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一度立ち止まったから気付けたこと。最高のプロダクトを最高の仲間と奔走した日々

アプリやWebサービスを開発するソフトウェアエンジニア。デバイスそのものを開発するハードウェアエンジニア。これらの存在なくしてビットキーのプロダクト開発は存在し得ません。しかしもうひとつ、忘れてはならない開発ポジションがあります。「ファームウェアエンジニア」です。

「ファームウェア」は、デバイスに内蔵された制御用ソフトウェアのことで、bitlockシリーズの動作を左右する重要な役割を担っています。「firm = 堅固な」という意味が指し示すように、デバイス全体を支える大黒柱のような存在です。

今回インタビューしたのは、ファームウェア開発チームマネージャーの高石さん。開発やメンバーに対する思いを聞く中で、「休養期間」という繊細な領域にまで踏み込むことになりました。赤裸々なインタビューを通して、ビットキーの“リアル”に迫っていきます。

高石 圭佑|ファームウェアエンジニア(@ksk_taka

新卒で大手カメラメーカーに入社し、デジタル回路設計を担当。2016年末にフラットパネルディスプレイ向け露光装置の
開発部署に異動。
2018年末にアパレルのオンラインショッピングサイトを運営する企業に転職、縫製工場の自動化検討に従事。
2019年10月にビットキーに入社し、2022年1月現在ファームウェア開発チームマネージャーを務める。

品質にもこだわりを。魂を込めた次世代製品

2019年4月、ビットキーは初代製品であるbitlock LITE等をリリースしました。高石さんが入社する半年前のことです。

「初代製品は創業初期の限られた人数で懸命に生み出したプロダクトです。それゆえに、市場へ提供するスピード感が非常に重要でした。そのため、品質や機能実装においてやりたいことが残ってはいましたが、納期を最優先にせざるを得ない状況だったのです。当時のその判断が間違っていたとは思いませんし、僕がこの初代製品の開発タイミングに入社していたら同様に納期を優先していたと思います」

納期を最重視したリリース。連動して、品質面にはいくつかの課題が残ったそうです。

「一定自信を持って出せるレベルではありましたが、『満足』とは言いがたい部分もありました。ビットキーが扱う製品のファームウェアは、市場に出したあともBluetoothの技術を利用したアップデートが可能です。しかし、電気や機構といったハードウェア領域に関わる変更は基本的にはできません。ファームウェアを可能な限り修正しつつも、ハードウェアにかかる部分に関してはまだまだ改善したいという思いが強く残りました」

品質面をさらに向上させた製品を世に出したい。高石さんの熱い思いは2021年12月に発売したbitlock MINIやbitreader+等の次世代製品へと注がれました。初代製品では修正対応がメインだった高石さんにとって、これらの次世代製品は仲間と共に自身がゼロから手がけたプロダクトでした。

「市場の要望にすべて応えることを目指して、相当な熱量で取り組みました。特にこだわり抜いたのは、『オートロック機能』と『電池の取り扱いの改善』についてです。bitlock製品には、マグネットセンサと磁石を利用することで、扉の開扉や閉扉を判断し、閉扉後に自動で施錠するオートロック機能が備わっています。この機能をより改善する為に、膨大な数のシミュレーションと実測を行いました。磁石の極性の向き、本体内部のセンサの位置、磁石の貼り付け位置、温度や量産時のばらつきなど、さまざまな要素を加味して最適な形を探り当てていったんです。結果的に、『現時点では』という注釈付きになりますが、このbitlock MINIについて、オートロック機能に関するクレームや改善要望の声はほとんどいただいていません。また、bitlock製品のほとんどは電池駆動するデバイスなのですが、初代製品と比較して『電池の本数を半分』にした上で、『電池寿命は同等以上』を実現しました」

