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クラウドサイン・プロダクトマネージャーが司法試験に1発合格!IT開発×法律家で未来を切り拓く

Web完結型クラウド電子契約サービス『クラウドサイン』のプロダクトマネージャーとして2019年5月に入社し、約2年半『クラウドサイン』の開発に携わってきた仮屋崎 崇さんが、なんと、2021年の司法試験に合格しました。11月から約1年の司法修習が始まります。

入社当時から夜はロースクールに通い、仕事と勉強を両立し続けた仮屋崎さん。エンジニア・プロダクトマネージャーと経験を積んで弁護士を目指すまでに、どんな変遷を辿ってきたのか。仮屋崎さんにこれまでの人生を振り返ってもらったところ、常に自分の可能性を広げる選択をしていく大胆な人柄が見えてきました。今回はそんな仮屋崎さんのインタビューをお届けします。

【Profile】
クラウドサイン事業本部 プロダクトマネジメントチーム
仮屋崎 崇(Kariyazaki Takashi)

東京大学法学部第1類(私法コース)卒業。大学卒業後は、株式会社ワークスアプリケーションズにエンジニアとして入社。ワークスアプリケーションズ在籍中に、筑波大学法科大学院に入学。2019年5月クラウドサインのプロダクトマネージャーとして弁護士ドットコムに入社。リモート署名やSSO、監査ログなどの機能開発に携わる。2021年3月に同法科大学院を修了し、2021年9月に司法試験合格。
幼少時代から野球が好き。現在も草野球をやっており、中高の部活時代よりものめり込んでいる。

課題解決とものづくりを目指して選んだITエンジニア

ーー 司法試験合格、おめでとうございます!

ありがとうございます。

ーー 入社当時からロースクールに通われていたというお話でしたが、昔から法曹界・弁護士に対する興味があったのでしょうか?

小さい頃は『ブラック・ジャック』が好きで、医者になることを夢見ていましたが、血を見たり、人を切ったりするのが怖く感じるようになり、医者にはなれないなと断念したんです。「困っている人を助けるという意味では弁護士も同じじゃないか」と父から言われたことをきっかけに、弁護士を志すようになりました。

小学生の頃から、「大学は東大」と考えていたので、学生時代はとにかく勉強の毎日。知識を蓄えることはわかりやすい成長実感につながりますし、知らないことを放っておけない性格なので、勉強は苦ではありませんでした。とは言え当時はまだ学生。社会を知らなかったので、閉じた世界の中での知的好奇心ではありました。

ーー そうして実際に東京大学へ進学し、法律の勉強を?

司法試験を目指す学生が多く在籍する私法コースに入学し、国際公法のゼミに所属していました。入学当初は弁護士になることを志していたものの、実際に弁護士の先生の話を聞いているうちに、自分の中でのイメージと相違を感じるようになり、だんだんキャリアとしての弁護士への志望度は薄れていきました。自分が思い描いていた弁護士は「刑事弁護士」だったのですが、ドラマのような世界ではなく、現実はすごくシビアな仕事なんだと大学に入って知ることになりました。

弁護士の仕事に対する興味が冷めていく反面、当時はiPhoneやSNSが普及し始めた時期で、情報メディアに興味が湧いていました。副専攻という形で、情報学環教育部というところでメディアや広告について勉強し、気づけば主専攻の法学部よりものめり込んでいました。

ーー 大学卒業後の進路は?

大学3年の夏にワークスアプリケーションズのインターンシップに参加する機会があり、ITシステムに興味を持ちました。インターンのプログラムは、架空の企業が直面している問題が設定されていて、その問題を解決するシステムを設計からコーディングまで丸っと行うという内容だったんですが、これがおもしろくて。企業が考える問題は学生の視点だとちょっと上の目線で、そこにアプローチすることが新鮮でおもしろかったんです。組織が抱える問題の根本原因を考えて、それを一から解決していく機会はこれまであまりなかったので。

もう一つ、ものづくりのおもしろさも実感しました。「この方が使いやすいんじゃないか?」など、自分のクリエイティビティを発揮できることが楽しかったんです。小中高でも何かをつくるということは得意ではありました。デッサンや木材工作の授業でも成績は良かったです。でも、クリエイティブな「創造」をしてたのかというと、していなかったのだと思います。だからこそ、大学に入ってから「何かをつくる」ということに楽しさを感じていました。結局、この時のご縁があって、大学卒業後はワークスアプリケーションズにエンジニアとして入社しました。

ちなみに、進路の第一志望は総務省でIT法制に携わることだったんですが、残念ながら採用には至らず…。今思えば、この辺りからIT×法律という軸が一つ、自分の中にありましたね。またこの頃にはすっかり弁護士になるという選択肢は影を潜め、司法試験は受験しませんでした。

自身のキャリアと身近なトラブル解決を目指して再び弁護士に挑戦

ーー ワークスアプリケーションズ在籍時にロースクールに通い始めていますが、心境に変化があったのでしょうか?

