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「知らない」からこそ人生も仕事も面白い。イギリスから日本へ、変化と学びの20年

  • A.C.O. Journal Desk
  • 2022.05.10

「Staff Stories」では、A.C.O.のスタッフを紹介しています。今回登場するのは、クリエイティブディレクターのJames Bowskill(通称JB)。Jamesはクリエイティブディレクターとして、デザイン、ブランディング、コミュニケーション戦略を軸に、グローバル企業に対してブランドコミュニケーションのコンサルティングなどを行っています。2021年夏からは執行役員に就任しました。


James Bowskill

イギリス出身。デザイナー兼プロダクションマネージャーを経て、2001年に来日。2003年にA.C.O.へ入社後、デザイナー、アートディレクター、コミュニケーションデザイナーとして活動。現在は、CCOとして、デザイン、ブランディング、コミュニケーション戦略を軸に、グローバル企業に対してブランドコミュニケーションのコンサルティングなどを行う。

デザインとプレゼンテーション。つくって伝える面白さとの出会い

僕がデザインに興味を持ったのは、中学校での「デザイン&テクノロジー」の授業がきっかけ。プロダクトデザインやエンジニアリングでの課題解決のプロセスがとても楽しかったんです。印象深かったのは、ポータブルCDプレイヤーに小さなアンプリファイアをつけてスピーカーをつくったときのこと。思った以上に“リアルな製品”として見てもらえたことで、「プロがつくってお店で販売しているような製品も、意外と自分でつくれるのかも?」と思ったんです。子供とプロのレベルの差はそれほど大きくなく、コツがわかれば自分にもできるんだと感じました。

さらに、そうしてつくったものを皆の前で発表するのも面白かったです。他の人の発表を見ていて、つくったものだけでなく、話し方やプレゼンの方法そのものにも価値や可能性を感じたからです。それ以降、ディベートで話す練習をしたり、いろいろな人にコツを聞いたりして、プレゼンテーションのスキルを身につけていきました。

そうやって「つくる」という経験はしてきたものの、本格的に「誰かのためにつくる」という経験をしたのはA.C.O.に入ってからです。それまではかっこいいものをつくることばかり考えていましたが、クライアントワークで考えるべきは「どう課題を解決するか」。大学でもクライアントを想定して課題に取り組むことはあったけれど、やっぱり本当の仕事となると全く違いました。でもそういったリアルな課題解決のアプローチは思っていた以上に面白くて。先生が設定した抽象的な“課題”ではなく、お客さんが本当に困っていることについて考えるのはとても刺激的でしたね。


UX Talk TokyoでプレゼンテーションをするJB

それぞれが見ている世界を理解する。グローバル案件獲得の転機

現在はグローバル案件の多いA.C.O.も、僕が入社した20年前は広告代理店経由のキャンペーンサイト制作などが中心でした。A.C.O.でグローバル案件が増えたのは、2010年にTOYOTAのグローバルサイトの制作を担当してからです。

プリウスのリコール事件後のグローバルサイトのリニューアルという案件で、大手企業が多数参加するコンペの中にダークホースとしてA.C.Oも参加していました。気合を入れて臨んだプレゼンには、発売直後でまだ誰も触れたことのなかったiPadと、かなりリアルにつくりこんだモックアップを持っていきました。半分ぐらいiPadに注目を持っていかれたけど(笑)、「とにかくこれからはタッチの時代になるから、それに適したUIにしよう」という僕たちの提案は、この仕掛けのおかげでとても大きなインパクトを与えることができたと思います。僕自身の「外国人としての目線」も混ぜながらプレゼンして勝ったこの案件以降、グローバル案件が増えていきました。


担当したTOYOTAのグローバルサイト

グローバルの仕事はとても面白いです。外国の目線を持てばできるわけではなく、外国の目線を持ちながら国内の目線も持つ必要があって、そのすり合わせがすごく重要なんです。それに「JBは海外出身だからグローバルを全部分かってる」と思われることもあるけど、実際は案件の中で学ぶことがたくさんあります。

TOYOTAの案件で印象的なことがありました。要職の方のオフィスの壁に「アジアが中心に置かれた大きな世界地図」が貼られていたんです。日本人にとっては当たり前かもしれないけど、イギリスで生まれ育って、欧州が中心の世界地図を見てきた僕には、その地図はすごくショックでした。でもそれによって、「皆自分の国が中心にある地図を見て育つから、それぞれ見ている世界が違う」ということがとてもシンプルに理解できました。

「知らない」をチャンスに、「気づき」を提案に

A.C.O.のグローバル案件はコンペで獲得しているものも多くありますが、提案前にもらうRFP資料(提案依頼書)では情報が足りないケースも非常に多いです。でも僕は、情報の少なさはむしろチャンスだと思っています。なぜなら、「この企業は外からどう見られているのか」を自分の目で見て考えることができるから。自分の目線が新しいマーケットの目線とイコールだから、知らないことはむしろチャンス。詳しく調べる前にピュアな目線でいろいろ見て、分かりづらい部分や伝わっていない部分への気づきを集めて提案するようにしています。