市場の期待に十分に応える製品を、満足のいく形でリリースできた高石さん。副産物として、前職まで抱いていた自身のコンプレックスを解決できたと言います。

「僕はこれまで『電気』と『ファームウェア』を経験してきましたが、どちらのスキルについても他者と比べて特別秀でているという自信はありませんでした。しかしビットキーでは、中途半端だと思っていた自身のスキルがどちらもドンピシャにハマったんです。『電気』と『ファームウェア』の双方の価値を発揮でき、最終的にはその知見をチームメンバーに共有することができました。今では『自分に価値がある』ということを一定以上は信じられています(笑)」

今でこそ笑顔で語る高石さんですが、次世代製品を開発していた際には大きな苦しみも味わいました。心身のバランスを崩す経験です。

休養期間を経て気付いた、仲間のあたたかさ

「僕は、自分自身が少し繊細な気質であるという自覚があります。マイナスな出来事があると全部自分のせいだと思ってしまうところがあって。自分がダメだからうまくできなかったんだ、自分の能力が足りないからこんな結果になったんだと責めてしまったり。他のマネージャー陣やCEOからは『そんなに自分を責めなくていい』と声をかけられていましたが、そう言わせることすら申し訳なくて(笑)」

開発が佳境に差し掛かった日のこと。高石さんは、明らかな体調不良を自覚しました。

「日頃から自分にダメ出ししながら仕事をしている上に、ちょうど繁忙期のタイミングだったこともあり、心身のバランスが最悪の状態になってしまったんです。『状態がよくないようなので休ませてほしい』という旨を会社に伝えたところ、CEOの江尻さんから『今後もお前と長く一緒に働きたい。しばらくほかのメンバーに安心して任せてほしいし、大切な場面では俺が出ていく。責任を感じず、しっかり休んで元気になってほしい』と仰っていただきました。VPoEの山本さんも『責任持って仕事してくれているの分かっているから、安心して休んでね』と仰ってくださり、僕が不在となった後のチームのフォローに回ってくれました。そういった背景もあり、Slackも一切見ずに完全休養させてもらったおかげで、心身ともに回復することができたんです」

復帰後、チームメンバーはもちろんのこと、他部署のメンバーもあたたかく迎え入れてくれたそうです。

「この経験を経て、『もっと周りに頼ってよかったんだ』と思えました。ビットキーメンバーのあたたかさを心底感じる経験でしたし、周囲への感謝の想いは今でも尽きません。休養したことと、自身の体調管理の大切さを身をもって知った今は絶好調の状態で仕事ができています。人生で一番仕事が楽しめていると言っても過言ではありません」

身体の調子を整えることも大事だと気付き、食事制限や運動を開始したという高石さん。3ヶ月で10キロ減量し、身も心も軽やかになったと言います。

「今の『良い状態』を保ち続けるために、現在は睡眠時間や食事など色々なデータの管理を試しています。客観的に心身状態を把握できれば、なんらかの対処法が取れるので。自身の性格を変えるのは簡単ではないですが、自分用にカスタマイズした対処法があれば心身の波は起こりにくくなる。これも実は、『自分や物事をメタの視点で見るトレーニングを日常的にすることで、心身の調子は一定以上を保てるよ』というCEO江尻さんからいただいたアドバイスを受けて始めたものです」

メンバー全員と喧嘩に。本音でぶつかり合うチーム

高石さんは現在ファームウェアチームのマネージャーを務めています。マネジメントにおいて、どのようなことを大事にしているのでしょうか。

「メンバーと正面から向き合い、正直でいることを意識しています。実はこれまで、ほとんどのチームメンバーと、喧嘩というか、ぶつかり合ったことがあるんです。『高石さんのこういうところが嫌です』とストレートに告げられたこともありますよ(笑)」

一見ネガティブにも思える事象ですが、これには理由があるそうです。

「メンバーには『自分は完璧じゃないから、思うことがあったらなんでも言ってくれ』と伝えていて、忖度なくはっきり言ってもらっています。僕も、メンバーに対して思ったことがあればできるだけ正直に伝えます。全員に対して全て完璧とまでは言いませんが、一定以上は本音ベースで語り合える関係性が構築できているのではないかと思いますね」

