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キャリコンの求人は少ない?脱ペーパーキャリコンのためには?【ミートキャリア カウンセラー36名のリアルな声】

キャリア形成というとこれまでは企業内での昇進やスキル習得など「会社が考えてくれるもの」でしたが、雇用慣行や働き方の多様化を受けて、「個人が自分でキャリア形成を考える」時代になりました。そこで、その支援者であるキャリアコンサルタントの必要性や期待が高まっています。

その表れとして、国は2016年にキャリアコンサルタントを国家資格化し、2024年度末までにキャリコン10万人養成目標※を掲げています。国家資格になったことにより登録者は毎年順調に増え、現在、キャリコン登録者数は6万人(2021年5月末現在)を超えています

しかし、キャリコンを目指す人が増える一方で、受け皿となる活躍の場が少ないという声も聞かれます。そのため、資格を活かせないままでいる、いわゆる「ペーパーキャリコン」の人も少なくないと言われます。

そこで、ミートキャリアでは、所属する現役キャリアサポーター(カウンセラー)のうちキャリコン有資格者36名にアンケートを行い、「キャリコン求人の実態や課題」についてリアルな声をまとめました。

※キャリコン=国家資格キャリアコンサルタントの略称、10万人はキャリアコンサルティング技能士を含む累計養成数

キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーの違いって?
国家資格キャリアコンサルタントは名称独占資格のため、名乗ることができるのは有資格者のみですが、弁護士のような業務独占資格ではないため、有資格者以外でもキャリアカウンセリング業務を行うことができます。
ミートキャリアのキャリアサポーター(カウンセラー)は実務経験を重視しているため、資格を必須としていませんが、本アンケートでは対象者を国家資格キャリアコンサルタント所持者に限って行いました。

■結果サマリー

1. キャリコン資格取得の目的は、7割強が「スキルアップのため」。

2. 取得後に資格を活かせる仕事を「探したことがある」のは9割弱。その際、仕事や求人数について「少ない」「とても少ない」と感じた人が96.9%に上り、ほぼ全員がキャリコンの求人の少なさを実感している。

3. 資格を使わないままのいわゆる『ペーパーキャリコン』の人がそれを脱するために必要だと思うことは、1位「実践の場を持つ」、2位「現場に即した最新の知識を得る」、3位「活躍するキャリコンの話を聞く」。実践のためにお勧めなのは、「副業でやってみる」(45.5%)が最多。

4. 現在キャリコンの活動の場でもっとも多いのは企業領域だが、企業内のキャリコン配置や従業員のキャリア相談について企業の理解が深まっていると「思う」のは1割強。9割近くが「あまり思わない」「全く思わない」と回答している。

5. キャリコンが社会で活躍するために必要だと思うことは、1位「個人がお金を払ってキャリア相談をする風土が広がること」、2位「企業領域でのキャリアコンサルティングが広がること」、3位「キャリコンが職業として成り立つ報酬面の待遇改善」。個人・企業双方の意識や風土醸成の声が挙がった

ミートキャリアのキャリアサポーターとは?
オンラインキャリアカウンセリングやメールでの自己分析等をサポートするキャリア支援のプロです。人事・人材業界経験10 年以上などの実務経験に加え、ライフイベントとの両立、複業やリモートワーク等の多様な働き方の経験を持つ、30代~50代のキャリアサポーター約50名が全国各地からフルリモート、副業で参画しています。ミートキャリアでは、その人にしかないキャリア実現の1番の支援者になりたいという想いを込め、キャリアカウンセラーをキャリアサポーターと呼んでいます。


1. キャリコン資格取得の目的は、7割が「スキルアップのため」。

キャリコン資格を取ろうと思った理由(もっとも大きい理由を1つ)を聞いたところ、72.2%の人が「スキルアップのため」と回答。「いずれ独立したい」(8.3%)、「いずれ副業したい」(5.6%)も含め、多くの人が現職や今後のキャリアで活かすことを考えて自発的に取得したことが伺えます。


2. 9割近くが資格を活かせる仕事を「探したことがある」。その際、仕事や求人数について「少ない」「とても少ない」と感じた人が96.9%で、ほぼ全員がキャリコンの仕事の少なさを実感している。