たとえば、日本では有名な企業も海外では無名だったり、同名の異業種企業があったりします。その場合、Googleのページタイトルの前に何の会社か説明が必要だったり、サイトTOPにサービスロゴを並べても意味をなさなかったり。そういった外国人としての体験を意識して、必要なコミュニケーションを考えていきます。


でも結局「グローバル」と言ってもそういう場所があるわけではなく、日本と他の国との違いでしかありません。僕はイギリスのことは知っているし、英語なら内容は理解できて欧米的な考え方もわかるけど、アメリカ人の目線を持っているわけではない。それに、究極的には個人の違いや会社の文化の違いもあり、「この国はこうだ」と一概には言えません。情報として国ごとの傾向や違いを知っておくのは有効だけど、「自分は全てを知っているわけではない」ことを自覚して、常に学ぶ姿勢が大切なんです。

だからこそ、イギリスから日本に出てきて暮らしてみて、「自分の知らないことがこんなにある」「知っていると思っていたけど、何も知らなかった」と気づけたことはとても良かった。オープンマインドで、とりあえず新しい考え方を一回入れてみる。実際にやってみると、こっちのほうがいいと思うことも、やっぱり元のほうがいいと思うこともあるけど、どちらにしろやってみなきゃわからないですからね。

変化に身を置き続けることで、人生も仕事も面白くなる

A.C.O.のメンバーは皆「課題解決をしたい」という思いがあり、それぞれに建築やグラフィックなど異なるバックグラウンドを持ってアプローチしているのが面白いところだと思います。そして、皆ずっと勉強し続けています。変化が激しい業界だからたまに疲れちゃうけど(笑)、常に勉強していないと取り残されてしまうので、おすすめの本や記事を共有したり、勉強会を開いたりしています。


オフィスでのJBの様子

僕は今、今後のコミュニケーションに何かしら関わってくるだろうという期待感からXRやARについて勉強しています。ノートパソコンやスマホの画面でできるデザイン的なチャレンジはもうあまりなく、大抵の課題にはある程度の解決方法が見えています。そういう意味で新しいデバイスとして興味があるということに加えて、もうひとつ、現在の画面は長く使うことで不健康をもたらしてしまっていると思うんです。目にもよくないし、肩もこるなど悪影響が大きい。だから、もっと健康的なテクノロジーの使い方ができるようになることを期待しています。

自分たちがつくっているデザインが、私たち個人の不健康、そしてソーシャルメディアを通じて社会の不健康にも繋がってしまっている現状に対して、これからはテクノロジーを使ってより健康的に生きることを考えていきたい。まだまだテクノロジーが果たせるポジティブなことがあるはずで、その中でデザインとして何ができるかを考えていきたいです。

これから入ってくる皆さんからも、新しいことをいろいろと教えてもらいたいし、皆さん自身もいろいろなものに興味を持ったり、自分で勉強し続けたり、新しいものに触れる気持ちや習慣を大切にしてほしい。ただ、人にはそれぞれ得意不得意や個性があり、自分を大きく変えることはなかなか難しいですよね。それに対して僕は、「自分の周りを変える」ことで可能性やチャンスを広げることができたと感じています。


ロンドン時代のJB

僕はずっとアニメや漫画、ロボットなどの日本の文化が好きで、20年前にイギリスから移住してきました。「今と異なる環境に身を置いてみたい」という思いがあり、異なる場所、異なる文化の中で、自分がどう変化するのかを見てみたかったんです。自分を変えることは得意じゃないので、自分ではなく、自分の周りを変えてみよう、と。今思うと、そうして日本に来てデザインスキルを発揮できたからこそ、面白いキャリアを築けたのだと感じます。自分の周りを変えることは、すごくパワフルな変化を生み出してくれます。

僕は目の前にそういった「環境を変えるチャンス」がきたら、とにかく捕まえにいきます。日本に来たのも、Webデザインの会社で働いていたときにたまたま新聞広告を見かけたことがきっかけ。「日本でやってみよう!」と思って3か月後には引越していました。やるとしたら若いうち。1度しか訪れないチャンスもあるし、迷っていたらなくなってしまう。僕は「面白そう」「やってみたい」と思ったらすぐに動いてきました。後先のことが見えなくても、失敗したら戻ればいいだけ。そうやって20年やってきて、人生も変わったし、考えないといけない課題や自分がお客さんに提供できる価値への見方も変わってきました。その変化自体も面白いし、それこそが20年やり続けても飽きない理由だと思います。

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