ロースクールに通い始めたのが、丸2年働いたあたり。筑波大学法科大学院の願書提出締切の4日前に、ふっと思い立って提出したので、かなり勢いではありました。

当時は漠然とエンジニアとしてのキャリア形成に不安を感じていました。このまま自分はずっとエンジニアとしてやっていけるのかと。エンジニアは体力勝負なところもありましたし、歳を重ねるにつれて柔軟な発想もしにくくなり、自分のクリエイティビティはどこかで枯渇してしまうのではないかと、エンジニアとしてやっていく自信が持てませんでした。自分が歳をとっても役立てられる仕事はなんだろうかと考えた時に、法律を勉強していたので、その専門性を高めてITx法律に挑戦していきたいと考えるようになり、改めて法律を学ぶ決心をしました。

また、当時は「フィンテック」は流行っていたものの、「リーガルテック」という言葉はそれほど普及しておらず、これからITを活用して問題解決のニーズが大きくなるのはリーガルの領域ではないかと。リーガルテックサービスは今でも少ないと思いますが、当時は今以上に世の中にありませんでした。この状況は、私たち国民がいつか直面する問題になるのではないかという危機感と同時に、自分がこの領域において課題解決していきたいという想いが芽生えていました。

一方で、そうした社会課題に対する想いと同時に、身近な人を助けられる存在になりたいという気持ちもありました。社会人になって、家族や友人が法律トラブルに巻き込まれる様子を見て、企業や社会という大きな存在だけでなく、小さな個人を助けられる存在にもなりたいと痛感し、再度弁護士を志すことにしました。

ーー 弁護士ドットコムへ転職した理由はIT×法律に挑戦できるから?

はい、リーガルテック企業を調べていく中で、弁護士ドットコムが明らかに目立っていました。

当初はクラウドサインではなく、弁護士ドットコム事業から面談のお誘いをもらい、まだリリース前だった弁護士向け業務管理システムのエンジニアポジションについて話を聞いたのが最初のきっかけです。今後、裁判のIT化が推進されていくとなると、弁護士の業務支援は非常にやりがいがありそうだなと感じたこと、また「専門家をもっと身近に」という理念にも共感できたことから、迷いなく応募しました。

選考の過程でクラウドサインのことを知り、クラウドサインのメンバーからも話を聞いていくうちに、どんどんクラウドサインにも興味が湧いてきました。それまで電子契約なんて聞きなじみがなかったのですが、話を聞けば聞くほど、これは絶対に世の中から必要とされるなと。また、“社会の「ふつう」を再定義して、世の中をもっとシンプルに。”という事業ミッションにも共感しました。最終的には、クラウドサインのプロダクトマネージャーとしてオファーをもらい、これまでのスキルを活かせそうだと感じ、事業理念にも大いに共感できたので入社を決めました。

ーー 仕事と勉強の両立はなかなか難しそうですが、どのようにして両立していたんですか?

仕事をする時間と勉強をする時間をしっかり分けていました。当たり前のことではありますが、仕事をするときは仕事にしっかり集中し、仕事を終えたらそこからは勉強だけに集中。18時以降のミーティングは避けてもらったり、他のメンバーに代理で出席してもらったりと、基本的には18時以降は勉強をする時間にしていました。もちろんこの体制が実現できたのは、チームメンバーやプロジェクトメンバーの支えがあってこそです。子供が生まれてからは、家族にも本当に世話になりました。

たまに「勉強をするために会社を辞める」という話を聞くことがありますが、「働きながらでも勉強はできる」ということを今回体現することができました。特定の企業で働くことが取得要件になっている資格などは例外ですが、そうでない資格は働きながら十分に取得することができます。自分自身がやってみて、「仕事も勉強も諦めないでほしい」ということを伝えたいです。

実際にやってみる、挑戦してみる分には全くリスクはありません。やってみてだめそうであれば考えればいいと思います。これが仕事を辞めてしまっていると、資格の取得が難しそうだとわかっても、他の選択肢がない状況になってしまいます。仕事をしながらだからこそ、挑戦したことから撤退する選択をとることができるんです。「仕事をしながら勉強なんて大変でしょう」という声をよくかけられますが、そういう意味では仕事を捨てて背水の陣で勉強するほうが大変なのではないでしょうか。もちろん、職場や家族のサポートなしには難しいのかもしれませんが、クラウドサインはチームワークでものづくりをしている環境なので、挑戦しやすい職場環境だと思います。

ーー 法律を勉強するおもしろさとは?