キャリコン取得をきっかけに、資格を活かせる仕事を探したことがあるのは9割近くに上りました(88.9%)。その際、キャリコンの仕事や求人数についてどう感じたか聞いたところ、「少ない」(75.0%)、「とても少ない」(21.9%)を合わせると96.9%となり、ほぼ全員がキャリコンの仕事の少なさを実感していることがわかりました。


また自由回答欄で仕事探しの苦労などを聞いたところ、特に希望する領域(個人支援や企業領域)の求人が少ないこと、待遇や働き方の面で希望に合う求人がないこと、実務経験を求められることを「壁」に感じたとの声が挙がりました。キャリコン登録者数は6万人(2021年5月末現在)と順調に増えていますが、活躍の場が順調に広がっているとは言えない状況が伺えます。

※仕事を「探したことがある」と回答した人のキャリコン資格取得年は直近2年以内が約4割、3-5年以内が約4割となっており、おおむね直近5年以内の状況です。

<仕事探しでの苦労やエピソード>
●ネット検索や転職サイトで「キャリアコンサルタント」というワードを入れてみても、個人向けのキャリアサポートを提供できるポジションは見つからなかった。本業でもあまり活用機会を創り出せなかったので、このままでは資格を腐らせてしまうのではと悲しくなった
●大学やハローワークでの相談業務が多く、企業で活躍できる場が少ないと感じた
●2年前に仕事を探したときは、大学やハローワークのフルタイムの仕事が中心で、当時は在宅勤務が浸透しておらず、自分の家庭事情とはマッチしなかった
●仕事はあっても、残念ながら年収や中長期的に取り組める仕事が極めて少ない
●正社員でキャリコンが活かせる仕事はほぼなかった。非正規でも経験がないとダメと言われ、選考を通らなかった
●純粋な意味での個人のキャリア支援の仕事はない。エージェントや人材紹介などの仕事はあるが、資格取得者である必要がなく、むしろ経験重視だった
●キャリコンの協会から仕事情報は来るが、多くが経験者対象や短期の仕事だった
●求人の条件として「実務何年以上」と求められることはよくあるが、では、資格取得後、その最初の実務経験はどこで積んだらいいのだろう?というのが現状だと思う
●求人サイトで探したが、とにかく仕事が少ない。また、資格不問の求人広告営業や派遣コーディネーターの仕事を「キャリアコンサルタント」として募集している紛らわしい求人が多く(国家資格キャリアコンサルタントは名称独占資格なので違法)、資格の認知度の低さを実感した

3. 『脱ペーパーキャリコン』のために必要なのは、1位「実践の場を持つ」、2位「現場に即した最新の知識を得る」、3位「活躍するキャリコンの話を聞く」。実践のためにお勧めなのは、「副業でやってみる」(45.5%)が最多。

実際にキャリコン資格を取得しても、求人が少ないことで仕事に就けない、または仕事で活かせない人も多くいます。キャリア支援をしたい人がこうしたいわゆる「ペーパーキャリコン」を脱するためには、何が必要だと思うか?と聞いたところ、1位は「実践の場を持つこと」(45.8%)、2位は「働き方や市況など現場に即した最新の知識を得ること」(26.4%)、3位は「活躍するキャリコンの話を聞くこと」(11.1%)となりました。
より上位の技能・知識が求められる「キャリアコンサルティング技能士2級取得に向けて勉強をすること」を選んだ人は0人で、脱ペーパーキャリコンには「実践」「現場」がキーワードと言えます。


さらに「実践の場を持つこと」と答えた人に対し、何から始めたらいいと思うか尋ねたところ、「副業でやってみる」(45.5%)と「ボランティアでやってみる」(27.3%)の2つに票が集中しました。企業の副業解禁が広がる中、「副業でやってみる」ための環境は広がりつつあります。


<自由回答欄でのコメント>
●キャリコンサーチ等のマッチングサイトに登録しても、未経験では仕事が全く得られないのが現実。とにもかくにも、キャリア支援を提供する場に身を置くことが大事
●自分がキャリコンとして支援をしたい対象を絞り、知識とスキルを積むこと
●これだという理論や手法の学びを深めて自分なりの型をつくることも大事
●スーパーバイザー(キャリアコンサルタントの指導者)の資格を持っているか、最低1000人以上のキャリアカウンセリングやキャリアコンサルティングの業務を実践している方の面談に同席をして関わりを学ぶこと
●国を挙げて働ける場を創生する

