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【2015年1月27日:al+は人格をコピーして、あなたの代わりに仕事をするクラウド上の人工知能アバター】

脳に電極を付けてコンピューターに「意識」を全てアップロードしてしまう。そんな、映画「トランセンデンス」の世界がやってきたかのようなSF的世界観を持つ「パーソナル人工知能」(P.A.I.)のアプリ、「al+(オルツ)」が間もなくリリースされる。日本のスタートアップ企業のオルツが開発したもので、ユーザーの第2の自己をクラウド上に作り上げる人工知能アプリだ。

さすがに脳の全活動を電極で読み取れるようになるのは、ずっと未来の話だろうし、今のところ全人格をアップロードなんてできないのだけど、オルツが何かというと、使えば使うほどユーザーの知識や発言の癖、人格を学んでいって「その人らしい」受け答えをするようになるアバターのようなものだ。

何のために? あなたに代わって仕事をするためだ。

ユーザーは、まず最初に自分の顔写真をスマホで撮る。これだけで、まずあなたの分身である「オルツ」は、まばたきを始めて動き出す。現在は仮想3Dモデルで個人アバターを作っているが、今後は詳細な立体モデルを使う仕組みも想定しているという。

次にアプリやソーシャルネットワークをつなぎこむ。現在はFacebookやTwitterだけだが、InstagramやGmailなども対応予定だ。すると、あなたのオルツはあたながコミュニケーションする相手と内容を学習し始める。誰からの、どんな質問に対して、どういう回答をするのかといったことから、徐々にあなたの知識や癖を学んで行く。

あなたのオルツはクラウド上にいる。このオルツに向かって、ほかの誰かが話しかけると、あなたのオルツは、いかにもあなたが答えそうなやり方で人工合成音声とテキストで回答する。口がパクパクして、目も動くので、それなりにしゃべっているようには見える。どの程度「あなたらしさ」を獲得したかは数値で示されていて、50%を超えてくると、むしろその人らしくない回答を引き出すのが難しくなる、と開発したオルツの米倉千貴氏は言う。

「週末のデート、ランチは何がいい?」と彼女が聞けば、「昨日イタリアンだったから、それ以外なら何でもいいや」とぼくのオルツが答える。きっと彼女は、こいつはホントに食べ物にこだわりがなくてツマランなと思うかもしれないが、ぼくらしい答えだ。「もう経理にxyzの件はメールしましたか?」と部下が聞けば、「返事したよ」とぼくのオルツが答える。

……というのは、ぼくの想像上の会話。ぼく自身は、まだごく簡単なデモを見ただけでオルツを試していないが、そういうことらしい。

ほんとにそんなの技術的に作れるの?

[...] AI研究が専門でヒューマンインターフェース関連にも詳しい上智大学理工学部情報理工学科の矢入郁子准教授にアイデアの実現性について尋ねてみたところ、「1990年以降のAI 研究で提案されてきたアイディアの1つです。これまでの自然言語処理、知的エージェント、マルチエージェント(知的エージェントの分散協調の研究)、機械学習、ヒューマンエージェントインタラクションなどの基礎研究の成果の統合として、そしてさらに近年のAIブームの火付け役としてのディープラーニングの成果によって実現は可能と思います」との回答だった。「潜在的マーケットはあるけれども、時期的に早すぎるとAIBOのように普及に至らない可能性があると思います。ただ、2020年以後の5Gネットワークが普及し、身の回りのさまざまなモノや機器がネットワーク接続した世界であれば、人々の間で現在以上により自分の代理をするソフトウェアへのニーズが高まり、十分にマーケットがついてくる可能性があります」と、直近の応用よりも、もう少し射程を長く捉えるべき応用と見ているようだ。

参照元リンク: http://jp.techcrunch.com/2015/01/27/alt-copies-and-becomes-you-as-an-artificial-intelligence-in-the-cloud-that-will-do-menial-tasks-for-you/