーリーはフランクな雰囲気が特徴的だと感じます。
前の会社では担当のメンター以外の社員の方と話す機会は限られていましたが、アーリーの場合は業務上で様々な社員の方との関わりがあります。
Early Barのようなイベントを開催するくらい、和気あいあいとしていて活気があるので、それが業務上でポジティブに働いているような気がします。
-インターン全体を通して得られたことは何ですか?
論文や技術に対して、「どのようにビジネスに活かせるか」という視点で意見をいただけたことが大きな学びでした。
これまで私はアカデミックな目的で論文を読んでおり、既存の研究の課題を見つけ、「新たに自分の論文でこういう提案をすれば、学会で採択されるのではないか」といった視点で考えていました。
一方で、アーリーの業務ではビジネスの視点が求められます。研究論文を読んでその技術をどのように適用すれば、現在のビジネスの課題を解決できるのかを検討する視点を教えていただきました。
このように、研究者的な視点とビジネス的な視点の違いを実感し、技術の活かし方についてより広い視野を持つことができました。
-なるほど。それは大事な気付きですね。後藤さんは3月に卒業を控えていらっしゃいますが、社会人になってからその学びはどう生きると感じますか?
卒業後はAIの研究職に進む予定ですが、そこではアカデミックな視点とビジネス的な視点の両方が求められると考えています。
論文を発表することは、会社のプレゼンスを高めるために重要であり、その点ではアカデミックな視点が必要になります。一方で、研究成果を会社の製品として実装するにはビジネス的な視点も不可欠です。
論文では、新規性を重視したアプローチが求められ、不確実な要素について仮説を立てながら議論することもあります。しかし、ビジネスの現場では、そうした不確実な要素を含んだままの状態では製品化できません。
そのため、研究において革新性を追求するアカデミックな視点と、実用化に向けて安定性を重視するビジネスの視点の両方が必要になると考えています。
-学生時代に培ってきたアカデミックな視点と、アーリーで学んだビジネス的な視点の両方が活かせそうですね。最後に、どのような人にアーリーのインターンをおすすめしたいですか?
何をしたらいいか分からないけれどインターンに挑戦してみたい人にとって、アーリーはぴったりの環境だと思います。
私は研究開発を担当していましたが、他のインターン生は市場調査や広告運用など、幅広い業務に携わっています。
さまざまなことに挑戦させてもらえるため、自分がやってみたいことを見つけるには最適な場所です。
後藤さん、ありがとうございました。今後のさらなるご活躍をお祈りしています!
▼卒業前最後の社内交流イベントで、大学院での研究・アーリーでの取り組みについて発表していただきました!