※労働政策研究・研修機構の調べ(2017年7月調査)では、資格取得者のうちキャリアコンサルタントとして活動していないと回答した人(休止者)は約2割でした。当時から資格取得者は2倍以上に増えており、最近の状況は変わっている可能性があります。

4.現在の日本の企業において、キャリコン配置や従業員のキャリア相談について理解が深まっていると「思う」のは1割強。9割近くが「あまり思わない」「全く思わない」と回答している

前出の労働政策研究・研修機構の調査によると、キャリコンの活動領域は、この10年間で大まかに「ハローワークなどの需給調整機関から企業へ」と移行し、活動の場でもっとも多いのは企業内(34.2%)です。これは2016年のキャリコン国家資格化や、企業内キャリアコンサルティングを後押しする国の制度整備の影響が大きいと言われています。さらに2018年、国は事業主に対し、従業員の職業能力開発のため、社内にキャリアコンサルタント等を配置することを努力義務としました。

そこで、今の日本の企業において、社内にキャリコンを配置したり、従業員が自由にキャリア相談できる部署を設置することに対して、理解が深まっていると思うか? と聞いたところ、「あまり思わない」(63.9%)、「全く思わない」(25.0%)を合わせると9割近くが実感していないことが分かりました。人事・人材業界の現場に関わる身としても、実感は薄いようです。


5. キャリコンが社会で活躍するために必要だと思うことは、1位「個人がお金を払ってキャリア相談をする風土が広がること」、2位「企業領域でのキャリアコンサルティングが広がること」、3位「キャリコンが職業として成り立つ報酬面の待遇改善」。

最後に、キャリコンが社会で活躍するために必要だと思うことを尋ねました。1位は「個人がお金を払ってキャリア相談をする風土が広がること」(30.6%)、2位は「企業領域でのキャリアコンサルティングが広がること」(26.4%)、3位は「キャリコンが職業として成り立つこと(報酬面の待遇改善)」(25.0%)と続き、個人・企業双方の意識や風土醸成の声が挙がりました。


この他、自由回答欄では企業が価値を実感することが結果的にキャリコンの待遇改善につながるという意見や、キャリア教育の浸透、個人のキャリア自律意識等の声が挙がりました。

<自由回答欄でのコメント>
●「キャリア教育」という概念が浸透し、個々人が自身のキャリアと向き合うことを日常化させること
●社会にいる一人ひとりが自分自身でキャリア形成をしていく意思や覚悟を持つこと
●キャリアカウンセリングの価値(有料でも受ける価値)が認知されること
●現在本業の社内でキャリアカウンセリングを行いながら感じることだが、社員個々人がキャリアを主体的に考えることについて企業がメリットを認知・実感することがキャリコンの待遇改善につながるのではないか?
●健康診断のように、1年に1度のキャリアカウンセリングが義務付けられたらいいのにと思う

アンケート結果は以上です。
個人のキャリア形成支援のプロは社会的に必要とされている一方で、資格を取得しても実践の場がまだ少ない実態や、活躍のための課題がわかりました。

ミートキャリアはこれからも働く人のキャリア自律をサポートし、その人にしかないキャリアの実現や、社会での長期的な活躍に貢献してまいります。
また、1000件を超える個人支援の実績を活かした実践的なカウンセリングスキルの提供を通じて、現場で活躍できるキャリアカウンセラーの養成にも努めます。

【アンケート調査概要】
対象者: ミートキャリアに所属するキャリアサポーターのうち国家資格キャリアコンサルタント所持者
回答者: 36名
回答者属性:<性別>女性30名(83.3%)、男性6名(16.7%)
<年代>30代21名(58.3%)、40代10名(27.8%)、50代5名(13.9%)
<資格取得年>2019-2021年15名(41.7%)、2016-2018年16名(44.4%)、2015年以前5名(13.9%)
調査期間: 2021年 6月 17日(木)~21日(月)
調査方法:Web
※ミートキャリアのキャリアサポーターは資格を必須としていませんが、本アンケートでは対象者を国家資格キャリアコンサルタント所持者に限って行いました
※本調査における「キャリコン」は国家資格キャリアコンサルタントを指します
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