信じているから本音を言える。ファームウェアチームの堅固な信頼関係を垣間見ました。続いて、これからのチーム目標について尋ねたところ、力強い言葉が返ってきました。

「ビットキー内における最強の開発部隊になることを目指しています。現時点でも、チーム全体として着実に力をつけてきているように感じています。僕以外にもハードウェア側の知見が深いメンバーがいて、積極的に他のメンバーに知識を共有してくれているため、今ではチーム全員が回路やデータシートを読めて、自分で消費電流を測定し、電池寿命を見積もることもできます。また、組み込み開発を熟知した圧倒的なエンジニアもいるおかげで、『ファームウェア』としての品質も格段に上がりつつあります。学生時代に競技プログラミングに没頭し、前職でWebシステムを含めた幅広い領域の開発を経験しているスーパーエンジニアもいるので、テスト環境の整備やビルド自動化などの技術もどんどん取り入れています。新たに入ったメンバーに知見を共有する体制も整いつつありますね。まだまだ人が足りない状況から抜け出せてはいませんが、今後、新たにメンバーを迎えつつ、既存のメンバーも更なる飛躍的な成長を遂げることで、最強になれるんじゃないかと(笑)。ファームも、ハードも、ソフトも、全部熟知したチームとしてね」

高石さんが口にした「最強」は、決してうぬぼれた発言ではないはずです。チームとして着実にパワーアップしたことで培われた自信と、マネージャーとしての覚悟がそこにはありました。

しんどいこともあった。それでも、ここにいる理由

最後に、高石さんがビットキーで働く理由を問いかけました。

「事業も人も好きだからですね。もし同じメンバーで全く違う事業をやることになったら、今のようには楽しくないかもしれません。逆に、総入れ替えしたメンバーで同じ事業をやるとなったら、今のように頑張っていけるかは正直言って分かりません。『ビットキーの事業』を、『今の仲間』とやるから最高なんだと思います。この2年強、しんどいこともたくさんあったけれど、めちゃくちゃ楽しかったのはそれが理由じゃないかと」

ビットキーの事業のどのような点を魅力に感じているのでしょう?

「ビットキーは時代や市場のニーズとともに高速で変化する会社です。カメラのメーカーに勤めていた頃には考えられないくらい、柔軟に適応していくところが面白い。しかも、あらゆるものとコネクトすることを掲げるがゆえに、さまざまな領域に展開していけます。市場の声をダイレクトに聞いて、スピード感を持ってプロダクトをどんどん磨いていける。ソフトウェアの世界では当たり前かもしれないけれど、僕にとってはそれがとても新鮮で、刺激的なんです」

高石さんは続けて、一緒に働く人に対しての思いを語ります。

「僕はビットキーで、『お前のせいだ』という追求を一度も受けたことがありません。トラブルが起こっても、『自分たちの領域では何ができるのか』を各々が一緒になって全力で考えてくれます。縦割りではなく、ひとつのチームであるかの様な一体感を感じることがよくあります」

誰のことも責めない組織。助け合う組織。ワンチームで働く楽しさを日々感じているそうです。

「優しさを感じる一方で、それぞれのメンバーのプロフェッショナル意識は相当に高いです。一緒に働いていて常に刺激を受けています。僕はある領域において『自分よりもこの人の方が優れている』と感じると、結構悔しがるタイプです(笑)。ビットキーでは各領域で優れた力を持つ人がいるから、負けていられないと思って自然と燃えます。ライバルであり、同志でもある。強豪校の部活仲間のような関係です」

ビットキーの「人」について語るとき、高石さんの瞳は一段と輝きます。心身ともにつらかった時期にかけてもらった言葉。真正面からぶつかり合って、本音で語り合ったこと。何があっても見放さずに、一緒になって頑張ってくれたこと。

大切な仲間との濃密な経験が、今の高石さんを奮い立たせています。

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