「知らないことを知る」おもしろさがあります。まるでブラックボックスの中を解明していくような。「意味するところを知る」という行為は、単純に知的好奇心を満たしてくれます。条文を読んで、判例で解釈を知ることによって、どういうトラブルはどう解決できるのか知恵を得ることができます。

また、法律ってシステム開発と似てるんですよね。法律をシステムに例えると、条文は仕様書のようなもので、具体的な事案を入力すると条文に従って法的結論というアウトプットが決まります。法律を学んできた学生は、システム開発にも興味を持つのではないかと思います。

守破離で考える

ーー 入社してからの2年半を振り返って、クラウドサインでの仕事はどうでしたか?

振り返ると、ものすごい速さで成長している事業だと感じています。この2年半でメンバーも増えました。社会から求められる期待が大きくなった分、つくる側としても責任が大きく伴うようになってきました。

また、プロダクトマネージャーという仕事を経験できてよかったです。エンジニアのようにコードを書くことはないですが、ユーザーや社会の課題解決に向けたプロダクト開発に携わることができ、プロダクトマネージャーも自分がイメージする「ものづくり」に取り組むことができる仕事だと感じました。

昨年から電子契約に関する法整備が進み、政府としても電子契約を推進していく動きがありますが、社会の仕組みを変える挑戦はそうそうできることではありません。学生時代に総務省を志望していた理由は、「IT法制の改革を行うことで、社会の仕組みを変え、より社会を活発化させたい」というものだったので、いまクラウドサインで挑戦できていることはとても有意義なことです。

ーー 法律の知識があるからこそ、仕事で活かせたと感じるエピソードがあれば教えてください。

規定や規約など「お堅い」文章の原案作成や、複雑な仕様を簡単に示すこと、法改正・制度改正の仕組みの理解・調査、法務とのやり取りなどはスムーズに行えたかなと思うところはありますが、あまり法律の知識があるんだと思わずに仕事をしてきました。

考え方として一つ思うところとしては、茶道や武道の世界で「守破離」という考え方がありますが、これは法律の分野でもプロダクトマネジメンの分野でも役立つ考え方として意識しています。

法律の観点でいうと、

守:判例・通説に則った伝統的な法解釈を知る
破:伝統的な法解釈の不都合を問題提起できる
離:従来説から独立した自説を主張することができる

プロダクトマネジメントの観点では、

守:既存の業務・システムの仕組みを知ってシステムを改善するができる
破:既存業務・システムが抱える問題を根本的に理解できる
離:業務のあり方を変える全く新しい製品・機能を作り出せる

というイメージです。

学生時代は0から1を生み出すことが「クリエイティビティ」だと考えていましたが、仕事を経験して、今は「無からは何も生まれない」と考えるようになりました。知識なくして創造なしですね。

挑戦し続ける環境で挑戦し続ける

ーー 今後、弁護士ドットコムにはどのような可能性を感じていますか?

まずクラウドサインは、電子契約のデファクトスタンダードになって、様々なリーガルテックサービスと連携し、ハブのような存在になるのではないかと考えています。

会社全体で言うと、現時点においてもこれだけの知名度を持つリーガルテック企業はそうありません。また、本当にできるのかと世の中から疑いを持たれてきた分野を切り拓いてきた会社でもあります。このブランド力、挑戦力を社会に打ち出していくことによって、「そこに切り込むか」と世の中を驚かせることをやってくれるという期待があります。

ーー 司法修習後のキャリアはどのようなイメージがありますか?

IT開発×法律家というスキルを活かしたいという想いがあるので、復職を予定しています。法律家になることによって、私自身、これまでとは社会に対する課題意識にも変化があると思います。司法修習での経験を元に、これまでやってきたプロダクトマネジメントの領域に限定せず、IT開発×法律家という二刀流で社会貢献していきたいですね。

ーー 弁護士ドットコムに戻ってきた時に、どのような会社であってほしいですか?

チャレンジし続ける会社であってほしいです。弁護士ドットコムはまだまだ定型化されていない業務が多いですが、だからこそいろいろなことに挑戦できて、様々な知識を得ることができます。自身の成長に限界を感じたことはありませんでした。変革を拒まず、常により良い社会に向けて、挑戦する会社であり続けてほしいですね。

ーー 司法修習、がんばってきてください!私たちもがんばります!

ありがとうございます!

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